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キャラクリしてたら異世界に飛ばされた件について。 ~僕が作って来たキャラクター達が異世界で最強でした。加えて僕が持っている【創造】の力も万能すぎて困ってます~  作者: うさぎ五夜
~第2章 死を運ぶ少女~

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018.シラユキのいきなりすぎる意外な応援●

「……タ」


 うん? なんだろうこの声。

 聞き覚えのある可愛い声だ……。

 うぅ~ん、なんだか頭がクラクラするな。


 ……あれ? というか僕は何をしていたんだっけ? 

 え~っと確かエルニアに居ただろ?

 そこから転移の扉なるもので王都に転移しようとして……。


「ソウタ!」


 ――っは!?


 遠のく意識の中、ソウタはシラユキの声で目が覚めた。

 声がした方に顔を向けるとシラユキが心配そうにこちらの顔を覗いていた。


「ソウタ、大丈夫?」


「う、うん。大丈夫だよ。それよりも本当に転移は出来たの?」


 目の前にはエルニアの転移の扉と同じような大きな扉があり、既に開かれている。

 本当に転移したのだろうか。


「うん、バッチリ転移は出来ているよ。神殿の内装はほとんど同じ造りだから、初めて転移の扉を使う人はみんな同じ反応をするんだ。ソウタも私が思った通りの反応してくれたから予想通りだったよ! えへへ~」


 ソウタの反応がシラユキの思っていた反応とほぼ同じだったってだけでこんなにも嬉しそうにしている。こんの~、笑顔がいちいち可愛いんだから!


「シラユキ……」


「なに?」


 だあああ~! やっぱり自分が作ったキャラクターというのは特別勘があってめちゃくちゃ可愛く見えてしまう! 感情の抑制が効かない!


 ソウタは抑えられない気持ちをシラユキにぶつけるべく、顔を見つめた。


「100点だよ、シラユキ!」


「へ? なにが?」


「その笑顔が100点だ!」


「わ! わわわ~! ちょ、ちょっと急に言われても私が困っちゃうって! 

……でもありがと、ソウタ」


 モジモジしながら、少しだけ顔を赤らめている。


 あぁ、その姿も……その姿も……!


「その照れている姿も可愛い! 100点! いいや、全部100点!」


「なになに!? ソウタ急にどうしたの!? 嬉しいけどいきなりすぎて……」


「だってさ、エルニアにいた時めちゃくちゃ僕に対して冷たかった時あったし、何よりも素の君を知ってから、僕の中で君がより一層かわいく見えて仕方がないんだよ!」


「ズ、ズルいよソウタ……。いきなりそんな……」


 少しだけ何かを言いたそうに口をモゴモゴしていたけど、ソウタもシラユキも少しだけ冷静になって、恥ずかしくなってきていた。


「ソウタ! こ、こういう話はもっと二人っきりで落ち着ける場所で……」


「二人っきりで? はは~ん、さては変な事を考えて……」


 ソウタがそう言うと慌ててシラユキがソウタの口に手を当てて、口を塞いだ。


「ソウタが何を思ったのかは知らないけど、それ以上言ったらダメ!」


 ソウタは首を縦に振って、口を塞いでいたシラユキの手を離してもらった。ソウタの口から手を離したシラユキは、ハッとした顔をしながら自分の手を見つめていた。


 シラユキの白い肌がさっきからずっと赤いままだから、ソウタもこれ以上は感情を抑えて、照れさせるのはやめる事にした。


「じゃあ、そろそろ行こっか!」


 ソウタの後ろに立ち、背中を押しながらシラユキが言って来た。顔を見られたくないんだろうなと思いながらも、その行動が既に可愛いから可愛いを隠しきれていない。


 はぁ~、僕は幸せだ。

 ソウタはシラユキで頭が埋め尽くされて、なんで王都に来たのかも忘れていた。


 ――――――――


 ―――――


 ――


 …


 転移の扉がある神殿から出て、門を開閉する役割の兵士に質問された。


 シラユキが転移元の扉でエルドリックにソウタが実力を認められたことや、シラユキがソウタの身分を保証してくれたから特に疑いもなく通してもらった。


 兵士曰く、冒険者登録が済んでいない者が扉を使って出て来たというケースは初めての事らしく、今回ばかりはイレギュラーな対応が施された。

 シラユキや転移元の扉がある場所に確認を取り、身分を保証してもらいなんとか通して貰う事は出来たのだが、初めての場所で扉を使うにはやはり規則があるからどんな手を使ってでも使わせてもらえないらしい。


「……という事は!」


「どうしたの?」


「シラユキ! 僕ってここでAランク以上の冒険者として登録されなかったら、扉が使えないって事になるよね!?」


「あ……」


 シラユキが考えていなかった。というような顔をしてソウタから目を反らす。


 ぐっ、アホ可愛いけど少しだけ焦って来た!


「でもソウタならきっと大丈夫だよ! とっても強いから平気だって!」


「そもそも冒険者登録をして、すぐにAランク以上になれるわけがないじゃん!」


「安心して! 普通ならFランクから登録されるけど、エルドリックも言っていたみたいに、ソウタならAランク以上の実力はあるから大丈夫だよ……きっと!」


 何その少し怪しい間は!? 

 そもそも何で強いっていう理由で大丈夫と言い張れるんだろう。


 シラユキに聞いてみると、どうやら冒険者の登録方法は三種類あり、一つは試験用のモンスターを討伐する【討伐登録】。


 二つ目は特定のアイテムを採取、納品する【収集登録】。

 だがこの試験で冒険者登録を行うとランク上限があるらしい。

 聞くところによればCランク止まりになるとのことだ。


 そして最後は、最も高難度の試験とされている【闘技登録】。

 本来なら冒険者はFランクから登録される。

 だがその過程を飛ばし、最低Cランク以上から登録が出来る試験だ。


 これは各ランクの試験官となる冒険者と戦い、勝てば勝利したランクの試験官と同じ実力だと認められ、挑戦したランクから冒険者登録が出来るというシステムだった。


「これ本当の話なんだけどさ、

私Sランクの試験管に勝ったからSランクスタートだったんだよ?」


「またまたご冗談が上手ですな~」


「む~! その時の記憶はあんまり覚えてないけど本当なんだもん!」


 まあそのせいで苦労しているのはシラユキ本人なのだが。


「まあでも、冒険者ランクと同様にシラユキの可愛さはSランクだね!」


「も、もう! ソウタはいつもそうやって……」


 ソウタがシラユキに本音を言うと、シラユキが照れてモジモジするっていうお決まりのパターンだけど、これが普通に可愛いからずっと見てられる。


「いつもいきなりなんだから。ズルいよ……」

 シラユキはボソッとそう呟く。


「何がズルいの?」


「わ~! 何でもない! ……というか聞こえていたの!?」


「ねえ、シラユキ。何がズルいのか教えてよ」

 

「ととと、とりあえずアンファングの冒険者ギルド本部に行こうよ! 

ちゃちゃっと登録を済ませちゃお!」


「ま、それもそうだね。じゃあ行こうか」


 ソウタ達は王都へ足を進めた。


 流石は王都ってだけあって、かなりの人で賑わっている。

 人の数もさっきまでいたエルニアとは比較するまでもない。


 色々なお店や、立派な家が立ち並んでいる。

 そんな中、一際(ひときわ) 目立つ建物が二つ見えて来た。


「シラユキ、なんか立派な建物が二つあるけど、どっちが冒険者ギルド?」


「えっとね、あっちにある立派な城壁に囲まれている建物はルーンベルグ城で、こっちの無駄に綺麗で、無駄におっきな建物が冒険者ギルドの本部だよ!」


 確かに無駄にデカい。城の方は壮麗(そうれい)で、いかにも城って感じの見た目と城壁。遠めから見ているけど結構広い敷地を囲んでいるように見える。


 そして冒険者ギルドの方は、本部ってだけありシラユキの言っていた通り無駄にデカい。流石に城よりかはデカくはないけど、見た目も綺麗だし大きさもほどほど。本当に無駄にデカいって感じの表現が良く似合う建物だ。


「確かに、無駄にデカいね」


「やっぱりソウタもそう思う? なんでそう思っちゃうんだろうね」


「僕に言われても、それはわからないよシラユキ」


「永遠の謎だね!」


 ――段々と冒険者ギルドが近づいてきた。ソウタは本当にAランク以上の試験官と戦って勝つことが出来るのかと不安になっていた。

 思い返せば、そもそもエルドリックに実力を認められたのはソウタがエルドリックを知っていたからっていう偶然があったからだ。

 実際はエルドリックに勝てていた部分って一つもなかったんじゃ。

 

 頭にそんな事がよぎる。

 不安が顔に出ているソウタをシラユキが心配そうに見ていた。


「ソウタ、緊張しているるのか?」


「シラユキ、緊張しているからいつもの君で応援してほしい」


「い、今は無理だ。人前では流石に出来ない」


「シラユキのあの声を聞いたら不安なんて一気になくなるから! お願い!」


 なんか駄々をこねる子供みたいになっている。

 だがそんな事など気にしない。

 早急に可愛いシラユキ成分が摂取したかった。


「……どうしてもか?」


「うん!」


 ソウタが返事をすると、シラユキは辺りをキョロキョロし始めた。


 しばらくしてシラユキがソウタの服の裾をちょいちょいっと引っ張る。

 そのまま人気(ひとけ)のない場所に誘導された。


「ここなら誰にも見られないね」


「見られないね」


「ソウタはわがままだね」


「そ、そうかもしれないね……」


 人気のない場所で照れながら言葉を交わすシラユキ。

 その様子を見てソウタもドキドキしてしまっている。


「ソウタはさ、クールな私よりも今の私の方が好きって事だよね?」


「もう今ではすっかり、素のシラユキに(とりこ)にされているよ」


「ま、またいきなり……。いっつもソウタばっかりズルいよ……」


 そう言うとシラユキはソウタの横に移動した。

 右肩に手を置き、一生懸命に背伸びをしてソウタの頬に唇を……。


「……いつもズルされているおかえし。

ね? いきなり来ちゃうとビックリするでしょ?」


「あ、あわわ……」


「えへっ。ソウタ、ドキッとしちゃったの?」


「ありがとうシラユキイイイイ! ソウタ、絶対Aランクになってくるよおおおお!」


 ソウタは嬉しさと恥ずかしさと興奮と、色々な感情を背負ったまま冒険者ギルドの本部へ全速力で走って、その場から逃げるように立ち去った。


 あれは反則だろ! いきなりすぎるって!


 最後に見たシラユキの顔は、はにかんだような笑顔だった。

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