それはまさに悪役令嬢ね
(いま思い出した。
そう私は転生していた、そして17年の年月が経っている。なぜ今猫になって死にかけていたのかも分かる。全ては転生してからの自分の責任だ。)
(私は、イザベラ・アーガイルよ…)
イザベラは、紫の瞳が印象的な女性だった。銀の細い細い、絹のように滑らかで真っ直ぐな髪は、胸元まであるロングで、傷んだところもなければ乱れたところもない。身長は160センチほど。長い銀のまつげ、弓形に整った銀色の眉、バラ色の頬、サンゴ色の唇、それに瑠璃色の瞳。だが、目は少しつり目できつい印象がある。
17歳になる頃には、誰もが振り向く美しい容姿を持つようになっていた。
身分は、キャンベル王国アーガイル領を治めるアーガイル伯爵家の令嬢である。
彼女には、異母姉妹マリアがいた。マリアは、平民上がりの女性アリサと、父親であるアーガイル伯爵家との間にできた子である。栗色の髪にエメラルド色の瞳。イザベラとは全く似ていない。大きな二重の目や小さく整っているが童顔の顔は、あどけなさが残るものの、可憐で儚げな印象である。そしてその容姿や言動は、なぜか周囲の人々を惹きつける魅力があった。
イザベラの母親は元々身体が弱く、イザベラが8歳の頃に亡くなってしまう。その後直ぐに、アーガイル伯爵が、後妻としてアリサを招き入れ、1歳年下のマリアは妹として同じ屋敷で暮らすことになった。
母が死んでからは、屋敷で暮らすことはイザベラにとって苦痛でしかなかった。
父の伯爵とアリサは、同じ色の髪と目をしている。逆に、イザベラは、母親のそのままの色彩を持っていた。
見た目にも親子の繋がりが感じられるマリアは愛されていた。
逆に伯爵にとっては、母親と生き写しのような容姿のイザベラは、忘れたい存在だったようで、イザベラにはほとんど声をかけないでいた。もう1人兄がいたが、他国へ留学のため家を出ていた。
伯爵と、アリサ母娘はとても仲良く、毎日の夕食は家族団欒の一時であったが、しかし、そこにイザベラの居場所はなく、すぐにマリアを憎悪の対象にするようになる。
(マリアさえいなければ…)
そんな気持ちが徐々に積み重なっていったようだ。
15歳から入った学園では、マリアが入学してくると、平民上がりでマナーがなっていないことなど、何かにつけて仲間の令嬢と共に事あるごとに攻撃するようになった。
マリアを虐める行いは、日に日にエスカレートし、マリアの暗殺を企てるまでになる。
イザベラが17歳、婚約者であったアガサ王国第一王子フィリップ・キャンベルが学園を卒業する年だった。
卒業パーティーのダンスの相手役に呼ばれていた会場で、それは起きた。
王子から、婚約破棄とイザベラの処刑を言い渡されたのだ。そして王子は、マリアを婚約者にすると言い出す。
「私は、イザベラとの婚約をここに破棄する!」
「王子、どういうことでしょうか?急に婚約破棄とは…」
「イザベラ!お前は、マリアを裏組織に手引きを図り、暗殺しようとしたことは分かっている!」
「お前のしたことは許されない。お前と婚約破棄し、私は、マリアと婚約する。」
「お姉さまどうしてこんなことを…」
(バレてしまったらもう仕方ないわ。きっと私は処刑されるでしょう。でもマリアがいる世界に私はいたくなかった。仕方なかったのよ…)
イザベラは、マリアへの憎悪から犯した罪を認めた。
「魔法学園で起こった事は、学園生徒会が全て一任されている。そちらに則り裁きを受けてもらう。」
そう王子は言い、イザベラを学園生徒会生徒たちと共に牢獄に連れていかれた。
◆◆◆
牢獄に閉じ込められて次の日、王子が側近と共に姿を現した。
「我が王国を守護する女神よ、イザベラの処罰をお願いしたい。」
そう、王子が告げると、突如として、女神が姿を現した。
女神は、腰まであるウェーブが美しい黄金の髪に、切れ長の隻眼。ピンクのドレスに身を包んだ美女だ。
底知れない魔力を感じるが、見た目は20歳くらいの女性だろうか。
「王国を守護する女神さまですか。」
イザベラは、女神を初めて見た。
「如何にも。妾は、王国のために力を貸しておる存在じゃ。」
キャンベル王国には、女神が建国以来付いていた。これがこの国が長く続いてきた強さの理由だ。歴代の王は、女神と契約して王になるそうだ。何故こんな伯爵令嬢1人の処罰に関わるかはわからない。
女神は、あっけらかんと告げた。
「んーお主の育ち方が、間違ってしもたようじゃ…やり直す必要がありそうよの。」
「今から其方は姿を変えて、生きねばならぬ。身分も容姿もはたまた人ですらない者になるのよ。そこでこれまで与えられていた人生について振り返り反省するといい。」
女神が手を振ると、光が私を包み込んだ。その瞬間、イザベラに身体がちぎれるような痛みが押し寄せる。
「つっ痛いっっ!痛いわっ!嫌ぁぁぁぁあー!」
「にゃぁぁぁぁーーーん……」
イザベラは視界が大きく変わったのを感じた。
話し出した女神を見上げる。
「これはいわゆる呪いの類よ。力も身分もない姿で生きよ。そして愛を知り己の身の儚さを知るのじゃ。」
「妾も悪人ではない。ある条件を満たせば呪いは解けるでな。但し、呪いのこともヒトであったことも教えられないように、禁呪をかける。せいぜい精進するのじゃ。」
女神は、イザベラを猫の姿に変えながら思う。
(イザベラよ、本来は魔力の高い良質な魂を持つヒトであるのだが。環境のせいか魂が汚れておる。これでは使えぬのよ。本当の愛を知り、また愛されるのだ。そして、浄化された魂になったとき戻ってくるといい。それで妾の願いが叶えられるのじゃ。)
女神は、猫になったイザベラを遥か遠くの地に飛ばした。
( 'ω'):初投稿から少し設定を書き直しました<(_ _)>誠に申し訳ありません。
(ฅ'ω'ฅ):ひどい!!プルーンを所望する!
( 'ω'):どうぞ(꜆ ˙-˙ )꜆。
(ฅ'ω'ฅ):ŧ‹"ŧ‹”