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キャラクリしてたら異世界に飛ばされた件について。 ~僕が作って来たキャラクター達が異世界で最強でした。加えて僕が持っている【創造】の力も万能すぎて困ってます~  作者: うさぎ五夜
~第2章 死を運ぶ少女~

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024.柔らかい感触

 お風呂場に向かう途中、入り口の方から見える外の景色がうっすらと暗くなっているのが見えた。今は何時ごろなんだろうか。

 この世界に来てから時間というものを気にしてはいなかったけど、僕の中の体内時計が正しければ、今は18時ごろって感じかな。


 と、考えつつもシラユキがいないかと辺りを確認しながら歩いていた。道中、リリーシェから太ももを蹴られたけど、あのときみたいに痛くはなかった。



……ついに来てしまったか。


お風呂場と(おぼ)しき場所に着いた。大扉の横にあるプレートの色が赤色になっているのを見て、僕はもしかしてと思いリリーシェに質問した。


「リリーシェ、この赤色のプレートって、女性がお風呂場を使える時間って言うのを表していると思うんだけど、違う?」


「正解。どうしてそんな事を聞く?」


「気にしない方がおかしいと思うんだけど」


「疑問。ソウタもそんな事を気にするのか」


「気にするよ! だって僕は男で、今お風呂場に居るのは女の人だよ?」


「私は気にしない。赤色のときなら尚更な。でも、理由は分からないけど、青色のプレートになっているときにお風呂に入ると追い出されたり、他の女の子に止められたりする。どうして?」


 あっ、やっぱりリリーシェって一般的な常識がないのかもしれない。


「同然。私がどうして男の人とお風呂に入ったらダメなのかっていう疑問には皆、口をそろえて私が女の子だからって言うんだ」


 これはチャンスだ! ここで上手くリリーシェを言いくるめられたら一緒にお風呂に入らずに済むかもしれない! 失敗は許されないミッションだ。


「そりゃあそうだよ。リリーシェは女の子だから一般的には、僕みたいな男の人と一緒に入るのはダメなんだよ?」


 何かを思い出したかのようにリリーシェが「あっ」と口走った。


「俺は男だからソウタと入っても大丈夫」


「リリーシェ、さっきからずっとキャラ付け忘れていたよね?」


 僕がそう指摘すると、リリーシェは背中から降りて耳を塞ぎ、大扉の前まで歩いて行った。僕の言葉を聞かないようにしている。可愛い誤魔化し方だ。


 ってそういう場面じゃないだろ僕! ここで問い詰めないと、一緒にお風呂に入るのを辞めさせられないじゃないか!


 そう思いリリーシェを止めようとしたけど、時すでに遅し。

「人払いをしてくる」と言い、リリーシェはお風呂場に入っていった。


 しばらくすると、扉の奥から悲鳴が漏れ出してきた。

 勢いよく扉が開かれると、タオルと衣服を抱え込んだ女性たちが慌ただしく出てきて、足早とこの場から去って行った。


 人払いって、強引にお風呂場から出させる事だったのか。

 一体どんな手を使ったんだろう。


 湯気の中から小さい人影が見えて来た。


「解決。さあソウタ、これで人はいなくなった。男同士だから一緒に入れるよ」


 もう観念するしかないか。僕はリリーシェが手招きして待機している大扉の向こう側、もといお風呂場へ足を進めた。


 まず目に見に映ったのは脱衣所のような場所だった。

 どちらかというと銭湯のような場所に近いタイプの脱衣所だけど、意外にも元いた世界の脱衣所のイメージととあんまり変わっているところは無かった。

 

 広々とした空間の端には、衣服を収納する棚が並んでいて、中央にはゆったりとくつろいで座れる大きい椅子が設置されていた。


 丁度良い涼しさの風が流れている。恐らく魔法か何かで作り出している風だと思うけど、火照った体にこの風を浴びせたら、凄く気持ちいに違いない。


「そこは良い場所。私も気に入っている……じゃないや。俺も気に入っている」


 リリーシェ、そこは口に出さなくていい所だよ! というよりも俺って言うのに慣れていなさ過ぎて全然キャラが定まってないよこの子!


「はやく脱ぐ。そして疲れた体を癒しに行こう」


 そういうと羽織っていたローブを、ゆっくりと脱ぎ始めた。とっさにリリーシェに背を向けて、せめて着替えだけは見ないという意思を見せた。


 衣服の擦れる音が聞こえてくるたびに、変に意識をしてしまう。完全に露出がない衣服を着ていたリリーシェの服の下を、これから見るってなると、そういう気分にもなってくる。


 一応リリーシェを見ないようにと、反対側を向いて着替えるつもりだったのに、向こうから僕の方へと歩み寄って来た。


「手を出せ。俺が男だって言う証拠を見せる」


 僕は目を疑った。なんという格好だ!

 中に着ていた服とローブのボタンは既に外れていて、丁度リリーシェの胸を隠すようにふわっと左右に広がっている。


 ぐぅ! その格好は僕にはどストライクなんだ。

 下手に裸体を見るよりも見えそうで見えない、ギリギリを攻めたエロさが好きな僕にとって、今のリリーシェは刺激的すぎる。


 そんな自分の性癖に悶えていると、リリーシェが僕の手を掴み、強引に僕の手を胸に押し当てた。


「……あの? これは一体?」


 必死に自分の理性を抑え、リリーシェに質問する。


「女には胸があるけど、男にはない。さっき証拠を見せるっていったのはこれの事。私には胸がないから、これで私が男だっていう証明が出来た。だから一緒に入れる」


 なんという暴論を言っているんだこの子は!


 あります! ふたつ! 柔らかいのが!

 

 ほのかに手に伝わるこの感触。

 押し当てられた時にフニっと感じたあの感触は忘れることが出来ない。


 魅力的なちっぱいを僕は今、手で覆っている。


 でも、ダメだ。揉みたいという欲求をひたすらに我慢しないと、シラユキにあったときに謎の背徳感に襲われるに違いない。ここはひたすらに理性を抑えて我慢。


 …我慢。


「んっ……。何をしている?」


 ひたすらに我慢をしていたけど、僕は無意識のうちに、かすかに手を動かしてしまっていて、リリーシェの控えめな胸を一揉みしてしまっていた。


「……そろそろ手を離してほしい。何故かわからないけど、少しだけ恥ずかしい」


「ごごご、ごめん!」


 初めての感触をつい堪能してしまった。


 僕は人生で胸を触ったことおろか、胸を揉んだことすらないのに、その経験を一度に二度も味わってしまった。僕はなんて罪深い男なんだ。

 シラユキに申し訳ない気持ちが生まれるから絶対に手を動かさないって決めていたのに……。


 欲が強くて意志は弱いなんて……。普通は逆であるべきだろ!


「さっさと着替える。私はもう準備万端だぞ?」


 そう言ってリリーシェは頭に被っていたフードのようなものを外した。今までボンヤリとしか見えなかった顔に明かりがさした。


「凝視。どうしてそんなに見つめている?」


「失礼かもしれないけど、声の感じとかからリリーシェの顔を想像していたんだけど、予想していた顔よりもずっと可愛い顔(・・・・)してるなーって思ってさ。つい」


 全体的に癖っ毛で、腰辺りまで髪が伸びている。時おりローブから髪が見えていたけど、あれは横髪だったんだな。胸の位置より少し下あたりまで伸びている。


 リリーシェの髪の色は、ローブからチラチラと見えていたから薄緑色なのは知っていた。でもこうやって明るい場所でマジマジと見ると、綺麗な色だと感じた。

 濃ゆすぎず、薄すぎず、適度な色合い。僕がキャラクターをエディットする際によく使用する色彩でもあるから、かなり好みの色だ。


 目の色は僕と同じ紫……、というかピンク? に近いな。

 紫とピンクを合わせたような色だ。


 リリーシェはさっきから完全に開ききっていない目、ジト目とはまた違う目で全体的にボーっとした感じで僕を見つめていた。

 

「ふ~ん……」


「何に対してのふ~んなの?」


「聞くな」


 そう言ってリリーシェは、半脱ぎ状態だった服を脱ぎ、棚に乱暴に放り投げた。


「まってリリーシェ! 上はまだ許せるけど、せめて下は隠して!」


「? 隠す理由がわからない」


 リリーシェは首を傾げ、不思議そうに尋ねる。


「そこは簡単に異性には見せちゃいけない場所なんだ。だから普通は隠すんだよ」


「異性? だから私は男だ」


「分かったから、とりあえず下だけは隠して!」


「分かった。それと、ソウタもはやく脱ぐ」


 何とか下を隠させることには成功した。これである程度は目のやり場には困らないだろう。


 リリーシェに促されて、僕はそのまま服を脱いだ。


「むきむき? って言うんだっけ。ソウタは結構ガッチリしている」


「特に何かしていた訳じゃないけど、筋肉がカッコイイって理由で鍛えていたから、それなりに筋肉は付いている方かな」


 僕の方に近寄ってきて、身長が低いリリーシェは、手を目一杯(めいっぱい)のばしてペタペタと僕の胸を触ったりペチペチと叩いたり、腕を触ったりして感触を確かめていた。


「やっぱり私とは全然違う。硬いね」


「それは当たり前だよ、リリーシェ」


「そうなの?」


「そうだよ」


 リリーシェが目を落とし、視線が僕の下半身に向いていた。


「ソウタ? どうして下を脱がない?」


「リリーシェごめん、恥ずかしいから先に中に入っててほしいな」


「了解。ソウタもはやく来い」


 流石に見られながら脱ぐ趣味はない。というか恥ずかしい。


 それにリリーシェは男と女の違いというものが分かっていない気がする。こうも無防備だと、他の人と一緒に居る(・・・・・・・・・)ときが不安で仕方がないな。


 保護者面をしながら僕は、しみじみそう思っていた。


 ……柔らかかったな、あれは。

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