第七十四話 目的
「ダレフさん、シェランさん、教えて下さい」
声を出した私の方に2人とも顔を向ける。
シェランさんは、少し憔悴した印象を受ける。
だけど私はかまわず言葉を進めた。
「私たちの目的は何ですか。それを教えてください」
それを聞いたシェランさんは、めんどくさく吐き捨てるように、私の質問に答える。
「そんなもん、あの敵を倒すか逃げるかして、ここから出ることだろう」
「どっちですか?」
その答えに対し、私はまた質問をする。
「あん!?」
「倒すのと逃げるの、どっちですか?」
失礼なのはわかっている、もしかしたら怒られるかもしれない。
睨むシェランさんに怯んでなんかいられない。
これはハッキリさせていなければならない事なのだ。
「精霊使いどの、目的を求めなさるか」
そこにダレフさんからの言葉が入る。
よかった……… ダレフさんは私の意図を汲んでくれたようだ。
「はい……… 私たちは今、非常に困難な場面に遭遇しています。最終的な目的はこの鉱山からの脱出ですが、敵の存在により脱出できない状況にあります。私たちは目的達成のための手段として敵の排除か敵から逃亡するのか、そのどちらかを選ばなければなりません」
シェランさんは深呼吸をするように大きく息を吐くと、先ほどよりは少し落ち着いたらしい。
「フー、やれやれ。私もヤキが回ったもんだね」
「シェランさん………」
私はホッと胸を撫で下ろす。
そして、シェランさんに意図を汲んでくれたことに対しての、感謝の言葉をかけようとしたのだがそれは拒まれ、そのまま会合に入ってしまった。
「おーっと、まだだよ。それはまだだ。先ずは私から言おう。現状は圧倒的にこちらが不利だ。地理的にも戦力においても、特に戦力において力の差は歴然に感じる。何なんだあのデタラメなランスの威力は、完全に人間離れしている」
それは私も感じいっていた。
リュトは投擲されたランスによって砕かれた石片により負傷した。
硬い鉱石を含んだ岩盤を砕くこと自体が異常なこと。
そこで私は思いついた事を口に出した。
「あれは本当に人間が投げたものなのでしょうか? もしかしたら罠の仕掛けかも………」
「いや、鉱山跡地となる、こんな場所に罠を仕掛ける意味はない。それにあのランスは、明らかにこちらに狙いを定めて投げられている」
どうやら罠ではないらしい、だけど………
「それなんじゃが、ワシはしばらく人間とは会ってなかったのじゃが、ロイ以上の冒険者の噂など聞いたことはないかの? 無名とは思えんのじゃ」
ダレフさんの言葉にうなずく。
そう、壁に火花を散らしながら飛んでいく、あのランスの威力は人の力とは思えない。
だから、罠と思ったんだけど………
「私も、あれほどまでにランスを使う冒険者など聞いたことがな……… ちょっと待て、そもそも冒険者がランスなど使うのか? あんなものはそれこそ騎士が戦場で使うようなものだぞ」
シェランさんは、そこまで言うと、うつむき思案にふける。
その時だった。
聴きなれた声が小さく響く。
「あれは人間じゃねぇ………」
プロットはちゃんと書きましょう。
……… はい(反省)




