第三話「永田千春先生」
入学式を迎える鈴木太郎は、何の変哲もない男子高校生。
ただ、人よりおせっかいで優しく、気遣いができる男の子。
中学生まで何も気にせず日々を送っていたが、高校入学してから彼の生活は激変する。
学校行事やクラスイベント、ことあるごとに何故か彼が罰ゲームの対象になってしまう。
そんな彼と一緒になる女子に対して、太郎はどう対応していくのか。
彼の苦いけど、しっかり甘く整えていく青春物語。
放課後、千春先生に言われた通り職員室へと向かうことになった。俺には一切呼ばれるようなことは何一つしていない自信はある。
「失礼しまーす」
「お、鈴木こっちこっち」
永田千春。正直に言って、先生の年齢はおそらく二十代後半、三十路に限りなく近い年齢だと思う。しかし、その年齢を感じさせないほどに顔が整っていて、スタイルも良い。ただ残念なのは、ファッションセンスがなく、お世辞にもオシャレなんて声をかけられないほどだ。ひらひらのスカートではなくジャージ上下のフルセット、髪の毛もしっかり整えてはいないがおそらく準備する時間がなかったのであろうポニーテール。ナチュラルメイクでも許される顔面だから、というか完全に面倒だからメイクにも力を入れていないのがわかる。
そんな先生だが、愛嬌くらいはあるものかと思っていたが、そんなこともない。落ち着いた、、、というかだるそうにしてる。ほんと、「この先クラスが・・・」というよりは先生の将来に不安を感じてしまう。将来もらい手がなかったらもらっちゃいたいくらい、、、いえ冗談です。
それでもやはり見てくれは綺麗な先生だ。心臓の鼓動が速くなるのを無理やり抑えて、冷静を保ちながら俺は話しかけた。
「にゅ、入学式初日からいきなり呼び出しされて、注目浴びちゃったんですけど」
「すまんすまん、鈴木には伝えておくことがあってさ」
「えっと、これから俺は何を宣告されるんですか?」
「いや、実はな、先生の予感はよく当たっちゃうんだよね。悪い方の」
「その悪い予感ってのが、俺に関してってことですか?」
「その通り。ぶっちゃけて言うと、先生の勘的に、鈴木、お前はおそらくこのクラスで過ごしていくには苦労を掛けることが多くなりそうなんだ」
「それはどういうことですか?全く意味がわからないですし、そんな感じ全くしなかったですよ?」
「・・・鈴木、とりあえず頑張ろうな。困ったときは先生に言うんだぞ。話は聞いてやるから」
「はぁ。まぁ、とりあえずこれから学校生活始まるわけですし、なんかあったら先生に相談すればいいってことですね」
「そーいうことだ」
「わかりました。もう帰っても大丈夫ですか?」
「おう。気をつけて帰るんだぞ。うん、気を付けてな」
いやなんか意味含みすぎなんですけどぉ!?
先生が二回言ったことの意味が、その時の俺には全く分かっていなかった。
「太郎!おつかれ!」
「お疲れさま~」
職員室から出て、校門前まで行くと二人が待ってくれていた。
「おつかれ!二人とも待ってくれてたのか?」
「そりゃ家近いんだし、一緒に帰るくらいいいだろ?」
「もしかして、太郎は一人で帰るつもりだったの~?」
「いや、先生に呼び出されて時間経ってたから、もう帰ってると思ってさ。でも、ありがとう」
「どういたしまして~」
「さっさと帰ろうぜ!」
「そうだな」
幼馴染二人と楽しく話しながら帰れたことで、先生からの忠告は完全に頭の片隅の片隅にそっと置いてしまっていた。
俺は、千春先生の悪い予感が本当に当たってしまうことも知らずに呑気に家路についた。
おみおみです!
余談ですが、私の弟は意外と足が速いんです。
というわけで、少し短いですがどんどん投稿できればと思います。
稚拙な文ではございますが、何卒何卒。