なんとか生き延びました
男は、子猫が路地の片隅で倒れているところを見つけた。誰かに呼ばれた様な気がして、路地を見つけたのだ。
男は、子猫に近寄り様子を伺う。
「にゃぁん…」
すると気配を感じたのか弱々しい声で子猫は鳴いた。
まだ生きているようだが、毛並みは泥もついておりボロボロ、痩せ細った身体が小刻みに震えており、今にも死にそうだ。こんな所にいたら野犬にでもすぐ襲われてしまうだろう。
(こんなに弱ってしまって…かわいそうに)
子猫を見ている男は、頭にターバンを巻き、口まで覆う日除けも兼ねたマントを羽織る長身の男だ。
旅をしていた男は、普段なら動物が死にかけていても放っていた。だが、この猫からは不思議な気配が漂っていることを感じていた。魔力を感じるのだ。
(魔物ではないようだが…)
(首輪もないようだし、まだ子猫のようなので親猫とはぐれたかのか。)
男は考える。
(一人旅のままでは寂しいか…一匹増えても食料にはそんなに困らないし。この猫には、魔力もあるから何かの役に立つかも知れないな。)
男は、そんなことを考え子猫を助けることにした。
子猫に剣をかざしながら、回復魔法を使う。
すると、震えが止まり、子猫は目を覚ました。
「おっ起きたか。少し水を飲むんだ。」
男は子猫に話しかけ、手に水を汲んだ。
子猫は、男の手から少し水を飲む。
ペロペロペロ…
「体の傷や衰弱した内臓は治ったはずだ。あとは、水分と食料をたべて栄養をつけるしかないか。」
男は猫を抱き上げると布に包み懐にそっと入れて、その場を立ち去った。
◆◆◆
どうやら人間の男に助けられたようだ、とかおりは思った。何か体が温かくなったと思ったら、急に身体が軽くなった。
男は借りた宿に帰ると、懐からかおりを取り出して、布を数枚重ねたところに下ろした。
そして、ミルクを皿に入れてかおりの前に置いてくれた。
「にゃーにゃ(わぁい、ミルクだわ!美味しそう。)」
かおりは、ミルクに飛びつく。少し温められておりとても美味しい。
ペロペロペロ…
ターバンやマントを外し室内着に着替えた男がやってきて、こちらを見ている。
白い肌に黒色の短く切り揃えられた髪、目が隠れるくらいの前髪からは青い瞳が覗いている。
顔を隠しているときは分からなかったが、目鼻立ちが整っており、日本だったらアイドルかモデルになれそうだとかおりは思う。年は、10代後半だろうか。
(こんな美形に、近くで見られていると思うと緊張する〜)
「食欲はあるようだね、良かった。」
男は、かおりに向かって話しかける。
「魔力があるようだけど、僕の言ってる言葉はわかる?」
「にゃー(分かるよ、ミルクありがとう)」
かおりは、精一杯の気持ちを込めて喋ろうとするが、猫の鳴き声しか出ないのが悲しい。
「人の言葉を理解する魔力を持った生き物もいるらしいが、それがお前なのかな。流石にお前の言ってることは分からないね。」
男には、賢い猫くらいにしか思われていないようだ。
「にゃぁー↓(そうなのね、残念。)」
かおりは、如何にも残念そうな声で鳴く。
(せっかく助けてくれそうな人なのに…)
「僕の名前は、レオ。旅をしているんだけど、しばらくお前が回復するまで面倒を見るよ。そのあとは、好きにするといい。」
(言葉は通じないけど、一先ず良い人に助けられたわ。良かった…)
かおりは、ミルクも全部飲んでお腹いっぱいになった安心感で、また眠ってしまうのであった。