1話 親友が死んだあの日
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俺にはいわゆる「特殊能力」というものはなかった。
特殊能力がない為、国の治安を守る「虹光騎士団」入団のスタートラインにすら立てていない。
大体5歳で発現し、10歳になったら発現はほぼ不可能だと言われている。
俺は今年で17歳だから、望みは薄いだろう。
しかし、この世の中もまだ捨てたもんじゃない。
特殊能力持ちの奴らが、無能力のために戦う団体もいる。
一括りにして反社会組織。
この国での反社会組織の代表格と言えば【ジ・エンド】だろう。
「四鬼静真!! 起きろ」
「……ん?」
どうやら先生にチョークを投げられたようだ。
後頭部をさすってみると少し腫れ物が出来ていた。
ちなみに何故フルネームで呼ばれてるかと言うと、このクラスに双子の弟がいるからだ。
弟の名前は四鬼龍馬。
俺とは違い、優秀だ。
特殊能力は【転移】
ちなみに龍馬は性格も優しく、友人も多い。
俺とは月とすっぽんだ。
兄弟の仲は……それほど良くない。
「今日の授業はここまで、来週テストだぞ〜」
中には嫌そうな顔をする奴もいるが大抵は満更ではない表情だ。
当然だろう。
この学校はエリートが集う場所。
貴族や王族、平民の中から特に優れたものが選ばれ、この学校に配属される。
特に目立った特徴もない俺が、未だに選抜された理由が分からない。
「静真〜、今日何か予定ある?」
そう訊ねてきたのはクラスメイトの如月美麗だ。
その後ろには三島結愛がいた。
この二人は九ヶ島学園の二大巨頭と言われている。
大部分の男子は二大巨頭のどちらかに恋をしているらしい。
俺とは無縁であろう人だが、二人とも気遣ってくれているのかよく話しかけてくる。
「今日は俺と約束してるだ〜」
そう言い、ひょっこりと背後から顔を出してきたのは二階堂爽太。
名前通り爽やかなイケメンだ。
虹光騎士団所属で、特殊能力は《灼熱》
その真っ黒な瞳は能力発動時に真紅な瞳に変貌し、その瞳で見られたものは焼き尽くすような痛みを感じるらしい。
ついでに、約束した覚えは無い。
「きゃーーーー」
突然、廊下から空気をひっかくような悲鳴が鳴り響いた。
「ちょっと、俺行ってくる」
「俺も行くわ!!」
クラスメイト達は、一斉に扉を強引に開けて悲鳴がした方向へと走り出した。
「あいつ、どんだけ足速いんだよ……」
爽太の走行スピードは俺とは比べ物にならないほど速い。
そこら辺の騎士でも、相手にはならないだろう。
「雑魚どもを狩に来た」
「「「「!?」」」」
死神のトレードマークが刺繍されてるスーツを着てるのか……!?
死神と言えば、【ジ・エンド】のトレードマークだ。
そんな奴が今、俺たちにナイフを向けている。
爽太は「戻れ」とサインを送ると、皆は蜘蛛の巣を散らすように逃げていった。
「ほう……殺すには惜しい」
何なんだ……?
このとんでもない威圧感は……
その男は、言葉には表現できないほどの禍々しさを身に纏っていた。
こいつには、勝てない。
たとえ、爽太でも。
「爽太!! 逃げ……」
あ……れ?
嘘……だろ?
爽太は胸を貫かれていた。
血を一滴も出さず。
――プツン
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