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090.見覚えのある顔●

「ちょちょちょい! エニグマ! 待ってよ!」


 ソウタを見た瞬間、見事なまでに一瞬で方向転換をしたエニグマを引き留める。


「気安く触らないでくれるかしら?

あなたの変態が移ってしまいそうで困るのよね」


 エニグマはソウタと顔を合わせないように必死だ。

 ソウタがエニグマの正面に来ようとすれば、すかさず反対方向へ向き直す。

 その繰り返しを数回行っていた。


「なんだお前たち、知り合いだったのか?」


「そうです!」とソウタ。

「違います!」とエニグマ。


 二人して一瞬のうちに真逆の返答をした。


「おいおい、どっちだよ」


 アルバドールの問いかけに、一緒にアルバドールへの方へ顔を向けた二人。

 ソウタはそのタイミングでやっとエニグマの顔を見る事が出来た。


 そしたらエニグマも横目でチラりとこちらに視線を向けていたのに気が付く。


 ソウタは確信した。

 やはりお互いに思っていた事は同じだなと。


 あの時、リリーシェの言葉足らずな説明でエニグマに変態だと侮蔑された。

 でもやっぱり本心では言い過ぎたかもしれないと後々思ってしまい、自分の発言に後悔していたのだろう。ツンデレキャラクターあるあるなパターンである。


 製作者のソウタ自身もそれを分かってエニグマの性格を決めたのだから。


 と、言う事はエニグマは本気で嫌っているわけではない。

 一度行ってしまった言葉に責任を感じて、どう接していいか分からなくなっているだけなのだ。なんて分かりやすいのだろう。こういう所も含め、愛おしい。


 ソウタの視線に気が付いたのか、エニグマは目線をアルバールにさっと戻した。

 ソウタはそんなエニグマの行動に笑みを浮かべながら、エニグマと一緒にこの部屋にきたイリューと名乗る人物を探すべく部屋をキョロキョロを見渡した。


(あれ、確かに二人いたよな? どこにいるんだ?)


 ソウタがイリューと名乗った人物を探していると、開きっぱなしのマスター室の扉の奥でひょっこりと白い髪が顔を出しているが見えた。


「エニグマ。イリューって名乗ってた人ははあそこで隠れている人かな?」


「え? 隠れる? 何を言って……」


 ソウタが扉の方を指を指すと、エニグマもそこへ顔を向けた。


「あんた、なんで隠れているのよ。さっさと部屋に入りなさい」


「……え。えっと。だ、だって……ア、アていいのか不明?」


 ソウタはどこか聞き覚えのある声と、髪の色に既視感を覚えた。


「エニグマ、イリューって人はそんなに恥ずかしがり屋なの?

ちっともここに入ってこようとしないんだけど」


「さあね。私もたまたまここへ来る途中で会っただけだからそこまでは。

それよりも私は性格どうこうよりも、その容姿に驚いたわ」


「容姿? なんで?」


 ソウタが疑問を投げると、アルバドールが笑った。


「ハハッ。そりゃあ驚くよな!

俺だって驚いたからな。なんせ容姿はほとんどあいつに瓜二つ。

逆にこの東エリアで驚かない奴の方が少ないわな」


「そこまで言われたら気になるな」


「お、そうこう言っていたらほら見ろ。顔を覗かせたぜ」


 ソウタはアルバドールの言葉を聞いてすぐに後ろを振り向く。


「え? イリューって……」


 ソウタの目に映ったのは、大いに見覚えのある顔だった。

 ふんわりとしたミディアムボブの髪型。

 前髪は、左側だけ目が少し隠れる程にある長さの前髪。

 

「シラユキ、なにやってるの?」


 まぎれもないシラユキがそこに居た。


 だがシラユキと言われた彼女は首をぶんぶんと横に振った。


「ちがう。ワタシはイリュー。あなたに創られた存在」


「え?」


 ソウタは訳がわからなくなってしまった。


 何をふざけているんだシラユキは。

 別に今は他人のふりをする必要性がない。

 なのに何故へんな芝居を打っているんだ?

 というか、それよりも僕に創られた存在って言ったよな?

 なんで自分が誰かに創られた存在って自覚している?


(僕、シラユキには自分がこの世界の人じゃないって何も話してないぞ!?)


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