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084.Sランク試験-①-

 ソウタが着ていたマジックローブが規格外の熱により完全に燃え尽きた事で、マジックローブは跡形もなく燃え尽き、ソウタの顔が表に出た。


 それを見たフランシスカはヘルムの中で激しい剣幕で怒り狂う。

 そこから始まった臨時のSランク試験。


 ソウタはまさかこの場でSランク試験が行われると思っていなかったが、ここで思う存分戦ってフランシスカの機嫌が直ればいいだけの事。


 今ここでSランク試験の約束をすっぽかしたけじめをつける時だ。

 そして何より製作者として、本気で戦う姿が見てみたい気持ちもあった。


「貴様とはコロセウムで戦った。あの時は少し油断していただけだ。

私の本来の実力はあんなものじゃない」


「ああ、分かっているさ。君の強さは誰よりも僕がね」


「だから……!!!」


 フランシスカはぐっと足に力を込めた。


「何様のつもりなんだ貴様はあああああ!!」


 感情の増幅により、普段よりも力とスピードがある。

 フランシスカは一瞬にしてソウタの懐へと詰め寄った。


「間合いを詰めたあとは攻撃までの速度を加味して縦に剣を振る」


 ソウタの言う通り、フランシスカは間合いを詰める剣を縦に剣を振った。

 行動を読めているためソウタは容易くその攻撃を避ける。


「ちぃっ!! 避けるなあああ!」


「避けられた場合、追撃のためにすぐ攻撃姿勢に入れる突きを繰り出す」


 これもソウタの言う通り、すぐさま突きの体勢へと入り、攻撃してきた。

 そしてソウタはその剣に触れる。


「ごめんフランシスカ。悪いけど君に僕は倒せないかもね」


 ソウタの悪い癖だ。

 やはり自らのキャラクターを前にしてしまうと、どうしても出てしまう。


 ソウタは今、わざとフランシスカを逆なでするような事をしてしまっている。

 製作者故に、キャラの個性を引き出せるような状況になるとこうなってしまう。


 傲慢でプライドの高いフランシスカを前に言ってはいけない発言だ。


「倒せないだと? ふざけるなああ!」


 だが事実、フランシスカにソウタは倒せない。

 なぜならフランシスカの剣は今、ソウタに触れられているのだから。


「来い、守護者(ガーディアン)!」


「しまっ……!」


 フランシスカの剣がソウタの手から離れるのが少し遅かった。

 触れた時点でガーディアンの創造は始まっていたのだから。


 眩い光が収束し、形を成していく。

 そして現れたのはスマートな見た目で頭に鎧を被った守護者。

 右手に剣、左には盾と、オーソドックスな装備をしていた。


 守護者(ガーディアン)が生成されたのを見て、フランシスカは一旦距離を取る。


(コロセウムの時と形が違う……?)


 フランシスカはコロセウムでソウタが作り出した守護者の見た目と、今作り出された守護者の見た目が違うという事に違和感を覚える。

 そして持っている武器も、槍だったものが剣になっている。


 だが問題はそこじゃない。

 ソウタが作り出す守護者(ガーディアン)は自立型の召喚物。

 意志を持つ厄介な存在このうえなかった。

 

 1対1の状況が1対2になるという理不尽な状況になってしまった。

 だがそんなものがどうしたと、フランシスカはニヤりと笑う。


「確かに貴様のこの守護者(ガーディアン)を見たときは面をくらってあげた振りをしてあげたが、二度目の戦いにもなると対策法はいくらでもある」


 フランシスカは向かってくる守護者(ガーディアン)を具現化した翼で弾き飛ばす。

 そして真っ向からソウタに向かって剣を突き立て突撃した。


「あくまでも貴様はあの守護者(ガーディアン)に依存した強さ!

本体にさえ近づいて攻撃をすれば問題ない!!」


 ソウタとの距離、わずか数メートル。


 ソウタは向かってくるフランシスを見て攻撃パターンを思う浮かべた。


 フランシスカの真紅の片翼は空中での飛行や姿勢制御が行える具現化能力だ。

 それ故に、空中に飛び立つとその能力に頼って攻撃を繰り出す機会が多くなる。

 そして今まさに突進してきているが、馬鹿正直に突っ込んでくるわけじゃない。


 ソウタはフランシスカを作った本人だから分かる。


「くらえ! 応技、紅蓮斬撃波!」


 聞き覚えの無い単語が出てきたが、ソウタはこの技を知っている。


 具現化した真紅の片翼を、剣のように振りかざし炎を纏った斬撃を飛ばす。

 突進しながら対象に近づくまで何度も飛ばし続け、距離が十分に縮まったと同時に翼を使って急旋回し、対象の視界から自分を外すことで隙を生ませ、その隙に付け込む形で本命の攻撃。

 死角から武器に纏った炎をマナを斬撃として放出して全力の攻撃を放つ。


「どこから攻撃が来るか分からなければこうやるのみ!」


 ソウタの右手が眩く光り出す。


「創剣クレアール!」


 ソウタの右手には剣身の無い、柄だけの武器が握られている。


 フランシスカはソウタの具現化した武器を見て思い出す。

 あれには真紅の片翼を斬られた苦い思い出がある。


(攻撃場所が分からないのなら、マナそのものを斬られることもない。

あの具現化は確かに強力だが、攻撃を見られなければ問題はない)


 フランシスカは勝ちほかった顔をしながら叫ぶ。


「終わりだああああ!」


 フランシスカは全力の斬撃の放出と、翼から放たれる無数の炎のマナ攻撃でソウタに向けて応技・紅蓮斬撃波を放った。

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