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猫として生きます!

イザベラことプルーンは、レオの懐に入っている。ちょうど外套の前合わせの部分が袋のようになっていて、猫が入るにはちょうどいい大きさだった。懐の中は、暖かくて気持ちいいし、一定で歩く振動が眠気を誘う。

昨日は、あの後そのまま眠り、翌朝目を覚まして、ミルクを貰うと、レオが「プルーン出かけるよ。」という声で宿を出発した。荷物は置いてありしばらく滞在するようだ。今は街の市場やお店を回って、レオが買い物をしている。


「昨日ギルドでちょっと換金出来たから、ミルクだけじゃなくて、食べれそうな肉や果物もちゃんと買って置くね」

レオは、プルーンに話しかけた。


「プルーンは、ちょうど生後3.4ヶ月位だから、確かもうミルクだけじゃなくて、固形物も食べれるはずだよね。」

私猫だけど、猫の生態は、分からない。猫になってきっと数日しか経ってないし。そうか身体は猫だから人間の食べ物じゃダメそうね。かと言ってネズミは食べれないし、前世なら絶対猫缶やキャットフードだった泣。


「昔家族が猫を飼ってたんだけど、僕には何故かどんな動物も懐いてくれなくてね。プルーンは逃げないからちょっと嬉しいんだよ。よしよし…」

そう言いながら、耳と耳の間のおでこ辺りを撫ぜられた。うん、特に怖くはないけど…なんか気持ちいいし。普通に猫だったら、優しい飼い主に出会えて幸せなんじゃないだろうか。プルーンは、嫌がらないでじっとしている。


レオは、市場で調味料やミルク、果物や野菜など食料品を買い、お店では布やポーションなど薬品を購入していった。買った品物は、腰から下げている袋にしまっているが、絶対以上の容量を詰めている…あれは空間拡張された魔法袋のようだ。


太陽がちょうど真上に来る頃、レオは、良い匂いのするご飯屋さんに入って行った。

中は沢山の人で賑わっている。


「すみません、1人なんですが…」

給仕の女性に話しかける。


「えっあっはい、いらっしゃいませ!おひとりでしたら、カウンターが空いてますが。」


「あっちょっと猫がいるんですが、大丈夫ですか?」

「外のテラスでしたら、動物も大丈夫ですよ。」

「ありがとう、じゃそうするよ。」


隅の方のテラスの席に着くと、レオはプルーンをテーブルに置いた。

「ちょっと休憩ね。本当は猫なら部屋にいた方が良かったかもだけど、数日したら旅に出るし慣れとかないとね。」

そう言いながら、プルーンを撫ぜた。

「にゃー(私は大丈夫よ、猫じゃないし。)」

と鳴きながら、プルーンは自分の手を舐めたり顔を手で拭い、猫らしい仕草をしてしまっていた。


「はいはーい!お待たせしました!当店自慢のランチです!あっあと、猫ちゃんに少しだけ鳥肉の茹でた物をサービスしますね。」

給仕のお姉さんは、料理と鳥肉の入ったお皿をテーブルに置いてくれた。

(お姉さんありがとう!さては猫好き??)


「わぁ!有難う!助かるよ。」

レオは笑顔で感謝を伝えた。

「いえっ!そんな、大したことないですっ。あっ私アンナと言って、昼から夜までここで給仕として働いてます!旅人の方なんですか?」


アンナは勝手に自己紹介もして、頬を赤く染めながら会話を始める。

(あっやっぱりイケメンパワーですね)

プルーンは二人のやりとりを見ながら思う。


レオが鳥肉を細かく割いてくれたものをお皿にとりわけてくれたので、食べながら2人の会話を聞くことにした。

「うん、そうなんだ。昨日この街に着いたばかりで、この子も昨日路地で倒れてた所を拾ったんだよ。ごめんね、お店に連れて来てしまって。」

「いえいえ!たまに使い魔の動物を連れてる方もいらっしゃいますし大丈夫ですよぉ。」

「そう言って貰えると助かる。この街にも魔法使いは多いの?」

レオは会話を続けていく。


「そうですねえ、旅の方はたまに立ち寄るくらいですかね。特に観光地はないですし、旅の物資の補給くらいに寄られます。あとは、ひとり…賢者様で、ばば様と呼ばれている方がいらっしゃいますよ。」


「賢者様か、凄そうだね。」

「はい!この街でもとても物知りで力のある方で、私のおじいちゃんも若い頃に魔物がこの街を襲った時助けてくれたと話してました。」

(おじいさんの子供の頃からいるって一体何歳なんだろう…)

魔力を持つと体も時の流れが穏やかになるのは聞いた事がある。


「そちらの賢者様はこの街に住んでいらっしゃるの?」

「はい!街の奥の路地の中に、ばば様のお店がありますよ!良かったら私が案内しましょうか?!」

食い気味にアンナはレオに提案する。

「アンナさん、ありがとう。でもお仕事があるだろうし…良かったら行き方を少し教えてくれると嬉しいな。自分で行ってみるよ。」

レオは行き先を教えて貰い、手書きの地図も貰うことが出来た。

レオとプルーンは、お腹をいっぱいにして、アンナさんに見送られてお店を出た。

「また、良かったら夜に酒場もしているので来てくださいね!」

「ご馳走さま、ありがとう。またぜひ寄らせて貰うね。」


(レオって冒険者なのかな、旅をしながら狩りとかでお金を稼いでる?)

プルーンは、懐の中でレオについて考える。特に素性も分からず、レオという名前と旅をしていること、魔剣士で優しい飼い主であることしか今のところ分からない。


(できたら、イザベラが住んでいたキャンベル王国に向かって欲しいけど…でも王国に戻っても呪いを解かないと元に戻れないし。とゆうか猫のままじゃ何もできないよ。)

ちょっと八方塞がりな思考に入ってしまい、考えるのを中断した。



プルーンは、これからのことを考えることにする。

(当分は、レオに付いていってもっと魔法が使えるようになろう。レオも魔法が使えるみたいだし、旅の中で何かヒントが見つかるかもしれない。まだ猫の人生10年はあるはずだしすぐ死ぬわけじゃないわ。)

しばらくはレオと行動を共に過ごそうと決めた。

(ฅ'ω'ฅ):猫として生きます!ビシッ!!

( 'ω'):はい、覚悟してください。

(ฅ'ω'ฅ):まじですか…

( 'ω'):牛乳は実は飲みすぎるとお腹を壊します。

(ฅ'ω'ฅ):ガクブル…


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