033:誠心誠意●
膝を地面につけ、手で三角形をつくるように前方に配置。
セット、良し。
あとは頭を下げる。
僕の頭は風を切ってギルドの床に近づいて行った。
「なっ!?」
僕はフランシスカがヒビを作った床に、勢いのままに頭をつけた。
僕が頭突きまがいな土下座をかました事で、更にヒビが広がり一種のクレーターのような形になってしまったが、今はそれを気にしている場合じゃない。
命乞いにも匹敵するような謝罪をしなければヤバい。
さっきはフランシスカに対して弱いだのなんだの言ってしまったけど、フランシスカは全然弱くないし、むしろめちゃくちゃ強い。
もう、ありえないくらいに。
あの斧……。
正確には可変する武器バリアブルスを軽々と担ぎ上げるくらいの馬鹿力。
それに加えて加護が付与されている防具一式。
更に極めつけは【神器:バリアブルス】の性能を最大限に引き出すために設定したフランシスカの能力である【変幻自在】
などなど、色々と盛った設定が仇となって目の前に具現化しているんだ。
正直、弱いわけがない。
僕が自ら太鼓判を押してそう言えるくらいには強い。
どれくらい強いかって?
そりゃあもうゲームとかで序盤に出てくる蛮族風情が、いきなりラストダンジョンに飛ばされてそこのモンスターに蹂躙されるって思えば良いだろう。
それくらい、今の僕とフランシスカには圧倒的な力の差がある……、はず。
本当にあるのか?
確かにフランシスカは強い。
でもその強さの決めたのは僕だ。
だったらフランシスカの特徴を知り尽くしている僕なら、全く歯が立たない相手でもないと言える。でも、戦闘から始まった異世界生活。立て続けに戦ってばかりで疲れたって言うのもあるから、休みたい。
それに、たとえフランシスカの事をしっているとて、そこには埋められない戦闘経験の差というものがあるだろう。だから結局は僕の勝ち目は薄い。
と、いうわけで。
「ほんっっっっとうにすみませんでしたああああ!!」
「なんだなんだ!? 急に大声を出すな、びっくりするだろ!」
僕が頭を床に打ち付ける度に、ヒビが広がりクレーターが大きくなっていく。
それくらい本気で謝っているんだぞアピールをしないと、フランシスカから許しがもらえないと思ってやっている行動。まあまあ痛いけど、フランシスカにボコられるよりかはマシだ。
「先ほどは!」
ガツンッ!
「失礼な言動をとってしまい!」
ガツンッ!
「本当にっ!」
ガツンッ!
「申し訳ありませんでしたああああ!」
「おい、もうよせ! 額から血が出てきているぞ!」
慌てるように僕の方へ駆け寄って来たフランシスカ。
「じゃあさっきの僕の発言、許してくれるんですか!?」
「いいや、許さん。私はお前の行動が痛々しいから止めにきただけだ」
ガツンッ!
「わかった! わかったからやめてくれ。見てるこっちが心配になってくる!」
フランシスカが僕の上半身を支えようとしていたが……。
「なんだ、この力は……!」
勢いをつけた僕の体は地面に向かっている真っ最中。
その勢いは僕でも殺すことが出来ず、支えに来たフランシスカが地面に膝をつけてやっと止められるレベルの威力だった。
……僕、こんな力で土下座をかましていたのか。
土下座をするのに集中し過ぎていたせいで、僕の全ての力が土下座という行為に一点集中されていたのかもしれない。
それを受け止められたフランシスカも大概だけど。
というか、膝をつかせてしまった。
これまたまずい状況になってしまっているんじゃないだろうか?
そう思っている矢先、口を開いたのはフランシスだった。
「この私に膝をつかせるなんて中々じゃないか」
「そ、それほどでも」
「貴様のこの力、私が受けて来た中でも相当の物だった。もちろんこの世界で一番力が強いのはこの私だが、その次に強かった」
あれ?
意外にも口から出て来たのは称賛の言葉だった。
てっきり膝をつかせた事を怒るんじゃないかと思っていたけどなぁ。
僕は立ち上がりながら、フランシスカの手を握って引っ張ってあげたけど、ペシンとほどかれた。「貴様の手をかりずとも立てる。余計なお世話だ」だって。
お互いに立ち上がった。
そしてまたしてもフランシスカが先に口を開く。
僕の誠心誠意の謝罪が伝わったのか聞きたいのに聞けない。
僕のターン、いつ渡ってくるんだろう。
「その……、なんだ。一応念のために聞いておくが、貴様は何の練技を使ってこれほどまでの力を出していた? やはり身体強化の練技か?」
フランシスカは「念のためだからな! 決して私が嫉妬してしまったとか、興味を持ったとか、そいう理由で聞くわけじゃないからな!」と声を荒げながら主張していた。
傲慢が故のプライドで、素直になれていないのが可愛い。
ぐっ……、言いたい!
何も練技は使っていませんって言いたい!
そしてフランシスカに驚かれたい!
正直こういうシチュエーション大好きなんだ。
実はこいつ強いのか? 的なことを思われたい。
人間なら誰もがこういう事に憧れを持つもの。
でもここはぐっと我慢をしなければ。
怒りが沈静化している今がチャンスだ。
また余計なことを言ってフランシスカの怒りを買ったら洒落にならない。
「練技なんて使っていない。これは僕の素の力だ、どうだ驚いたか?」
僕のばかやろおおおおおおお!
どうして自分の作ったキャラクターの前だとこうなってしまうんだああ!
興奮のせいなのか!?
テンションが上がっているから歯止めがきかなくなっているのか!?
それともさっき演じた傲慢キャラが抜けきっていなかったのか!?
僕は恐る恐るフランシスカの顔色をうかがった。
あ、兜しか見えないんだった。
「貴様、さっきはあんなに謝っていたのにどういう風の吹き回しだ? それに練技を使っていないだなんて馬鹿を言うんじゃない。私にそんな冗談は通用しないぞ」
フランシスカは笑いながらそう告げる。
た、助かったのか……?
フランシスカが冗談だと思ってくれたってことは助かったんだな!
てっきり静まり返った怒りがまた噴火するかと思っていたけど、どうやら冗談だと解釈してくれたから命拾いした。本当に助かった。
「ばれちゃいましたか。さすがにこんな嘘は誰でも見破れますよね~」
「当たり前だ。こんな力は練技なしでは出せるものではないからな。嘘が下手な奴だ」
「じゃあこの事も気づいていたと思うんですけど、僕、実はずっとあなたに対抗して強がっていたんですが、それには気づいていましたか?」
それとなく、実はフランシスカの傲慢キャラに合わせて強がっていただけだと言ってみたけど、ちゃんと僕の言葉は届いてくれるだろうか?
「なるほど。貴様のさっきまでの言動は全部私に合わせてやっていた事なのだな? 私がそれに気づけずに感情にまかせて先走ってしまったというわけか。私もまだまだ未熟だな」
腕を組みながら納得したように頷いている。
傲慢で素直じゃないが、自分の非は素直に認める。
これもフランシスカにつけた設定通りだ。
そういう性格だとしっているからこそ、聞いてみたい事がある。
僕の悪い癖だろうか?
いや確実に悪い癖だろうけど、それを見てうずいてしまった。
「意外ですね。てっきり強がって僕が演技していたことを知らなかったのに、分かったような口ぶりで何か言うかと思っていたんですけど」
「な!? 貴様は私をなんだと思っているんだ!」
「傲慢でお調子者。おまけに素直になれなくて可愛いな~って」
「どうやらまた私を怒らせたいみたいだな?」
フランシスカが一瞬にして僕の喉元に斧の刃先を突き付けてきた。
「う~ん、リリーシェはもっと殺気を込めて僕の首に刃を当てて本気で斬りかかって来たから、こんな物じゃ僕は動じないよ」
「本当に怒るぞ?」
ジリジリと斧が喉元に近づいてくる。
いや、もう当たってる。
このままじゃ本当に死んじゃう。
「すみませんでした」
もうこれ以上は弄るのはやめよう。
本当に僕の悪い癖だな。
自分の作ったキャラクターが前にいるとなると、ほかの人以上に……。いや、もしかしたら本人以上に知っている情報が多いから、つい弄りたくなってしまう。
この感情はそう、好きな子にいたずらしたくなるあの気持ちと一緒!
僕が特別おかしいってわけでも、悪い癖をもっているわけでもない。
いたって自然なことなんだ。
とはいっても、また本気で怒らせたくない。
ここらへんで節度をわきまえるべきだな。
「それにしても貴様はなかなか度胸があるみたいだな。この私を前にしても委縮せずに勇敢に立ち向かったり、私の脅しにも動じないその姿勢。私はお前が少しだけ気に入った」
なにはともあれ、僕は許してもらったみたいだ。
これでフランシスカと闘わなくて済む……。
無事Aランクにもなれそうだし、これで安泰だ。思えば異世界に来てからまだ一日目だ。オーガから始まり、シラユキに気絶されられ、アリエルの街でアルディウスと戦い、続けてエルドリックと手合わせをし、その後はリリーシェと殺し合い。
濃密すぎるほどの一日だ。
波乱万丈とはこのことだな。
「初めて会う人に気に入られたのは初めてです。ありがとうございます」
「私のことは本当に知らなかったんだな……。それだけはやっぱり腑に落ちない」
最後の方だけめちゃくちゃ小声でつぶやいていた。
僕の耳はそれを聞き逃さずにちゃんとキャッチしていますよ。
「それでは僕はこれで。また明日お会いしましょうフランシスカさん」
僕がフランシスカに背中を向けてこの場から退場しようとしたとき、肩をガッチリと掴まれた。
「おい、どこに行く気だ。私との勝負はまだ終わっていないだろ」
「え……、勝負……、やるんですか?」
「当たり前だろ。お前から勝負をしようと言ってきたじゃないか。私は一度うけた勝負は決着をつけさせないと気が済まないタイプだからさっさと闘技エリアに行くぞ」
「あの……、僕のこと許してくれたんじゃないんですか?」
「それとこれとは話が別だ。勝負は勝負。それに単純にお前と闘ってみたいんだ。もとよりその目的でお前を探していたからな」
だああああああ!
やっぱりSランクの試験は避けては通れない道なのか!
「あの~、僕ずっと闘いっぱなしで疲れているんでコンディションが最高じゃないんですよね」
「なに? リリーシェと闘っただけで疲れたというのか?」
「いえ、ストロングオーガから始まり、アルディウスという名前の冒険者、そしてエルドリックとも戦ってきました。それも一日のうちに。なのでヘトヘトなんですよ」
今日はもう闘いたくないという気持ちが優先してしまい、事実をツラツラと口からだしてしまった。正直、これがどのレベルで凄い事なのかはわからないけど、僕の強さをフランシスカと周りにいた冒険者たちに知らしめてしまうことになった。
フランシスカに至っては、信じられないと驚いたあげくに、ますます僕に興味を持ってしまったみたいで「お前とは絶対に闘いたい」と言わせてしまう始末。
勘弁してくれ……。
【傲慢と傲慢】
なんだと……?
この男、今何と言った?
「お初にお目にかかります」と言っていたか?
フランシスカは大変怒っていた。
というのも、フランシスカにとって自分の存在は世界の共通認識として全世界の人々に刷り込まれているものだと思っていたからだ。
その概念が覆されるような発言を、目の前の男が言ったため、怒らずにはいられなかった。
(クレアール大陸では私の名前と強さを知らないものはいない。そう思っていたのに、まさかこんな場所で、こんな男にその事実を覆されるなんて……)
「ありえないだろ、そんなの!」
フランシスカは誰にも聞こえないほどの声量で静かに怒り、声を出した。
こいつ、なんなんだ! どうして私を知らないんだ!
何かの冗談か?
……だが、この私を前にそんな冗談が言える奴なんて今まで誰もいなかった。
私に恐れているか知らないが、みんな畏まって喋るからだ。
だけどこの男、ソウタと言ったか?
こいつは私を見て冗談が言えている。
と、いう事はつまり私のことを知らないという事なんだよな?
くそっ!
フランシスカは謎の敗北感を味わってしまい、眉間にしわを寄せた。
自分をしらないソウタに対しての、怒りの現れだった。
今のうちに顔に怒りを出して、この気持ちを発散させよう。
兜をかぶっていているから、相手からは私の顔が見えない。
フランシスカは相手からは自分の顔が見えていないこの状況をうまく使い、態度では冷静を装いつつ、顔には激しい怒りを思いっきり出して、今の悔しい気持ちを発散させていた。
歯を強く嚙み締めたり、小声で静かにソウタに対して怒りの言葉を発したりと。
「では、改めて。あなたが審査官の方々がいっていたフランシスカさんですか?」
!?
苛立ちを解消するために周りが見えていなかった。
フランシスカはソウタからの急な声掛けに、体をびくっと震わせた。
あ、危ない。つい自分だけの世界に入るところだった。
それにしてもこいつ、さっきまで凄い棒読みで挨拶していたのに今度はしっかりとやっているな。
ソウタのコロコロ変わると態度に少しだけ困惑しているフランシスカだった。
……しかし、このまま動揺しているだけでは駄目だ。
私のことが分からないのなら、こいつに私の強さを知らしめる必要がある。
そう、私を知らないなんてことは、あってはならないんだ。
知らないのなら教えればいい。
強さは、見せつければいい。
私が最強だと、自慢すればいい。
フランシスカはそう思いながら、ソウタに対して自分をこれでもかと言わんばかりに主張しながら自己紹介をした。
こいつは小手調べで大したことがないやつだと知ってしまった。
だから本当は私が相手をするまでもないけど、私の存在を知っていないとなると話は別だ。徹底的に教え込み、私のことを頭の天辺から足の爪先まで覚えせる。
そうでもしないと私の気が収まらない。
さあ、お勉強の時間だぞ!
フランシスカは、手に持っていた戦斧を地面に突き立てながら、高々と自分のことをソウタに教えた。もう、めちゃくちゃ自慢げに。
自己紹介を終え、決まったといわんばかりにフランシスカは兜の中でドヤ顔を決めた。
「ふっ」と小さく呟いたその口は、見事に大きく口角が上がっていた。
だが、余韻に浸る暇もなく、フランシスカはソウタの謎の行動に驚いてしまった。
ソウタはフランシスカに向けて、親指を立てていた。
これが何を意味しているのか分からない。
ナイス! という意味なのだろうか?
でも、どうしてこのタイミングで親指を立てる必要がある?
いろいろと考えていたが、続けざまにソウタの口が動いた。
「う~ん、ナイス傲慢! 自分の強さに自信があるが故の発言。いいねいいね!【武器が斧】というのも、この場面に最っ高にあっているよ! 実際にフランシスカがこんな事を僕に言ってくれて興奮して来た!」
……こいつ、私のことは知らなかったんじゃなかったのか?
なんだその私を知ったような口ぶりは。
初対面のはずなのに私の武器のことも知っているような感じだった。
武器のことに触れたということは、やはりこいつは私をからかっていただけか?
それに傲慢だと? 失礼な奴だ。
私は当たり前のことを言っているだけだ。
それの何が傲慢だというんだ。
ソウタの発言に、いてもたってもいられなくなったフランシスカは、思わず疑問に思っていたことを口に出した。
「君、いきなり馴れ馴れしくなったな。さっきはあんなに畏まって話していたのに、急にどうしたんだ?」
フランシスカのこの発言をきっかけに、見事なまでにソウタからさっきまでの勢いが消えた。
同時に顔を引きつらせながら動揺している。
「それに私の事を知ったような口の利き方。きさ……、君は私とは初対面だったはずだがやけに詳しいな。どういう訳か説明してもらおうか」
ソウタへの猛攻は止まらない。
フランシスカはここぞとばかりに攻め立てる。
からかっていただけなのか、それとも本当に私のことを知らないのかを確認したかったからだ。
前者だったら、なかなか根性があるやつ。後者だったらフランシスカの凄さを知ってもらうまで強さをアピールしながら自慢話をし、自己主張をする。
どちらに転んでもフランシスカにとっては嬉しい答えになるが、ソウタからすると地獄だ。
ソウタからしてみればフランシスカが考えていることなど知る由もないため、どう答えを返すかを慎重に考えなければならない状況になっていた。
さあ、どっちだ!
そしてソウタがフランシスカとにらめっこしながら、導き出した答えに、フランシスカは激昂した。
「ふん、随分と思いあがっているみたいじゃないか。知らないふりをしたら弱い自分を強く見せるために主張しがって、この天狗め。Sランク? そんな物を強さの指標にしている時点でお前は二流。だから僕が自称最強のお前を完膚なきまでに叩き潰して本当のSランクとして、このギルドに君臨する」
……なんだと?
こいつ、私に向かって何と言った?
弱い自分を強く見せるために主張した、だと?
私は強いからそんなことを言う必要性がない。
いや、そこではないだろ。
もっと聞き捨てならない発言があった。
「二流」だと?
こいつは、この私が二流だと言っていたな。
私は常に最強の座に居座る者だ。
俗にいう王者なのだ。
その王に向かって、こいつは二流といった。
とても許しがたい発言だ。
フランシスカは静かに怒りを露わにした。
こいつは確かリリーシェに勝っている。
だからこの私にも勝てると思っているのだろうか?
……浅はかな考えだ!
この私はそう甘くない!
フランシスカは戦斧をソウタに向けて力の限り振り下ろした。が、いつもより感情が高ぶりマナのコントロールを乱していため【神器:バリアブルス】を予定していた長さよりも多く伸ばしてしまった。
しまった……、しょうもないミスを!
こいつの顔からある程度をとった場所で斧を止めるつもりだったが、このままじゃ脳天に直撃してしまう!
流石に私とこの男との距離が近すぎる!
いま急いで縮めても頭に直撃は免れない!
フランシスカは必死にバリアブルスの長さを縮めたが、やはりソウタとの距離が近かった。
予想通りどんなに速く縮めても顔面直撃は免れないだろう。
ソウタに振り下ろされた斧を見て、フランシスカ含めその場の誰もがそう思っていた。
……しかし。
(な、なんだと!?)
当の本人が一番驚いてしまった。
戦斧はソウタの顔には当たらず、凄まじい風切り音とともに床に叩きつけられた。
戦斧が地面に当たると、ギルドの床にヒビを作った。
ギルドの床は特殊な素材で作られているため、そうやすやすと傷をつけられることは出来ないが、フランシスカはその床にたったの一振りで傷をつけた。
だが、フランシスカは最初から床に斧を叩きつけるつもりはなかった。
じゃあなぜ叩きつけたのか。
答えは簡単で、動揺して手元が狂ってしまったからだ。
(こいつ……、私の攻撃のタイミングや特徴。バリアブルスが変化するタイミングなんかを全て知っているかのような動きだった。じゃないとあんなに余裕そうな顔で後ろに下がって刃が当たらない場所に行けるはずがない)
フランシスカは本来、顔の前で止めるはずだった斧を叩きつけてしまうほどに、ソウタに驚いてしまっていた。
どうやら口先だけではなさそうだな。
面白い、この私が心の底から叩きのめしてみたいという欲が出てきたのは初めてだ。
こういう奴を上からねじ伏せてこそ真の強者というもの。
なんせ私の攻撃速度に余裕をもって反応できる男だ。
きっと楽しませてくれるに違いない。
……だけど驚いてばかりでは私の名が廃る。
実力は本物かもしれないが、さっきから傲慢な態度をとっているこいつには私もそれにふさわしい態度で挑まないといけないな。
傲慢には傲慢で対応だ!
こうしてフランシスカとソウタの言い合いが始まったが、結果的にフランシスカがソウタの傲慢発言に耐えられず、怒ってしまった。
ソウタにSランクの試験を通して、私を怒らせたことを後悔させてやるという気持ちにさせ、徹底的に本気でぶっ潰してやると心に決めさせてしまった。




