表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
67/132

第六十七話 不注意

 グールからだいぶ逃げたと思うけど、私たちは足を止める事はしない。

 どう考えても状況がかなり悪いからだ。


 私たちはこの鉱山にきた理由が、ビルツと呼ばれる権力者から逃れるためだったが、表立って敵対するわけにもいかない。

 罪をでっち上げられた上、で罪人にさせられるかもしれないからだ。

 事実、シェランさんの話だと、関所の件で私たちが村人を(あや)めたことになっているらしい。


「ふざけてやがる!」


 リュトが怒りをあらわにするが、シェランさんはそれに頷きながらもたしなめた。


「だがお前たち。街道に抜ける関所付近のところで問題起こしたろう?」


「俺たちじゃねーよ。向こうが勝手に起こしたんだ。俺たちは見ていただけだ」


「見られたことで問題が発生しているんだ。それでも問題を起こしてないとでも?」


「うぐっ! 俺たちが悪いってのかよ姐御」


「ああ、悪いねぇ。連中がどんな行動をするかを予測したかい? 常に最悪を考えて………」


 話を聞いていて、これは私の事を言っているんだと感じ、段々と私の頭は(うつむ)いていく。

 私は、視線を上げる事なく言った。


「ーーごめんなさい。私のせいです」


 すぐに慌てた様子でリュトは言う。


「メテルは悪くないって。ありゃ仕方のないことだと思うぜ。俺だっていきなりブッ放すと思わなかったからよ」


 リュトは私を庇ってくれるが、たぶんそういう事では………


「そこがリュト、お前の悪いところだ。私はどっちが正しくてどっちが悪いかなんて、聞いていないし興味もない。『そのとき最善の行動が取れたか?』ということを聞いているんだ。どうすれば良かった? どうすれば追いかけられずに済んだんだい?」


 間髪入れず、シェランさんの言葉が飛ぶ。

 そう、これは私が引き起こした事なのだ。

 それにリュトの答えはなく、口を尖らせている。


「そりゃあ………」


「ーーすいません、私が声を出したばっかりに、こんな事になってしまいました」


 リュトの声をふさぐ形で、私は言った。

 そのときのシェランさんは、すぐに私に向かって、満足げな優しい笑顔を浮かべる。

 そして今度はリュトに向かってニヤニヤとした表情を送る。


「こりゃあリュトより、このお嬢さんの方がモノになるのが早いかな?」


「やめろよ」「やめてください!」


 いい加減にしてくれとボヤくリュトの声と、驚いて張り上げた私の声が重なる。

 リュトとシェランさん、2人揃って私の顔を見つめる。


(しまった! 驚いて思わず声を出してしまった)


 これでは、関所の時と同じじゃないか………

 恥ずかしい、顔が真っ赤になっているのを自覚する。


「クククッ! お嬢ちゃん、あんた良いねぇ。けど、これから先は気をつけておくれよ。二度はないと思いな」


 私は顔を赤くしたままコクンとうなずく。

 

 鉱山はすでに放置されており、内部はダンジョン化して先程のグールのような怪物がいる。

 そして、そのグールを生み出す術者の存在があるかも知れない。

 油断は出来るはずないし、不注意な行動などもっての他だ。

 私の旅に必要のない鉱山に、私がいる理由。

 それは私の不注意が招いたことだ。

 これ以上、みんなに迷惑をかける訳にはいかない。


 そう思いながら、精霊さんが照らす坑道を、私たちは出口を求めて進んでいった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ