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新しい名前

「あっ思い出したようだねー。結構お転婆したよね。だから女神に目を付けられて、こんな事になってるんだけどー」


「はい…思い出しました…あーなんでこんな人生歩んでるの?!私!恥ずかしい!」

目を覆いたくなるそれまでの行為を思い出し、思わず身悶えてしまった。

何やってたんだ、私。


「まぁ転生して何故か猫になるのは、未来視で分かってたんだけど。こんな成り行きだったんだ。面白いね君。」

あははっと漫才でも見たかのように笑う神様。


「でもこの世界の神の1人である彼女が、魂の循環に関わってそうだね。神々の行動は、未来も現在も見ることが難しいから、なにはともあれあの女神に関わってくれて助かるよ。」


神様は私を見つめるとこう言った。


「どうやら呪いで猫にされてるようだけど。何か呪いを解く条件があるようだね。鍵がかかったようになってて僕でも解けないや。」


「そうですか。残念です。」


「落ち込まないで。猫の人生終わる前に戻ればすむことじゃない。」


「えっそれって。それまでに戻らなければそのまま死んじゃうってことですよね。」


「まぁそうなるね。」


「いやあぁ。私の青春が!せっかく魔法もあって、伯爵令嬢でお金もあってやりたい放題だったのに何よこれはー!」


「心の声がだだ漏れだよ…かおりちゃん。あっいまはイザベラか。」


「じゃあ、また定期的に連絡するからー。何か呪いを解けないか、僕も考えてみるから。頑張ってね!」

「はい、神様。またよろしくお願いします。」





挨拶が済んだところで、イザベラは目覚めた。


目覚めると、イザベラは布に包まれていた。

(ここは…?)


数時間経っていたのか辺りは暗いが夜目が効く。籠に入れられてるのかな?見上げると電球が見える、部屋の中のようだ。


(こんな猫になっちゃったけど、この先どうしていこう。とりあえず呪いを解いて、人間に戻りたいなぁ。でも、イザベラの場所には戻りたくないや…)

丸まりながら考える。


イザベラのそれまでの行いについて振り返る。

性格が歪んでしまって、周りの人に迷惑をかけた。婚約者にも婚約破棄され、醜聞も悪く家族とは絶縁状態。家にいる場所もない。あそこには戻りたくないな…


そこまで考えて気分が落ち込み考えるのやめた。



ふと部屋に近づく足音が聞こえてドアが開き、灯りがつく。

ガチャ…キー…パタン


「ん?起きたようだね」

指先で頭をそっと撫でられた。見上げると、拾ってくれたのだろう男がいた。外套は脱いでおり、顔がよく見える。目鼻立ちはくっきりした顔が近づいてきて、青い瞳に見つめられる。


(目が綺麗だな…)

猫の目で見つめ返す。


「君、瞳の色は、紫なんだ。綺麗だね。体調も良さそうだし、ミルク飲む?」

「にゃー(お願いします)」

イザベラは、お皿に出されたミルクを飲む。


「ほんとに言葉が分かるようだね。じゃ自己紹介させて。僕は、レオ。職業はいまは魔法剣士をしているよ。」

(魔法剣士!響きがかっこいい!こんなのゲームの世界だけだと思ってたけどリアルになっちゃった。)


たしかイザベラの知識だと、魔法はあるけど使える人は魔力の高い一部の人のようだった。武器や魔具に魔力を通して魔法を使うのが一般的だった。イザベラは、元々魔力もなく貴族として生活していたので一般的な知識はあるが魔法は使ったことがなかった。住んでいた王国には、魔法使いが冒険者にいたり、魔法使いの王国直属の部隊がいたと覚えている。


(レオは魔剣士という事は、剣に魔力を流して戦うということかな)


「君にも魔力があるみたいだけど、使えるのかな?」

(え?魔法使えるの?どうやったら…)

イザベラは、少し考えて念じてみることにした。すると頭の中にスキルという項目が見える。

くっきり見えて、薄く見えるものもある。


【スキル】

猫魔法:猫の体を媒介として使用できる魔法。

ライトニング Lv 1 、浄化 Lv 1、(マナクリスタル生成 Lv 0)

【固有スキル】

防虫効果

【固有ステータス】

神様の加護、ドレイン


前世でやったMMORPGにもスキルがあったけどこれもそうかな?猫魔法ってそのままだけど武器は要らなそうね。


「にゃー(ライトニング)」

その中のくっきりと見えるスキルを唱えてみる。

すると、頭上に小さな光の玉が灯る。

(ライトニング?照らすって意味なのかな。猫目だからあんまり意味はないけど、人間にとっては助かりそうだわ。)


「照明のサポート魔法かな?すごいじゃないか。」


レオは賞賛の声を上げて、イザベラの顎を指で撫でた。ライトニングの魔法は、数分で勝手に消えてしまったが、何回か試すと少しづつ出現する時間が伸びてきた。スキルを見てみると、レベルが2になっている。どうやら使うほど経験値として蓄積されレベルが上がるようだ。レオは、ライトニングの練習をしばらく眺めている。


「一緒に旅ができたら楽しそうだな…君どうだろう?ご飯も出すよ?」

(ご飯があるなんて助かる…)正直飢死しそうだったのは、ネズミや虫が食べれなかったからだ。人間に近いご飯が食べれるなんて嬉しい…イザベラはコクコクとうなずいた。


「そうか、良かった!君、名前は?」

「にゃー(イザベラよ。)」

うーんでも身元がバレると厄介だし言わない方がいいか。って伝わってないけど。


「……名前ないのかな?付けてもいい?」

「にゃー(いいわよ。)」

「そうだな。紫色の目が、果物のプラムに似てるからプルーンで。今日から、プルーンね!よろしく。」


(……)


(食べ物の名前をつける人に悪い人はいないって、前世のゲームでも言われてたけどレオもそうなのかな?)


(もっとバイオレットとかヴィオラとか美しい名前が良かったが、今日から私はプルーンだ。レオ、これからよろしくね!)


こうして、私の新しい名前が決まった。



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