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【第三話】藤原陽子

【第三話】藤原陽子(ずっと、えっと・・・好きでした)


朝日が昇りはじめた富士の樹海を颯爽と走る赤いCRM80が一台。

(あーあ、なんかいいこと、ねぇかなぁ・・。今日はこんなにいい天気なのに、なんか妙な胸騒ぎがする。これって何だろ、お母さん大丈夫かな。まさか予知夢とか・・な訳ねえか。けど昨日も恐竜だの刀持った侍だの、おかしな光景見たのは、あれは一体何だったんだろう。夢か幻か・・でも、じゃあこの勾玉は一体・・・)

先程から時折脳裏に、切なそうな表情を浮かべる母親の顔が浮かんでいたゲンジは、首に掛けられた勾玉を左手で握り締めると、右手でCRM80のアクセルを全開にして自宅に戻っていった。

玄関脇の軒下にCRMを停めると家の奥からブツブツと何やら唱える声が聞こえてくる。

「誠の道に違うことなく世の為ひとの為に尽くさしめ給えと、恐み恐み申す・・」

ゲンジはホッと苦笑いしてつぶやいた。

「なんだ、お母さん無事じゃねえか。それにしても毎日毎日飽きもせずよくやるよな。・・ん、このにおい、朝飯はカレーか。そういえば昨日晩飯食ってないしな」

声の主は、毎朝の日課である神棚への礼拝を行っているゲンジの母、静の声であった。玄関の扉を開けながらゲンジは大声で言った。

「ただいまーっ!腹減った。お母さん、今日はカツカレー・・」

笑顔を見せるゲンジの前に突然、黒い軍服を着た男達が現れゲンジを取り囲む。

「誰だ!お前達は。ウチに何の用だ」

そう言っている間にも素早く二人の大柄な男がゲンジの背後から両腕を掴み、正面に現れた二人の大柄な男がコンバットナイフを構えてゲンジの体の自由を奪った。

「お前らまさか、昨日の侍の仲間か!」

そう叫んでゲンジが睨みつけた目の前のふたりの大男の間から小柄な男が現れ、不敵な笑みを浮かべながらゲンジに目を合わせた。

(遂に突き止めたぞ、異能者めが)

頭の中に響くその声を聞いたゲンジは小柄な男に向かって言った。

「何言ってんだよ、お前。異能者って俺が?だったら勘違いだ。昨日の侍とでも間違えているんじゃないのか」

(フム、確かに君は未だ覚醒していないようだね。じゃあ、確かめてみよう。家の中の者を連れてこい)

小柄な男の声がゲンジの脳裏に響いたところで、ふたりの大男が返事をした。

「御意」

ゲンジは叫んだ。

「な、何だと・・お母さん、早く逃げろ! 」


ゲンジが富士の樹海で倒れ、気がついた時には巨大な恐竜も、脳裏に話しかけてきたフクロウも、そして白銀色の鎧を纏った侍も姿を消し、翌朝自宅の前に現れた男達に取り囲まれ致命傷を負ったあの日から二年、日本を取り巻く環境は良くも悪くも変化していた。

外交面では、近隣諸国との領海領有権問題が悪化の一途を辿っていた。連日数十隻、或いは数百隻という集団で日本領海内に侵入してくる他国の漁船は、堂々と違法操業するだけにとどまらず、体当たりして日本の漁船を転覆させたり日本人が負傷したりするといったニュースが頻繁に報道されていた。

経済面では、行きたい場所をスマートフォンに告げて運転席に座るだけで目的地まで搬送する車両が発売されるなど、自動運転技術が目覚ましい進歩を遂げている自動車産業を筆頭に、とりわけ好況な新市場がいくつか育ちつつあった。それは例えば目や耳、腕などに装着することで多彩な情報が得られるウェアラブル端末の急速な進歩や、スマートフォンに内蔵されたコンシェルジュ(執事)機能がようやく誰にでも使えるレベルに達した事から爆発的に浸透しつつあるコンシェルジュAI関連ソフトウェア新市場、そしてこのところ急激に増加しているバイク(オートバイ)人口が挙げられた。そのきっかけとして、小型自動二輪免許制度が改正になりその取得が容易になったことと、バッテリーとモーターを搭載したハイブリッド技術により150km/Lを超える実燃費を果たしたHVハイブリッドスクーターの登場があった。このとき既に燃料を全く必要としないEV(electric–vehicle)スクーターが市場を席巻しつつあったものの、そのバッテリーを充電するのに利用される電気は太陽光発電などの自然エネルギーだけでは未だ賄いきれず、比較的安価で大量供給可能なLNGを燃料とした火力発電所でつくられたものが半数近くを占めていた。これらの発電所のエネルギー効率と各家庭までの送電効率も考慮した“一次エネルギー効率”で比較すると、リッター300kmを謳うこのHVスクーターは、ライバルのEVスクーターを遥かに凌駕する低co2排出量と低ランニングコストを実現した。一方、このとき既にEVカーの充電インフラは整いつつあったものの自動車専用が殆どで二輪車用の整備は未だ進んでおらず、EVスクーターユーザーは自宅で満充電した時の航続距離に行動半径が限定されていた。更に藤原陽子の車両はその高い性能とは裏腹にアンティークな自転車を想起させる小洒落たデザインから、普通自動車免許を取得する際、容易に同時取得できるようになった小型自動二輪免許を持つ若い女性を中心に爆発的にヒットしていたのである。


青い空と白い雲が湖面に映し出された河口湖付近のコンビニエンスストアの駐車場に、その流行りの超低燃費HVスクーターを停め、ヘルメットを脱いでスマートフォンを操作する女性がひとり、行き交う人々の目を引いていた。オードリーヘップバーンの映画のワンシーンのようにもみえるその光景に、男達がチラリチラリと目線を向けている。そこに小排気量2ストロークエンジン特有のカン高い排気音を木霊させながら1台のバイクがコンビニの駐車場に入ってきてHVスクーターの隣に停めた。環境性能とは真逆の、白い煙を吐き出しながらパラパラと2ストロークエンジンのアイドリング音を奏でる小さなトレールマシンは、ゲンジのCRM80であった。

「よう、久しぶりだな」

ヘルメットを脱いだゲンジの姿は未だ成長しきっていない若者の雰囲気を醸し出していた。スリムだが筋肉質な体型、耳の上でピョンとはねるくせ毛、そしてシャープな顔立ちをした二十歳の青年は、その姿勢が若干猫背であることを除けば流行りのイケメン俳優のようにもみえる。

すると、今まで熱い眼差しを向けていた男達が一斉に目を背け、雑誌に目を向けたり、トイレに入ったり、レジで支払いをしたりしはじめた。それはまるで、止まっていたときがふたたび動きはじめたようにもみえた。

少し上目遣いで笑みを浮かべた陽子は、ゲンジの腹にボディブローをして言った。

「おぅ、ひさしぶりっ!」

「いってぇなぁ!陽子、いきなり何すんだよ。全く」

「ゲンジぃ、半年振りだね。だいぶ元気になって、いいオトコになったじゃない。なんか筋肉も付いてガッシリした感じになったね。バスケは今も続けているの?」

「いや、バスケはやめただけどバイクに乗ってる。あと、いまはサッカーの真似事をちょっとね」

「え、でもサッカーは子供の頃からドクターストップじゃなかった?」

「そうなんだけど・・実はこないだ医者に聞いたらさ、成長も止まったし症状も安定しているから『遊び程度ならいい』って言われてさ」

実は二年前のあの日、瀕死の重傷を負ったゲンジは救急搬送された病院で精密検査を受けた際、水頭症の治療装置であるシャントレギュレータが機能不全に陥いっている事が確認された。その後回復したゲンジはMRI画像を見せられながら医師の説明を受ける。

「バルブは押しても戻ってこない。つまり明らかにシャント機能不全であるにも関わらず、頭痛も見られず脳室の状態は良好。そして中脳水道の狭窄が明らかに改善されている・・と。要するに、内視鏡手術もせずに勝手に治ったとなると、現代の医学では説明が難しい、極めて稀な現象としか言いようがないね」

この医師の所見の後、壊れたシャントレギュレータを外す手術を受けたゲンジは、小学校の頃から禁止されていたサッカーが遂に許可される。だが、ゲンジが入部した大学のサッカー部は“真似事”などではない本格的な活動をしていた。

これまで部活動でサッカーをやったことがなかったゲンジがセミプロレベルのサッカーチームに所属したところで、トップチームで活躍出来る場など無いであろうと、入部当初は自他共に思っていたものの、はじめてみると本人も驚く程のペースで身体能力やテクニックが磨かれていった。

その理由として「何時か役立つ日が来る」と信じ、これまで続けてきたリフティングやボールタッチといったサッカーの基礎練習の成果も勿論あったが、小・中学校で励んだバスケットボールの経験が功を奏したのであろうか、ゲンジはプレイ中の判断力がずば抜けており、1対1の無駄のない動きや周囲を見渡してのゲンジの的確なパスは、監督を唸らせた。

実は小学校でバスケットをやっていた頃から、ゲンジは集中力を高めると、自分や相手のプレーヤーの動きがスローモーションにみえる事が時折あった。そしてこの“無音の中をゆっくりと時間が流れる感覚”になると、ゲンジは相手の動きを正確に予測する事が出来るようになり、ドリブルで抜くこともパスを繋ぐことも自在に出来た。当時ゲンジがこれらの奇妙な感覚のことを友人に相談すると、友人は言った。

「分かるよ、その感覚。バスケやサッカーに限らずどんなスポーツでも、ある程度のレベルに達した者であれば、誰もが経験する事なんじゃないかな?」

当時、この言葉を聞いたゲンジは(なんだ、俺だけが特別じゃなかったんだ)と納得していたのである。


「そっかぁ、良かったね。それじゃあ私も負けていられないわね」

「“負けて”って何言ってんだよ。俺なんか陽子さまには一生勝てませんよ。大学は医学部、ピアノも上手いし料理も美味い。そしてスポーツ万能ときたもんだ。今となっては大学テニス界の女王、プロからも声が掛かっているお前に、俺なんかが勝てる訳ないじゃん」

すると陽子はがっかりした表情でゲンジに苦言を呈した。

「そういう意味で言ったんじゃないって。私はただゲンジのことが心配で・・」

「俺を心配してくれるのは有難いけど、それは二年前に俺が死にかけたからとか、お母さんの事とか、そういう事だろ。そんな同情されても俺は・・」

「違うよ、同情なんかじゃない!確かにゲンジのことは心配だし行方不明のお母さんの事だって心配よ。でもそれだけじゃないのに・・そうやってアンタは何時も私の気持ちを分かってくれないのよね」

「ああ、そうさ。俺はいつもお前の気持ちが分からなかった。お前の好きな食べ物、好きな料理、好きな本、好きな教科、好きな芸能人、好きな・・ヒト」

「ゲンジ、アンタ私の好きなヒトが誰かって、今まで聞いてきた事あった?」

「無いけど・・大体お前は昔っからスキが無いんだよ。こうやって俺にはやたら攻撃的だしさ。俺だって凹むときはあるし、未だに引き摺っている事もある。なんで他のヤツにしゃべるときみたいに俺にも、もうちょっとやさしく、おしとやかに、女らしくさぁ・・・」

「やさしくって、おしとやかって、女らしくって、どういう意味?私、帰るっ!」

頬を膨らませたままの表情でヘルメットを被ろうとする陽子に向かって、ゲンジは慌てて言った。

「スマン!ちがうんだよ。どうしてお前と話すといつもこうなるんだろう?今日はこんなこと言いに来たんじゃないんだ・・・そうだ、気分転換に場所を変えよう。えっと、何処行こうか・・・」

周囲の男達の視線が再び彼女に向けられているのをゲンジは背中で感じていた。

(あーあ、またやっちまったよ。ホントはもっと仲良くしたいのに・・・)

ゲンジの想いがまるで聞こえたかのように陽子はひと息つくと言った。

「ふうん・・・そうねえ、じゃあバトルの続きは何処でやる?私ん家でもいいよ」

微笑みを浮かべる彼女と視線が重なったゲンジは頬を赤らめて言った。

「いや、お前ん家は大丈夫。今日は親父さんもいるんだろ。流石にちょっと・・」

「大丈夫?じゃあ家に行こう」

「いや、だからそれは大丈夫・・っていうか勘弁してくれっていうか・・」

「そうねえ、だったら久し振りに“例の場所”に行かない。ほら子供の頃よくふたりで遊びに行った・・」

「例の場所・・ああ、成る程ね。りょーかい!」

ゲンジがそう言って頷くと、陽子はミリタリータイプのヘルメットを斜めに被った姿で敬礼のポーズをとった後、ティアドロップ型のレイバン、アヴィエイターを掛けてスクーターのアクセルを捻り「先行くよー」とゲンジに言い残して目的地に向かっていった。

“例の場所”とは、富岳風穴と鳴沢氷穴の間に位置する林道、子供の頃からふたりでよく訪れていた散歩道であり、二年前にゲンジが恐竜と侍の死闘を見た場所でもある。コンビニを出て10分程度走ったところで、ふたりは富岳風穴入口の駐車場に2台のバイクを停めた。

「お前、さっき俺がストレートで抜こうとしたときアクセル開けてブロックしただろ。全く、バイクに乗っている時もスキが無いんだよな」

「ねぇゲンジ・・・“スキが無いオンナ”って、嫌い?」

「なんだよ、急に?」

視線を逸らそうとするゲンジの赤くなった頬を両手で押さえた陽子は、ゲンジの顔を正面に向けて言った

「質問を質問で返さない!」

「あ、あぁ・・・スマン」

「謝らない!」

相変わらず陽子に言われっ放しではあったものの、この状況を今までの人生で最大のチャンスと思ったゲンジは覚悟を決め、遂にこれまで一度も言えずにいたひとことを口にした。

「なあ、陽子。俺さ、その・・実はお前のこと、ずっと・・・」

「ずっと?」

「ずっと、えっと・・・好き・・です。いや、大好き・・でした」

少し震える手を陽子の襟足に回して顔を引き寄せたゲンジは、そっと口吻を交わした。陽子も目を閉じると体を弛緩させて、ゲンジに自分の身体を委ねた。

ゲンジがゆっくりと顔を離していくと、目を開けた陽子が微笑みながら言った。

「やっと言ってくれたのね。私も今までずっと、待っていたんだから・・」

照れ隠しなのか、襟足を掻きながら目を背けたゲンジは口を尖らせて言った。

「だってお前、高校んとき誰かと付き合っていたじゃん。俺は顔も名前も知らないけどさ」

「ゴメンね。ずーっと首を長くして待っていたのにゲンジは来ないから・・だから私、もう無理かなって・・・」

「そっか・・・スマン」

そう言って陽子の肩に両手を乗せたゲンジの胸元に陽子は額を寄せて微笑んだ。

「でもね、なんで敬語で過去形なのよ。いまは好きじゃないってこと?」

ゲンジは胸の中でクスクス笑う陽子の背中に手を回し、強く抱きしめて言った。

「ちがうって!俺は本気でお前を・・・」

「ゴメンね。ゲンジのその真っ直ぐな気持ちが嬉しくて、つい話しを逸らそうとふざけちゃった。私もこんなだから、今までゲンジと付き合えなかったんだよね」

「俺も嬉しいよ。やっと・・遂に自分の気持ちを素直に言えたんだ」

「ありがとう。私もゲンジのこと・・・大好き」

そう言うと陽子はゲンジの両耳を塞ぐように手を伸ばし爪先立ちで口吻をした。それからしばらくゲンジの胸の中に顔をよせていた陽子は、ふと顔を上げて呟いた。

「あれから二年が経ったのよね・・。その後、どう?」

心配そうな表情で上目遣いで見つめる陽子に、ゲンジは少し顔を曇らせて言った。

「そうだな・・実はさ、陽子。信じてもらえないと思うけど、俺は二年前に此処でアイツを見たんだ。それからおかしな事が次々に起こってさ、そして・・お母さんが行方不明になっちゃったんだよ」

そう言ったところでボロボロと泣き崩れていくゲンジに陽子はそっと頷いた後、ゲンジの頭をゆっくりと優しく撫でながら胸元に寄せた。

「うん・・・」

ゲンジの心中を知ってか、陽子の頬にもひとすじの涙が伝う。ふと、左手で涙を拭った陽子が顔を上げて呟いた。

「あ・・誰か、来る。この人ってまさかゲンジが言っていた・・・」

陽子の胸元で泣いていたゲンジは右腕で涙を拭った後、キョロキョロと辺りを見渡し、苦笑いして言った。

「まさかって、アイツが居る訳・・お前そうやってまた俺を騙そうとして・・」

するとゲンジの背後から「サザッ・・サザッ」という落ち葉を踏みしめる足音と共にひとりの人影が近づいてきた。

うしろを振り返ったゲンジの前に姿を現したその人影の正体は、二年前と全く変わらない二十歳前後の若者の容姿をした、あの男であった。とはいえ二年前は、見たこともない白銀色の鎧を纏っていたのに対し、灰色のスーツに身を包んだ目の前の姿は何処にでもいそうなサラリーマンに見える。そして髪型は異なるもののその顔立ちはどことなくゲンジと似ており、年齢も同世代にみえるふたりはまるで、双子の兄弟のようにもみえた。

「久しぶりだな。儂を憶えているか。約束通り迎えに来た」

「あぁ・・そうだな、忘れる訳がないさ。毎日思い出していたよ、お前の事も、奴等の事もな」

顔を強ばらせたゲンジが無愛想にそう言うと、陽子が呟いた。

「ゲンジ、このヒト誰?ゲンジに雰囲気が似ているけど、兄弟・・違う。あなたはいままで何十人も、何百人ものひとを殺してきた。そう、あなたの名前はもも・・」

そう言ったところで突然陽子の身体がガタガタと震えだす。それから間も無く「キャアァッ!」と悲鳴を上げた陽子は、ガクンと全身の筋肉を弛緩させて気を失った。

「お、おい!陽子。しっかりしろ!」

ゲンジが抱きかかえる陽子の頬を、男は左手を伸ばしてグッと掴み視線を合わせると「この女は儂の中に入ってきおった。悪く思うな」とつぶやき、目を瞑じて何やら唱えはじめた。

「おいお前、何をする!」

気を失っている陽子の頬を掴む男の手を振り払おうとするゲンジに向かって、男は右足を出して軽く蹴りあげた。

次の瞬間、ゲンジの身体は空中を高く舞い上がった後「ズザザアアンッ!」という大きな音を立てて地面に落下した。

「ゲフッ、くっそぉ・・この野郎、お前に訊きたい事が・・あるんだ・・・」

後頭部と背中を強打して意識がもうろうとする中、ゲンジはうつ伏せの姿勢のまま男に向かっていこうとしたものの、次第に目の前が真っ暗になり意識が遠のいていく。それから間もなく、ゲンジは地面に平伏し意識を失った。


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