第八十六話 鉱山からの脱出
霧に覆われた坑道を進んでいると、後方からひときわ大きな鈍い音が響いた。
「な! なに!?」
それに驚き背後に振り返ると、霧の中から光るキノコの傘がいきなり霧の中から現れる。
「 へウッ!?」
ベチッとした音とともに、オデコにぶつかってきた。
い、痛い。
前に村で飛んでたコウモリがぶつかってきたのを思い出す。
いや、そんなことよりぶつかってきたモノだ。
「アイタタ! 精霊さん!」
オデコをさすりながら、精霊さんの姿を確かめる。
精霊さんは仰向けでぐったりしている。
ピクリとも動かない。
慌てて近くによって見ると、恐れていたことが………
ーー精霊さんが息をしていない。
「精霊さんが息をしていない!」
私はリュトの方へ振り向き、震える声で……… 力なく……… 叫んだ。
リュトの目が驚きの表情で見開く。
そんなリュトの顔が涙で歪んでくる。
「精霊さんが……… 精霊さんが………」
それしか言えない私に、リュトは私の肩に手をやり口を開いた。
「メテル! 落ち着け! 精霊は息をしないとどうなるんだ?」
なにを言っているの! ふざけているの!
精霊さんがいないと、私の旅も終わる!
そんな事もわからないの!
私は涙目でリュトに詰めよった。
「そんなの死んでしまっているに決まっているでしょう!」
リュトがこんな分からず屋なんて思いもしなかった。
やっぱり冒険者なんて人の気持ちも考えない最低の人達だ。
ね! そう思うでしょ、精霊さん!
ホラ! 精霊さんもうなずいているじゃない!
ここを出たら、絶対に符術を使って………
ちょっと待って。
いま、私………… 何をみた?
「どうなるんだ?」
再度、同じ言葉を繰り返すリュト。
どことなく冷めた目をしている。
そして精霊さんも覗きこむ。
「え〜と………」
私は返答に窮するが、ふと重大なことを思い出す。
「そ! そんなことより! 早くここから離れないと!」
「おい………」
呆れ顔のリュトが呼び掛ける。
いやぁぁ! 追及しないで!
そんな時にダレフさんの声が私たちにかかる。
「何しとるんじゃ? こんな時に」
その声にハッとする。
本当に何やっているのだろう、私たち。
精霊さんで気がどう転してしまった。
「行きましょうリュト! たぶん外が近いわ!」
「おっ、おい」
リュトはまだ何か言いそうだったけど、私は気にせず進んでいく。
霧がだいぶ薄まってきた。
たぶん、外の空気が入ってきているのだろう。
森の匂いもしてきた。
そしてついに坑道の先に鉱山の出入り口を見つける。
そこにシェランさんが立っていた。
足早にシェランさんのもとへ向かう。
夜だ、都合が良い。
闇に紛れることが出来る。
しかし、シェランさんが動かないのはどうしてだろう?
そう思いながらシェランさんの隣に並んだとき、唖然とした表情のシェランさんに気づく。
そしてシェランさんの視線を追ったとき、私はその理由が理解出来た。
眼前には、行くてを阻まんと犇くグールの群れが蠢いていた。
ちと用事が多くて忙しい。
投稿遅めですまぬ。




