表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/25

6話 破滅の人格

「僕が完全に出たからには、君を殺すよ?」


 見た目は静真のままだが、眼の色が変化した。

 この”人格”の眼の色は赤。

 破滅を意味する人格だ。


 ここでは破滅者と呼んでおこう。

 


(静真なのか……?)


――ドゴッ


「おぇ……っ」


 口の中からは大量の唾液が吐き出された。

 彼女の端正な顔は悲痛に歪む。

 破滅者は彼女に思考時間を与えなかった。


「借りるぜ……」


 彼女の長刀を手からもぎ取ると後ろに跳ぶ。

 彼女の特殊能力”闇”で追撃されそうになったからだ。


 闇のスキルの詳細はまだ不詳。

 たとえ破滅者といえど、油断はできないだろう。


「分かってるじゃない」


 彼女は手袋をあからさまに外すと、その手からは大量の闇が現れる。

 その闇は、煙のように蔓延し、彼らを取り巻いた。

 

逃鎖(ロックチェン)


「ほう……」


 破滅者は関心を示したかのか眼に光が宿る。

 

「これで逃げられないねぇ、存分に楽しませて」


 ニヤリと笑いを浮かべると、一直線に向かう。

 長刀を下段から振り上げると、彼女は難なく避けてカウンターをかます。


 すると、見事モロに当たり、吹き飛ぶ。

 2メートル程だろうか。

 

 避けられる速度だった。

 なんで当たったんだろう?

 そういえば避ける瞬間、目の前が真っ暗になったような気がするね……


 彼女が発動した技は“極夜“と呼ばれているもの。

 視界が完全にOFF状態になる技である。

 但し、使用者の視界もOFFになるリスクを負っている危険な技だ。

 視界がカットされる時間は約3分程。

 

「なるほど……。僕の視界をOFFにして丸焼きにする気なのかい? 生憎だが、僕にはもう通用しないね」


「試してみなきゃ、分かんないでしょ?」


 かかと落としがくるね。

 これは威力ありそうだ。 


 破滅者は周囲の音で攻撃を判別している。

 彼のこの状態での聴力はいつもの状態の六倍は聞こえるそうだ。

 ちなみにいつもの状態の静真も聴力だけは高いため、破滅者かなりの聴力の持ち主だといえる。


「なにっ!?」


 静真は片手で闇の炎を纏った蹴りを止めてみせた。

 闇の炎は、心の闇に比例して威力が向上する。

 彼女は反社会組織の頂点に君臨するボスである

 つまり部下たちの期待を背負い、責務を全うしているのだ。

 そのこともあってか、彼女の心にはとんでもない闇が潜んでいる。

 そんな彼女の攻撃をこの男は片手で止めた。


「つまんねぇ」


 ボソッと呟いた。

 彼女に“聞こえるように“だ。


「貴様、殺すぞ」


 彼女の背中に、宙に浮いた巨大な闇腕が一瞬にして作られ、その怨念の塊とも言える闇の巨躯がロケットのように上空へ直進。


 アジトの天井を突き抜け、ずっと遠くへ飛んでいった。


「君は僕に何がしたいのかな……?」


 皮肉を含んだ笑いを投げかける。

 

 彼女はそれに応えるように微笑んだ。

 

「おや?」


 アームは空中分解したようだ。

 闇が高度に耐えられなかったのだろう。

 闇腕にも当然、効果範囲はある。

 

「やはり君、何がしたいかわからないな〜」


 上空から瓦解した闇腕の断片が地上に落下する。


 なんで、闇が残ってる……?

 効果範囲を超えたら消えるはずだが。


「なっ……!?」


 なんと闇の断片が風船のように膨らみ、闇腕を形成し、地上にいる破滅者の方へ直進。

 それも断片の一つ一つが、だ。

 

 彼に天文学的な数もの闇腕が降り注ぐのであった。



 

 

 

 


 

 

 


 

 



 

 

 

 

読んでもらえて感謝です!!


【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしてもらえると、すごーく嬉しいです



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ