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キャラクリしてたら異世界に飛ばされた件について。 ~僕が作って来たキャラクター達が異世界で最強でした。加えて僕が持っている【創造】の力も万能すぎて困ってます~  作者: うさぎ五夜
~第2章 死を運ぶ少女~

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017.転移の扉へ○

「そういえば、まだ名前を聞いていませんでしたね」


 確かに。またソウタは最初に名乗るのを忘れてしまった。

 でもお互い少し興奮状態っていうのもあったから仕方のない事だったとは思う。

 本当に次から気を付けよう。


「僕の名前はソウタ。あなたは?」


 といって、名前なんて既に知ってはいるのだが。


「私はエルドリック・ルセイズ・ルイン・エルニオスです」


 (うお、バリバリの貴族ネームだ。名門貴族って設定を付けただけでそこまで名前を長くは決めていなかったはず。やっぱりベースは僕が知っているもので、それ以外の要素はこの世界で独自に作り上げられているな)


「ついでに言うと、エルドリックはエルニア含む周辺の土地の領主、エルニオス伯爵の公子だ」


 伯爵様の息子にあたる人物なんだな。普通に身分が高いからエルドリックを作った身とはいえ、少しは立場をわきまえないといけないな、これは。


「驚かせちゃったかな?」


「そ、そうだったんですか!?」


 設定上、知ってはいたから驚いてないけど驚いたふりをしないと。


「ハハハ、良い驚きっぷりですね!」


 ちょっとオーバーにリアクションし過ぎたかも。

 さすがに地面に座り込むまではしなくて良かったかな。


「でも普通、お偉いさんには様とか敬称をつけて話すと思うけど……、シラユキ、ずいぶんフランクに話してるね?」


 エルドリックが手を差し伸べてきたからそれを掴み、立ち上がり(ぎわ)にシラユキに質問した。


「少し前の事だが、エルニアの上空に突如アンデッドの大群が押し寄せて来たんだ。それを私が一気に浄化させたらエルドリックから尊敬されてな。以後、堅苦しい呼び方や話し方をさせるのは失礼だとエルドリックから言われたんだ」


「いや~、あのときのシラユキさんは凄かったんですよ? まさに神に選ばれた使途みたいな感じで神々しい光を放ち、都市を覆いつくした無数のアンデッドを浄化してくれて……」


 シラユキの伝説的な話をエルドリックから聞かされた。シラユキの事だからそんな事は絶対ないだろうと思って「ご冗談はよしてくださいよ」と笑いながら返したら「本当です! 都市の救世主です!」と言われた。マジで倒したらしい。ソウタが思っているよりシラユキは強いのかもしれない。


「そういえば、僕からもエルドリック……様に聞きたい事があるんでした」


「ソウタもシラユキさんみたいに、砕けた感じで喋ってくれても構わないよ。私も堅苦しい感じで喋るの疲れちゃったしね」


「オッケー。じゃあ今すぐにでも砕けた感じで話させてもらうよ」


「き、切り替え速いなぁソウタ」


 急に雰囲気が変わりすぎたが、ソウタからしたらエルドリックは自分の子供みたいなものだ。改まって喋るの少しモヤモヤしていたからありがたかった。

 ここは素直にお言葉に甘えさせてもらおう。


「エルドリックは、エルニアの上空を飛んでいた僕たちをどうやって捕まえたの? なんか光に包まれた感じもしたけどあれは何?」


「あぁ、その事についてね。私はもともと人よりも早い物を感知、視認するのが優れていたからソウタ達がありえないスピードで都市の上空を飛んでいたのを見て、無意識に体が反応していたんだよ」


「僕たちを見つけられたのはわかったけど、どうやってあの距離を飛んできたの?」


「あれは【ライトニングスラスト】って言って、足の方に雷の力を込めて、その力で踏み込んでから高速移動する練技なんだ。それを使って高速でソウタ達に近づいて空中で捕まえて着地した。光に包まれたって言うのは雷の光の事かな? ソウタから見たら凄い光っているように見えたんだね」


「光っているように見えたというより、凄い眩しかった」


「だからあの時は目が中々開けられなかったんだ! でもシラユキさんは……」


 眩しさを感じていなかったシラユキのベタ褒めが始まった。

 シラユキに対してのエルドリックの尊敬の念が凄い。

 ソウタなんてそっちのけだ。


 だがソウタはその光景を尊さを感じながら眺めていた。

 自分が作ったキャラクター達がこうやってお互い喋っている光景は良いものだなぁ。

 うんうん。普通に感動しちゃう。


 だけど少しだけ惜しい。シラユキとエルドリックの関係とかは特に深掘りして設定したわけじゃないから、見てても喋っているなぁという程度にしか思わない。

 あぁ、もっと関係性のあるキャラクター達と会話させてみたいなぁ。

 特にシラユキと【クロベニ】とか。妄想が膨らむ。


 ――――――――


 ―――――


 ――


 …


「あ、そうだ。シラユキさん達はどうしてここに来たんですか?」


「転移の扉を使いに来た」


「珍しいですね、エルニアで転移の扉使うなんて。どこに行くんですか?」


「王都だ」


「へぇ~、王都ですか! シラユキさんいつもはそんなに王都に出向かないのに、それも珍しいですね! どのようなご用件で行くんですか?」


 なんだかシラユキが面倒くさそうな顔しているな。ムスっとしてる。というかチラチラソウタの方向いて早く行こうって合図を出している気がする。

 ソウタにはそう見えていた。いや見える。


「あ~、エルドリック。王都には僕が冒険者登録をしに行くんだよ。だからシラユキに少しばかり案内してもらおうって思ってね」


「え!? ソウタは冒険者じゃなかったのかい!?」


「うん。というか世情に疎いから冒険者とかそこら辺の事は知らないんだよね」


 っていう設定。


「へ、へ~意外だったなぁ。でもソウタなら絶対Sランク間違いなしだと思うよ。あんな常人離れた速さと力を兼ね備えているもの。なんなら冒険者じゃなくてエルニアの自警団として雇いたいくらいの逸材だね」


 なるほど。自警団に所属しているから私に免じて許すとか許さないとか、そういう権限があったんだなぁ。


「あと、本当は転移の扉を使うにはAランク以上の冒険者や一定の身分を証明する物が必要なんだけど、ソウタはシラユキさんと一緒に行動しているし、なによりその実力はAランク以上だと見込んでいるから今回は特別に使わせてあげるよ」


「シラユキと一緒に居るってだけじゃ駄目だったの?」


「シラユキさんが身分を保証しても、規則は規則だから使わせなかったと思う。ソウタの実力をテストして、実力を直接見る事が出来たから今回は特例ってだけさ。というか私がソウタに納得しなかったと思うから、どのみちテストをやっていたと思うよ」


 あのテストは避けては通れない道だったんだ。

 エルドリックに助けられたのは事実だしありがたいけど、怖いなこいつ。


 ソウタ達は軽い雑談をしながら転移の扉へと足を進めた。


「はえ~、ここが転移の扉がある場所か~」


 エルドリックとシラユキに連れられ、立派な神殿のような場所についた。やはり重要な場所ってだけあって、神殿の周りは城壁のようなもので囲まれている。中に入るには門を開閉する兵士の許可がないと入れない仕組みになっていた。


 案内されるがままに門を通り、神殿の中に到着した。

 

 なんというか、特に何の装飾もされていない内装だけど、壁は真っ白。

 均等に配置されている立派な柱も白色だ。

 部屋の中央から階段が伸びていて、階段の先には大きな扉がある。

 神秘的であり不思議な空間だな。


「それじゃあ私はこれで、後はお二人で扉の方へ行ってください」


「それじゃあ行ってくるよ。エルドリックもありがとう!」


 エルドリックにお礼を告げ、シラユキと一緒に階段を登った。


 手でも繋いでみようかな。誰もいないから繋いでも大丈夫だよね?


 なんだかエルニアに来てからはずっとクールシラユキ状態だったから、素のシラユキを感じたくなってきたんだ。本当はギャップを感じたいけど、素のシラユキの破壊力を実際に味わってしまうともう抜け出せない。早く見たい!


 そう思いソウタはシラユキの手を握るべく、視線をシラユキの方に向けると、手を何度も開閉して、少しモジモジしているシラユキの姿があった。


 はは~ん。さては僕と手を握ろうかどうか迷っているな~? 

 ()しくも僕と同じ考えだったってわけだ。 

 ソウタは少しだけイタズラしたくなった。


「ひゃいっ!? ソ、ソウタ? ど、どうしたの?」


 ソウタはツンツンとシラユキの可愛いらしい小さな手を突っついた。


「またまた~。モジモジしちゃってさ、僕と手を繋ぎたいとか思ってたんじゃないの?」


「バ、バレちゃった?

でも、いざソウタからそう言われたら恥ずかしくなって繋ぎたくなくなった!」


「このこの~。照れちゃって。可愛いなぁ~」


「か、かわい……」


 観念したのか、シラユキは手を差し出してくれた。


 でも確かにいざこうして繋ごうとすると、めちゃくちゃ緊張する。

 シラユキのモジモジしていた気持ち、わからなくもない。


 ソウタはぎゅっとシラユキの手を握る。


 暑い。そうとう照れているなこれは。

 まあそう言っているソウタも照れているのだが。


 ちょっとしたイチャコラタイムを過ごして、扉の前まで来た。


 ソウタたちの3倍くらいはある大きな扉がある。

 取っ手らしきものはない。どうやってあけるのだろうか。


「でっかい扉だね。これどうやって開けるの?」


「身分が認められたら触れる事が出来る【魔水晶】っていう物にね、自分の【マナ】を流し込まないとこの扉は開かないんだけど、詳しい説明はまた今度ね」


 そう言うとシラユキは、扉に手をかざした。しばらくすると、シラユキの行動に応えるかのように扉が光りだし、大きな扉がゆっくりと開いた。中には大きな魔法陣が描かれているだけで、扉の先がどこかに繋がっているわけでもなかった。


「シラユキ、本当にこんな物で王都にいけるの?」


「まあまあ、いいから魔法陣の中央に行こ」


 シラユキに手を引っ張られながらソウタはシラユキと魔法陣の上に立った。


「じゃあ行くよ? 心の準備は出来た?」


「心の準備? シラユキ、何が始まるの?」


「私からしたら特に何も始まらないけど、ソウタは一瞬で別の場所に飛ばされる感覚は初めてだと思うからさ。ビックリしないかな~って」


「一瞬で別の場所に……。ハハッ、大丈夫だよ」


「あ、そっか。ソウタって遠い場所から転移して来たんだったね。

だったら慣れっこ? だね!」


 遠い場所のレベルが違うけどね。

 世界を跨ぐレベルの大移動を経験したんだ。

 だから多分大丈夫かな。


「じゃあ行こうか。シラユキ」


「は~い」


 そういうとシラユキは目を瞑った。

 凄い集中力だ。


「ポイント、王都アンファング」


 お、始まったかな?


「コネクト!」


「……!」

 

 シラユキがコネクトと言うと、魔法陣が強く光だした。


 あぁ、この感覚、身に覚えがあるな。意識がなくなっていく感じがそっくりだ。


 そう思いながらソウタは王都アンファングへ転移されていった。

【魔法:ポイント】

・各地にある転移の扉がある場所を指定する魔法


【魔法:コネクト】

・指定した転移の扉と現在の転移の扉の空間を繋げる魔法

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