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哀昏明は異郷の地へ舞い降りる

武術剣術がまあまあできる者が異世界へレッツゴー・・・なんだけど問題だらけ!だって魔力がないんだもん!この問題・・・あなたならどうやって解決しますか!?

「未来が見える魔法の力って知ってるか?まあ、これは君が信じるかどうかによってこの話を続けるかどうかが決まる。さて、答えを聞かせてくれ。」


 急に友人がそんなことを俺に言いだした。


 ハハハ・・・俺の答えはとっくに決まっている。


「俺、魔法見たことないし。真か偽の問題を聞いているならば俺から見れば偽である。見たことないということは俺が真と言えるわけがないだろう。偽である確率の方が一般社会を通した目で見たとすれば選択しやすい問題だ。」


 俺は信じる信じないの前に見たことがあるかどうかで判断を行う。まあ、伝説などよりも科学を妄信した方が確実だからな。現代の科学の常識がすべてあっているというわけでもないが、信じるに値する理由が備わっているのだから科学を信じた方が幸せだ。逆に魔法は信じるに値する理由が備わっていない。そういうことだ。


「ハハハ・・・そうか。君は魔法を見ることもできなければ感じることもできない。」


 嫌味か!?全くうざい。


 しかし実際この世には科学では証明できていないことはたくさんある。なので、魔法自体の存在意義を否定することはできない。そもそも、俺も科学で説明がつかないことを見たことがある。


「哀昏よ、お前の答えを聞いて安心した。」


 ほお、こんなあっさり友人に安心してもらえるとは、光栄この上ない?


 この友人の名は伊藤いとう じんというなんか知らんがいろいろ研究しているちょっと変わった面白いやつ?だ。俺にいろいろ教えてくれることから俺はこいつを師匠として慕っている。まあ、人生での生きるすべをこいつに教えてもらっていなかったら俺はどうなっていたことやら・・・ハハハ。ただ、面倒な男でもある。


「ではちょっと飛んでもらおう。大丈夫。君はここに残るがそれと同時に君が大冒険をするだけさ。この春休み期間、君は大冒険をして君は内職に明け暮れるだろう。」


 何を言っているんだろうか。君という単語を使い過ぎだ全然わからん。


 確かに今日は高校1年生の終業式が終わった翌日の春休み一日目だ。この春休みで何かが起こるのか?


「哀昏よ。俺はお前を信じる。」


 哀昏というのは俺の名前。俺の名は哀昏あいぐれ あきら。親がおらず、友人たちと一緒に住んで楽しい高校生活を送っているめっちゃ幸せ者である。人は自分が幸せだと思えるならば勝ち組なのである。つまり俺は勝ち組なのだ。ハハハ、いいだろう!でも俺は男で一緒に住んでいる人は女で胃が痛いよ全く安らぎが欲しいよ!


 そんなことを思っていたら俺は・・・。


 し ら な い そ う げ ん に た っ て い た ・ ・ ・


 おい!?伊藤!?なんでだ?ダイナミックプロジェクションマッピングか!?


 幻かどうかを確認するため俺は草原に生えている雑草を食べてみた。


「苦い!渋い!臭い!」


 どうやらこれは現実らしい。


 まずここはどこだろうか・・・こんなに広い草原。北海道かな?北海道ならばこんなに広い草原があっても別におかしくないはずだ。


 よく目を凝らして周りを見渡してみると、でかい犬見たいなのに襲われてボロボロになっている馬車を見つけてしまった。俺は「うわぁ・・・見てしまった・・・見たからにはほおっておくことはできんよなぁ」と心の中でめっちゃしんどくなってしまった。


 取りあえず助けなければならないが、たぶんあの犬はそんなにおりこうさんではないだろう。どうする?しかし馬車にいる人は次々と殺されてしまうぞ。


 仕方ないので考え無しに馬車の真ん前に行った。


 馬車といい犬といい・・・やっぱり北海道だな。だが、人を襲う犬、それも自主的に。これを見るにここが日本ではないという可能性も考えなければならない。しかしならが人を襲う猿が日光にいるように北海道に人を襲う犬がいても・・・よくない!


 取りあえず争いは良くない。犬は嫌いじゃないが俺は人間なので人間を助けた方がいいのだろう。ここで犬を助けたところでこの犬が俺のことをよく思う確率は極めて低いだろう。


「そこの・・・犬よ。静まってくれ。別に戦うつもりはないしお前らもうこの馬車の護衛の人たち食べておなかも膨れ上がっているだろうに。なぜこれ以上壊す?中に人がいるかもしれんが食料は必要最低限ぐらいがちょうどいい。」


 犬たちは俺に攻撃する気満々だ。説得はダメだったか・・・。


 その時、1匹の犬がファーストアタックを仕掛けてきた。仕方ないから犬の横顔をミドルキックで蹴って失神させた。


「俺は無駄な殺生はしない。殺すことがどれだけ愚かか知っているからな。」


 そういうと、犬たちはファーストアタックを仕掛けた犬を置いて護衛兵の死体を加えて逃げて行ってしまった。おい!仲間よりも飯か!?


 まあ、犬も仕方なかったのだろう。この世は殺すか殺されるかだ。俺は殺さず殺されずを貫こうと努力はするがな。


 この犬が馬車に襲撃した事件を警察へ通報しようとしたが携帯電話がない。


 仕方ない。取りあえず馬車の中を見てみよう。


 まるでトラックの荷台みたいな形だ。木でできているところをみて重量はそこまで重くなさそうだな。


 荷物がいっぱいだ。遺体があった形跡もある、犬にやられたのだろうか。血だらけじゃないか。


 取りあえずお経を唱えておくか。助けられなくてすまなかった・・・遺体はここにはないけど。


 異色色即是空空即是色受想行識亦復如是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄不増不減是故空中無色無受想行識無眼耳鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死・・・


 荷台に染み付いた血にお経を唱えていると「ガタン」という物音が下の方から聞こえた。おや、生きている人間がいるのかな?ただなぁ・・・俺まあまあのコミュ障なんだよなぁ。初対面の人としゃべるの疲れるんだよなぁ・・・。まあ、腹をくくってしゃべってみるか。


 荷物をポイポイ外に放り投げ、音の主のとこに到達した。布にくるまれてもぞもぞしている。


 俺は今までの経験上でこういうところで布を引っぺがすと大変なことになる確率があるということを知っているが故、おおざっぱなことができない。ということでまずは問診。


「もしもし、そこの布にくるまれている者。もし外に出ても大丈夫な恰好をしているならば出てきてはくれぬか?安心せい。俺は敵でもなければ見方でもない。普通のなんの変哲もない男だ。つまらない男の登場ごめんね。」


 そういうと、頭だけぴょこっと出してくれた。ハハハ・・・コミュニケーション取れるか不安だなぁ。


「くるまっているところ本当に申し訳ないな。馬車止まっちゃってるが大丈夫か?といっても俺はここら辺のことをよく知らんからどっかに連れて行くこともできんがな。すまない。」


 黄緑っぽい髪の毛が横にフルフルと揺れる。横に首を振ってくれているのだろうか。しかし顔は見せてほしいのだが・・・。


「会話しにくいからもしよかったら顔を出してほしいのだが、いいだろうか?まあ、無理にとは言わない。事情というものは人それぞれだからな。」


 強制はしない。それが一番。まあ、場合によっては・・・いや、これ以上は言わないでおこう。


「もし、私の素顔を見ても態度を変えずに・・・いてくれると約束してくださいますか?」


 何だろうか。そんなに顔に自信がないのだろうか。それとも奴隷か脱獄囚人とかか?いや、現代日本においてその確率は極めて低いから大丈夫だろう。


「もちろんさ。神に誓う。セナに誓う。もし態度を変えてしまったときは・・・逆立ちする。」


 これぐらい言えば信用してくれるだろう。


 布にくるまっている人がもぞもぞと出てきた。なんかスゲー恰好している。白ベースのドレスっぽい服に華やかな装飾・・・ごめんね。俺は服には疎くてさ。


 ぽかんと口を開けて見入ってしまった。生え際は黄緑っぽくて毛先は青っぽい。まあ、そういう遺伝もあるかもしれんな。俺も爪が真っ白だし。


 は!見入ってしまった。


「すいません。逆立ちするので許してください。」


 俺はそういって逆立ちをしようとした。


「いえ、態度というのはそういうことではないので気にしないでください。」


 うむ・・・人によって言葉の意味というのは違う。これは日本国内において難しい問題でもあるな。


 例えば、「あれってした方がいいのかな?やっていいのかな?」という質問に「いいよ」と答えたらどちらの意味としても当てはまってしまう。定義というのは大切だ。


 そんなことはどうでもよく話を戻そう。


「まず自己紹介を頼みたいのだが・・・名前がわからないと呼びにくい。ああ・・・人に名前を聞く前に俺から自己紹介せんといかんかったな。」


 初歩的なことを忘れてしまうところだった。恥ずかしい限りだ。


「俺の名前は哀昏明。絶賛迷子で超困っている男だ。さっき個々の雑草を食べて生きながらえることを覚悟しようとしていた。よろしく。」


 これでいいだろう。余計な情報を付けることによって警戒心を解くことができるはずだ。


「私は・・・レイ。もしよかったら私が案内しましょうか?王都まで。」


 王都?


「ちなみにその王都の名前はサッポロ?」


「え?いえ、マグナミアですけれども・・・もしかして王都のことも知らないのですか?」


 え?これっでバカにされている?まあいいか。知らないことを恥じる暇があるならば少しでも多くの知識を入れた方が得だ。


「すまない。その観葉植物のような名前の市町村どれかを始めて聞いたものでな。」


「・・・国ですよ?」


「国?県じゃなくて?それは沖縄を海外と言っているようなもの?」


「沖縄?とは何ですか?」


「沖縄知らないの!?」


「・・・はい。ちょっと聞いたことが・・・。」


「なるほどちょっと待ってくれ!推理してみる!」


 さて、毎度おなじみシンキングタイムと行こうじゃないか。まずここはもしかしたら北海道ではないかもしれない。一瞬お芝居の中に紛れているとも考えたがお芝居の中に本物の殺人犬がいたとすればそれはもう大事件だ。そして伊藤の「信じる」という言葉。間違いない。これらのことから日本ではない可能性が出てきた。しかしだ、なぜ日本語が通じる?日本ではないが日本語が通じる。もしかしてここはパラオか?


「レイ、ここはパラオという国であっているか?」


「いえ、ここはまだマグナミアの領地内ですよ。」


 わかってはいた。知っていた。目をそらしていた。ここは地球じゃないということも予想がついていた。


「ここは、地球じゃないんだろ?」


「・・・地球内です。」


 あれぇ!?俺は今「やっぱり・・・俺は異世界に来てしまったようだ!」とか言おうと思ってたんだけど!


 わけわかんなくなった。少々パニック状態だ。


 俺はパニック状態のまま所持品を求めた。指それぞれの指にはAブラスターリングが付いている。手首には同期リング。ポケットには伊藤からのメモ・・・これだ!


 すぐ呼んだ!もうめっちゃがっついた!


 内容は「哀昏よ。師匠としての今回の課題だがそっちの世界に殺しを楽しむ集団がいるのでそれをぶちのめせ。大丈夫。君はコピーだ。君が目的達成したならばこっちのオリジナルに君の存在をくっつける。PS.最初に君が立っていた場所に愛用の武器を箱に入れておいておきました。がんば!」


「がんば!」じゃねーよマジで。俺がコピー!?というかこの世界のこと説明されてないし!説明が短すぎるんだよ!


 取りあえず初期スポーン場所に行ってみると確かに箱が置いてある。


 開けてみると、デリートソードと爆剣という2個の俺の愛用の剣が入っていた。ハハハ・・・これのせいで俺は何度銃刀法違反で捕まりそうになったころやら。


「その剣は・・・とても暗い。」


 レイがつぶやいた。それは黒と紫ベースの色だから暗いな。そのうち修正液かけて白くしてみようかな?


 他にも箱の中には150Lバッグ、超薄型アーマースーツ、超小型デーモンコアや爆盾が入っていた。この爆盾は爆剣とドッキングして使うことによって爆斧が誕生する。スゲーからくりでしょ。このアイディアは・・・俺ではない。


 馬車が壊れてしまっているのでバッグに詰めるだけ荷物を詰めて王都に向かおうとした。


「じゃあ案内してもらってもいいか?その王都とやらに。ここで野宿をするのは正直・・・しかし俺は金がないからどっちみち野宿をすることになるんだろうがな。ハハハ・・・。」


 笑ってしまうな。どっちみちホームレスには変わりがない。


「あ、あの・・・。」


 レイがなんか言おうとしている。はっきり喋ってくれんとわからん。


「なんだ?何でも言ってみ。言われないままトラブルが発生するということ自体一番めんどくさいことだ。」


「あなたの持っている物からは恐ろしい魔力を帯びているのに、なんであなたは魔力が全くないのですか?」


 一番痛いことを言われた。そうさ。俺は魔法とかの才が全くないのさ!


「レイよ。そこに関してはあんまり言うな。いや、俺が言えと言ったことだから今回は俺に非があった。しかしこれからはあんまり掘り下げないでくれ。」


 俺は「ハハハ・・・」と笑いながら言った。


「見つけましたよ。まさかスコルに襲われて生き延びているとは・・・これは驚き。」


 ん?誰だろうか。


 声の主を見てみると紫と赤の長い髪の毛の真っ白な顔の男?が立っていた。細い・・・ポッキーみたいな体系だな。


 取りあえず挨拶せんと。


「えっと・・・こんちわ。どなたですか?ああ、俺は哀昏です。」


「哀昏さん!この者は・・・わたしをころそうとしているものです!」


 むむ・・・それはいけないな。


「おや、誰ですかあなた。存在が薄すぎて気づきませんでしたよ。相当なるザコなのでしょうね。」


 ハハハ・・・こいつむかつくな。まあ、ザコには変わりないけど・・・HP1にAP1、最弱のザコにあこがれているような俺が強いわけがない。しかし、少々驚かしてやろうかな?


 俺は1フレーム(1/60秒)でポッキーマンの後ろに回り込んで質問した。


「貴様はだれぞ。名乗らんか!馬鹿者。」


 相手に悪い印象を与えるには初っ端に説教するのが一番だ。


「き、貴様いったいどうやって後ろに回り込んだ!?」


「反復横跳びって知ってるか?それと似ている原理だ。」


 というかさっき言ってたスコルって北欧神話の中で天空に住むオオカミのことか?いや、考え過ぎか?でも犬だし・・・しかし今時飼い犬に「ケルベロス」とつける人もいるんだし。ただの犬だよな。


「哀昏さん!逃げましょう!」


 レイが焦っている。うむ・・・しかし、俺は審判をせねばならない。


「ごめんなレイ。俺はこいつを裁かねばならないのだ。」


 大きく深呼吸しながらポッキー野郎に近づいて行った。


「意志ある者を殺すということがどれだけ罪深いことか・・・愚かなことか。貴様の罪は1つではない。馬車への襲撃命令を出したこと。犬に命令したこと。そして何より罪深いことは、自分は一切手を下していないことだ!ただ命令して殺させることがどれぐらい罪深いことか・・・貴様はこれを、償わなければならない!」


 俺の闘志は燃えてきた。


「名乗れ・・・名乗れ!」


 俺は闘志と共に怒りもこみあげてきた。


「テ、テレサ = モルト・・・」


 テテレサモルトは動揺している。しかし、戦う姿勢はあるみたいだ。


「テテレサモルト、どう償ってもらうか。死んで償えると思うなよ。」


 これは掛けだ。俺はこれまで数々の馬鹿どもをしごいてきたが、こんな感じの雰囲気の奴とは戦ったことがない。


「シネ!」


 おっと!テテレサモルトが先に仕掛けてきた。シネはないだろう・・・俺だって傷つくぞ。俺は頭上にAブラスター発射口を今いる俺の方向に向かせてせっちして、1フレーム移動で攻撃をよけた。


「すまない。」


 俺はそういうとAブラスターを発射してテテレサモルトを瀕死にした。すまないなギリ死んでない状態にしておく。ゆっくり反省するがいい。


 俺はそういって、バッグの中に入っていた聖書をテテレサモルトの頭の上に置いてレイと合流して王都を目指した。これで少しは考え方を改めてくれればいいがな。


 俺は宗教は嫌いだが宗教の考え方は嫌いではない。むしろ好きだ。


「あの魔法陣から出てきたビームはなんだのですか?」


 レイが面白い質問をしてきた。ちなみに俺はAブラスターが見えない。俺の中に住んでいる者の魔力で出せるブラスターで俺の魔力ではない。


「すまないな。俺には見えないんだ。」


「そうですか・・・それにしてもまさかあのテレサ = モルトを倒してしまうなんて、信じられません。」


 ん?


「テテレサモルトじゃなくて?」


「はい?」


 あれ?俺間違えてたのか。やっべ・・・まあいいか。


「倒すというか、殺してはいないがな。」


「え・・・なんでですか!?ダークサイドの者は即殺さないと!」


 何だそれ?黒側?


「いいかレイよ。殺しをし続けると地獄の業火に焼かれてしまうぞ。この世を生き抜くコツは「ころさず、ころされず」だ。さてどうする?もうちょっと口を動かすか?それとも足を動かすか?」


「足を動かしてください!」


 仕方ない。せっせと足を動かし、王都を目指した。

王都へ向かったはいいがこの先魔力が全くない男はどうする!?

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