第五十七話 光る怪物の正体
鉱山の奥深い採掘場で、私たちに光る得体の知れない怪物が襲ってくる。
と思ったら、その怪物は私たちを無視するかのように通り抜けた。
そして、そのまま採掘で出てくる屑山に 鈍い音を立てて突っ込んだ。
光りが霧散する。
私は光の正体を探るべく、近くの散らばったそれを手に取った。
(光苔?)
光る怪物の正体………
光る理由はどうやら光苔のようだ。
じゃあさっきの怪物は………
屑山の方を見ると、ちょうど何かがズルリとうごめいてた。
「アイタタタ」
声がする!? 人の声だ………
それも聞いたことがあるような………
光苔がその人の影から落ち、人物が浮かび上がる。
「姐御ぉ!?」
「シェランさん!?」
私とリュトの声が重なる。
「うう、とんだ貧乏くじだ。ギルマスのヤツ、絶対に許さねぇ〜」
うつ伏せでシェランさんは文句タラタラ言いながら現れた。
だけど、私たちに気づくと、服を払いながら立ち上がった。
「よぉヒヨッコ、嬢ちゃんも無事のようだな」
そして、何事もないようにニカッと笑う。
「姐御がなんでここに………」
そんなシェランさんにリュトが話しかける。
「いやなに、ギルドのかわいいヒヨッコが、しょげてないか見てくれと、親バカが言うからな」
「ロイさんがですか?」
話の流れから親バカとはたぶんロイさんの事とは思うが、気になって聞いてしまう。
シェランさんは私に振り向き笑顔で答えた。
「ああ、『アイツのことだから「俺はここに残る」とか言い出しかねん』とか言ってな」
それズバリ言ってました。
「あの……… それ、ムグッ!?」
急にリュトが私の口をふさぐ
「ヒュ、ヒュト! らりヲ、グゥ!?」
わずかにズレていた口から出た言葉も阻まれてしまう。
思いっきり力を込めるので、鼻が折れてしまいそうだ。
その様子を唖然と見つめていたが、シェランさんは急に笑い出す。
「アーハッハッ! そうかい! そうかい! イーヒッヒッ!」
私は口をふさがれた状態でリュトの方をチラリと見るが、暗くてよくわからなかった。
だけどなんとなく赤い顔をしているように感じた。
「シェランどの」
笑うシェランさんにダレフさんが声をかける。
「ああ悪いダレフさん、迷惑かけたね。私からも礼を言うよ」
口をふさぐことは諦めたリュトは、棒立ちでその様子を見ている。
「どういう事ですか?」
私はシェランさんに問いかける。
シェランさんは光苔を手に取って、魔力を送っているようだ。
光りが松明くらいに、ほんの少し強くなる。
その時、シェランさんは苦笑じみた表情を浮かべて言った。
「ギルマスのイタズラさ」




