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第7話 元の記憶

「つまんねぇな……」


 彼にとって、目の前に映っている光景は実に殺風景だった。

 

「確かに星の数ほどに腕があるけど、僕からすれば宇宙の塵のようにちっぽけだね」


「そう言ってられるのも今のうちだ。せいぜい地獄を楽しめ」


 静真の体に慣れてきた破滅者にとってはこんなもの、ただのゴミだ。

 破滅者は深いため息を吐くと、口が裂けることを懸念する程、口の端を吊り上げて笑った。


デッドアイ(死神の眼)


 破滅者の赤い瞳は、さらに赤みが増して緋色に変化する。

 その瞳は“死“をイメージしているのか、驚異的な殺意を放出している。


「僕はね、眼で人を殺せるんだよ」


 そう言い放つと、毒原佐奈美は自身の闇に呑み込まれて粉砕した。

 辺りには肉塊の断片が散乱している。

 

「汚ねぇな」


 破滅者は静かに腰を下ろし、肉塊の一片を見つめていた。

 しばらくすると、破滅者は佐奈美に話しかけるように語り始める。


「君の闇の特殊能力、貰っていくよ。あいつに使いこなしてもらわないとね」


 彼は昔を懐かしむような、感慨深い表情でひたすら俯いていた。


「さて、戻るか」


 あれ?

 ここは……


「ひっ!?」


 初めて見た。

 こんなにも血肉が散乱している光景。

 今にも口から嘔吐物が込み上げてきそうだ。


「一体なにが……」


 俺が疑問に思っていると、頭の片隅から懐かしい声がした。


《それ、僕が殺したよ。そして、彼女の闇の特殊能力は君が奪え。僕には盗賊紛いの能力なんて、ないからね》


「それよりも、殺したって……?」


《殺したのが気に入らなかったのか?》


「そんなことはない。寧ろ有難いよ」


《そうか。なら今すぐ奪え。もう少しでタイムリミットだ》


 確か彼女が言ってたな。

 俺のスキルは殺した相手のスキルを奪って、それを武器に付与できる、と。

 そういえば、ストック量の話しはしていなかった。

 どのくらいのスキルをストックできるのだろうか。


「それをこれからたくさん殺して実践してみろ、か」


 ぶつぶつ独り言を言いながら、肉塊の前に立つ。


 なんだかこの感覚、懐かしい気がするな。


「“盗品(デッド・スティール)“」


 そう唱えると、右手に闇が纏う。

 静真は瞠目すると、すぐに平静を取り戻し口の端だけで笑った。



 こいつだったのか……

 こいつが俺の第四人格「破滅者」


「これは幻聴ではないようだな」


 頭の片隅からは耳鳴りがするほど、甲高い笑い声が反響する。


《やっと、君は記憶を取り戻したようだね》


「あぁ……」


 静真は崩壊したアジトから差し込む、陽の光に照らされ、光り輝いていた。

 肌が焦げるような暑さ。

 外からも内からも遠慮なく静真の熱意を刺激する。


「俺は”自由”だ」















 


 


 

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