4話 悪の組織に勧誘された
俺はその後、怪しいアジトに連れてこられた。
半ば強制的に。
【無能力】の俺がどうして連行されたか未だ分からない。
心配だった学校の方は、工作員がなんとかするらしい。
バレたらその時だろう。
アジトはイメージ通りの廃棄ビル、ではなく現実世界とは”別の空間“にあるようだ。
信じ難い話だが、反社会組織は現実世界には存在せず、まさに裏世界に存在するらしい。
割と中は広く、オシャレな空間も有れば殺風景な空間もある。
部屋によって、その差が著しい。
そして、今俺の目の前にいる女は頭領の毒腹佐奈美。
どう見ても頭領には思えない……
年齢は推定20代前半で、とりわけの美女だ。
体型は華奢だが、胸は見た方も聞いた事もないほど大きく、透き通るような真っ白な肌。
おまけに服装はきわどく、アレがポロッと出てしまいそうだ。
「貴様が例の小僧か?」
彼女はこちらを見向きもせず、目の前のスクリーンと睨めっこしている。
「そうです」
声が思わず出てしまうほどの恐怖感を身に纏っている、そんな感じだ。
「貴様、特殊能力は?」
「いえ……ありません」
彼女は呆れたように短いため息を吐くと、席から立ち上がった。
片手には墨色の手袋が装着されており、スカートのポケットから一枚の紙を取り出す。
「これは……?」
「見て分からんのか、お前のパーティーだ」
いやいや、わからないだろ!!
それにこの組織に入るとか、言ってないし。
大体、何で俺が勧誘されてんだ?
ツッコミを心の中で入れつつ、目の前に並んだ名前に目を通す。
「夜行、冬美、エリーナ……」
どうやらこの人たちが俺のパーティーメンバーらしいが、どうも組む気にはなれない。
無能力の俺など足を引っ張るだけだろう。
「納得いってないようだな」
彼女の目つきが一段と鋭くなった。
まさに猛獣。
過酷であろう世界で戦う人はどうも何かちがうようだ。
俺は彼女の目を捉え、首を縦に振る。
「そうか」と言うと、彼女は片手に持ったメンバーリストを地面に投げ捨て、頭をポンポン叩いてきた。
「お前、まさか“あのこと”を覚えてないのか?」
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