表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
97/132

第九十七話 偽りの太陽

 もう、絶望する気力もないや………


 私は笑顔で“死”と対峙する。

 化け物は化け物らしく、おぞましく恐ろしい姿で、今まさにその異様なまでに大きな牙を、私の首筋に突き立てようとしていた。


 ごめんね、精霊さん

 ごめんね、シェランさん

 ダレフさん

 オババ

 お爺さん


 ーーリュト


 みんな、みんな……… ごめんなさい



 頬を伝う

 

 透明の雫が


 地面で弾けた


 地に付いていない足が


 ビクンと痙攣すると


 紅い液体が


 大量に流れ落ちてくる




「精霊使い殿ーー!!」


 遠くでダレフさんの声が聞こえる………

 だけど、なんだか、もう……… 眠いや。

 

 あれ? 誰かいる。

 光りの中に誰かが………


 お爺さん!


 お爺さん、お爺さん!


 怖かった、本当に怖かった。


 これからは一緒に……… えっ


 いや、そんな護符なんかいらない!

 お爺さんだけいればいい!


 えっ! なんで!?

 なんで! 離れるの!?

 嫌っ! いなくならないで!


「い………… や!」


 その時、私のポシェットから一枚の紙がハラリと落ちてきたらしい。

 そして、その紙から 強烈な光が発せられたって、後でシェランさんから聞いたんだ。


「ギャアァァァ!!!」


 化け物の叫び声が聞こえる……… どうしたんだろう?

 朦朧とした意識の中、そんなことを思っていた。

 薄っすらと見える視界の中から、自分が地面に横たわっているのは分かる。

 身体は痛くないけど、眠いんだ。

 本当に………


「おのれ! 小娘! 二度も我を愚弄するか!」


 うるさい……… 化け物………

 私は眠いんだ……… 静かにして………


 だけど、周りは私を眠らせてはくれないらしい。

 朝日のような眩い光りが、差し込んできたからだ。


「ぬぅぅぅぅ!」


 また化け物が変な唸り声をあげている。

 いい気味だ。

 だけど、もう朝なんだ……… えっ?


「なんじゃ! この光りは!?」


 ダレフさんの声で意識が少しハッキリとする。

 そう、さっきまで夜だったんだ、なのに急に太陽が現れたみたいに眩しい。

 いったい何が………

 身体が重いけど、なんとか上半身を起こす。

 あの化け物に血を吸われたせいで、まだ意識が朦朧としているけど、私は辺りを見渡した。

 ダレフさんやシェランさん、リュトどころかあの化け物さえも光りに向かって驚きの表情を浮かべていた。

 光りは坑道の正面から差し込んでくるみたいだけど、おかしい!?

 すでに太陽が随分と高い位置にある!?

 さっきまで夜だったのに!?

 

 頭がこんがらがった私に、その疑問を払拭する新たな恐怖が響くことになる。


 その太陽から、狼に似た魔力を含んだ遠吠えが聞こえたからだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ