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霧雨の碑  作者: 御剣蒼矢
1/1

#10 リア

10です、へい

「うん、これならサナも喜ぶだろ」

約束の時間まではあと30分程だ、商品を選ぶのは何とか間に合った、後は約束の場所に戻るだけだ。

気を良くしたおじさんがくれた強度強化された長い紐はどうしようか……。

「えーと……こっちだったかな」

元来た道を辿れば着くはずだ、元来た道を覚えていなければ詰みだがちゃんと覚えている。

勝ち組だぜい!


「……ん?」

約束の場所に着々と進んでいる途中、近くの路地から異様な気配を感じ取った。それと同時に、微かな硝煙の匂いがする。

ギャングでもいるのだろうか、そういった奴ら同士の戦いなら首を突っ込むつもりは無いのだが、民間人を巻き込んでいるのなら首を突っ込まざるを得ない。

「見に行くか……」

約束の時間まではあと20分近くあるだろうから、多分大丈夫だ、ここからなら走れば5分で着く。

急いで路地へと向かい、入口の壁から中を覗く。

「……やっべ!」

様子を見ようとしただけなのだが、そんなものは捨て置き駆け出す。

路地には2人の人間がいた。1人は小柄でフードをすっぽりと被った人が地面へと座り込み、もう1人は眼鏡をかけた知的な男性。その男性が今まさに銃を撃とうとしている。

刀を出し、瞬時に距離を詰めると同時に射線上に刀を合わせる。僕の突然の登場に驚いたのか、銃から弾が吐き出される。

その弾が刀に当たった瞬間、弾が弾ける様にして消えた。

切れていないということは銃弾は異能力で作られているという事だ、ならば銃も異能力の可能性が高い。そのまま銃も切る、予想通り銃も弾ける様に消えた。

「何っ……!?」

男が驚愕の声を上げる、その一瞬の隙で良かった。

「ごめん」と言ってから座り込んでいた人を抱き上げ、直ぐに路地から脱出する。

若しも銃を作り出す能力ならばもう一度作り出してくるに違いなく、拳銃だけてなくライフルなんかも出せるのなら流石に銃弾を全て弾く自信は無い。

「貴様ぁ!」と後方で叫び声が聞こえた、出来るだけ離れなくては。


だが走ったくらいでは振り切る事が出来ず、路地から男が出てくる、その男の手にはサブマシンガンが握られているのが分かる。

流石にやばい。

「悪い!」

フードの人を少し手荒だが近くの木の裏に投げ、また刀を構える。

全弾を弾く事は出来ないが、弾かないよりかはマシだろう。

「オラオラオラァ!」と知的な顔に似合わない声を上げながら手のサブマシンガンを撃つ。

幸いにも近くに出店はないため、存分に動ける。

最初の数弾は横に飛び避ける、だが残りは弾くしかなく、体勢を立て直す。

弾は一度に6発、順番は右上、左下、右、右下、左、左上だ、距離的に少しでも無駄な動きをすれば弾に当たる。

刀に当たった弾が軽快な音を立てて弾が次々と消えて行く、だが弾は6発で終わりではない2射目、3射目とあるのだ。

「……ッ……まずった……」

弾を1発弾き逃した……。

咄嗟に身を捩り回避するが、その後の弾が左腕を2発、腕を浅く掠めた。

「くっそ……」

何とか4射目を弾くも、まだ5射目がある。

5射目の数発をを空中に出現させた刀で消し、残りを右手の刀で弾く。

6射目はないらしく、男はサブマシンガンを捨てた、また逃げなければ。

木の裏で座り込んでいるフードの人を強引に背中におんぶし、さっきのおじさんがくれた長い紐を使い背負い結びをする。

身長はサナよりも少し大きいくらいだった。

「悪い!乗り心地は保証しない!」

いつ6射目、若しくは別の銃の攻撃が来るかは分からない、今はサナと合流するのがいいだろう。

銃弾を防げる障害物に隠れる様にしてその場から徐々に離れていく。

追いかけても無駄と判断したのか、いつの間にか男は近くの家の屋根に登り、スナイパーライフルを構えている。

「マジかよ……」

急いでその場から飛び退くが、数瞬遅れて隠れていた分厚い石壁を弾が貫通してきた。

「あの……ごめんなさい、私のせいで……」

背中から可愛らしい声がした、フードの人だ、声的にまだ幼い少女だろう。フードの少女は僕の左腕に手を当て、もう一度「ごめんなさい……」と呟いた。

「大丈夫、今は取り敢えず逃げるよ。いつ弾が飛んでくるか分からないから」

「はい……」

言ったそばから背後に嫌な気配を感じ、刀を回す。

拳銃やサブマシンガンを弾いた時とは違う重い感触、スナイパーライフルの弾、当たれば終わりだ。

家の裏に回り、壁の僅かな凹凸を使い屋根へ登る、危険性は上がるが目的地までは早く着く。

スナイパーライフルのため連射速度は遅いが、1発1発の殺傷能力は異次元だ。

「もう少しだから、頑張って」

また弾を弾き走る。あと少し、あと少し……。

確認のため走りながら振り向き男を見る、するとそれに気づいたのか、男が口の端をニイと上げた。

銃口は僕ではない場所を向いている、僕のその先の何か……。

真逆まさか……ッ!」

「ぬかったな」と、男の口が動いた。

次の瞬間、銃口から吐き出された弾が、僕の足元の屋根を削り取った。

すんでのところで跳躍し、少し離れた所の足場に片手で逆立ちする様な形で受身を取る。

此処から手を使いまた跳ぶ──

──「もう一丁!?」

男の足元に一丁スナイパーライフルが置かれている、そして手に、もう一丁スナイパーライフルが。

今の状態では刀は振れない、跳ぶにしても射線上だ。

咄嗟に射線上に刀を出すと同時に、背負い結びをしている紐を刀で切っておく。

射線上の刀で弾を防ぐがその衝撃で刀が真っ直ぐ、僕に向かって飛んでくる。

刃を僕に向けて、一直線に。

もう能力解除は間に合わない。

刀は左の脇腹に深く、根本まで突き刺さった。


「ぁ……ぐ……ッ」

体を支えていた手から呆気なく力が抜け、刀のどこにそんな力があったのか、体が大きく後方へと吹き飛ばされる。

紐を切っていたためフードの少女には刃が刺さらなかった様だ。震える手で空中の少女を抱き寄せる。

だが、男は相当の腕らしく、吹き飛ばされていた僕の右足をスナイパーライフルの弾が貫通した。

「く……ッ……そっ……!」

その衝撃で体が大きく揺さぶられるが、空中で何とか体勢を立て直し少女を抱き込む。

このスピードで何かに当たれば骨は間違いなく砕け、刀が体から抜けてしまう。足も貫通させられているのだ、そうすれば出血多量で死ぬのは確実だ。

「ごめん……サナ……」

死を覚悟した、その時だった。「綾人君!」と下から声がして、何かに体が受け止められたのだ。


「サナ……」

「その傷どうしたの!?大丈夫!?」

「ああ……悪い……」

サナは手頃な地面に着地すると、僕をゆっくりと、壁に立てかける様に下ろした。フードの少女はするりと腕から抜け、サナの横に並ぶ。

その間もだくだくと足からは血が流れ、刀も維持出来なくなったのか消え、左の脇腹からもだくだくと血が流れる。2つの出血口から出る血はみるみるうちに血の池を作っていく。

「どうしたの一体……!?これ……どうしよ……死んじゃう……」

サナの目から涙が溢れ、頬を伝う。安心させなきゃとサナの涙を拭おうとしたが、手が震え力が入らない。

「大丈夫……足をどうにか止血出来れば……」

だが今手元には足に開いた穴を止血出来る物がない、何か……止血出来る物を探さなくては。

震える手を何とか持ち上げ探そうとするが、その手はフードの少女にはしっと握られる。

「私に……任せて下さい……」

そう言うと、フードの少女は腰から拳銃を取り出し僕に向かって迷わず引き金を引いた。

「ちょっと!何するの!?」

とサナが悲痛な叫びを上げるが、それを手で制す。

手が楽に動くようになったのだ。

楽にしようと殺そうとしたのかと思ったが、弾は着弾しても痛みだけでなく傷もない。

足と脇腹の痛みも無くなり、血も止まった。

「治癒の弾です。足と脇腹の傷とが完全に塞がるまではあと数時間はかかりますが……」

「ありがとう……大分楽になった……」

フードの少女はぺこりと頭を下げ「お礼です」と言い後ろに下がった。


次はサナが前に出て「誰?」と少しドスの効いた声で耳打ちをしてきた。

「襲われてて、ちょうど通りかかったもんで助けたんだ。まあ、このザマだけどな……」

納得の行かない顔をしながらも「そ」と一言呟いてサナも離れる。

「フードの娘、えっと……」

改めてお礼をしたかったのだが名前を聞いていなかった、と言ってもあのゴタゴタの中では当然だ。

そこでフードの少女はフードを被っている事に気づいてか全身に被っていたフードを取った、フードの下からは透き通る様な長い白い髪と宝石の様な蒼い目の、年相応といった可愛らしい顔が現れる。

「私はリア、リア・ハーマルドです」

「僕は滝川綾人だ、よろしく」

「滝g……むぐむぐ…………サナだよ」

変な事を言おうとしたので瞬時に口を塞ぐ、アスリートレベルの速さだ。知らないけども。

「なあリア、なんでお前はあんな奴に追われてるんだ?」

本題だ、それが1番気になる。「私の時は言うまで敬語だったのに……」とサナが呟いたが聞こえないフリをしておこう。

「私の異能力が……狙われているんです」

「さっきの、治癒能力か?」

リアは首を横に振った、治癒の能力以外は見ていないし、なら一体なんだというのだろう。

「私の異能力は銃弾に様々な能力を付与するというものなんです……」

「だから銃や銃弾を作り出す能力者に追われて……?」

リアはまた首を横に振った。

「ある組織です……さるべいしょん?って言ってた気がします」

「いつ頃から襲われ始めたんだ?」

「えっと……2週間前からです」

ちらっとサナを見る、サナも真剣な顔で頷いてくれた。

「ちょっと待ってて」


小声でサナと会話する。

「2週間前って……」

「うん、危険な人……」

「単なる偶然だと思うけど、手がかりが何も無い以上これに賭けてみてもいいと思う……それに、あの娘を放ってはおけない……」

「口説いちゃやだよ……?」

「口説くわけないだろ……」

さっとリアに向き直る。

「僕達の目標が終わるまでだけど、君を守らせてくれないか?」

「だめです……迷惑になっちゃうので……」

「迷惑だなんて、全然だよ」

リアを守れると同時に仕事も終えられるかもしれないのだ、全く迷惑だなんて事は無い。

「あ、でも家も家族もいるよね。その近くの宿とるから何かあったら来てもらう感じで」

流石に家にずけずけと入る訳にも行かない、多少心もとないが来てもらうしかない。宿には悪いが取り直さなくては。

リアに、家の場所を聞こうと顔を上げると、リアが少し悲しそうな顔をして小さく笑った。

「あの……家は少し前に壊されてしまって、家族は元々いません……」

「ごめん……知らなかった……」

それは悪い事を聞いてしまった、直ぐに謝るがリアは「良いんです」とまた悲しそうに笑う。


「サナ」

振り向くと、それだけで理解してくれた様で「むう……特別だよ?」と頷いてくれた。

「リア、一緒に来るか?」

「でも……」

「一緒に行こうぜ」

リアの手を取るが、顔は依然として変わらず手も引っ込めようとしている。

「私がいると、あなた達にも危険が……」

「大丈夫だよ」

サナも空いている方の手を取り言った。

「綾人君だけでも強いけど、私がいればもっと強いから。負けるなんて事ないよ」

「しつこいようだけど、頼む……守らせてくれないか?」

勿論目的達成のためではあるのだが、それ以上にこの娘には僕の様になってほしくない。

精神をすり減らしてほしくないのだ。


その思いが通じたのかは分からないが「……分かりました。お願いします」とリアが頭を下げた。

「でも、危険になったら捨てて下さいね」

それを聞いたサナが、はあとため息をつく。

「そんな事するはずないの」

「ああ、悪いがそれは出来ないな、例え死にそうにになったとしても、僕は絶対に手を離さないからな」

「なんでそこまでするんですか……?」

そんなの決まってる。

「ほっとけないんだよ、君みたいな人」

ほっとけないんだ、自分の気持ちを押し殺してる人の事が。怖いのに、嫌なのに、それを誰にも言えずに閉じこもっている人が。

それを抱え込むのは強さでは無い、怖い時に怖いと言えないと、いつか壊れてしまうから。

「君みたいな自分の言いたい事が言えない、そんな人がほっとけないんだ。僕達には何でも言ってくれ、怖いでも寂しいでも、あそこに行きたいこれがしたいって、何でも」

そう言うと、リアは驚いた様に目を丸くし「はいっ!」とやっと満面の笑みになったのだった。



-----



「満室ぅ!?」

事前に取ってあった宿へと戻り、矢張り1人1部屋にしようという話になり部屋をあと2つ取ろうとしたのだが生憎埋まってしまっていたそうだ。

サナが同じ部屋と言って聞かなかったので1番広い部屋を取ってはいるのだが……。

「ごめんリア、別の宿探そうか。すいません、キャンセルって……ん?」

店主さんにキャンセルを伝えようとすると、両側から袖が引かれた。

「私は別に……同じ部屋でも良いよ?」

「私も……です」

「え?いやー……」

「店主さん、キャンセルしなくていいから!」

「今さらキャンセルも悪いですし!」

いや僕の意見は……?

「綾人君行こ」

「ちょ……えぇ……」

まあ良いか、店主さんにも悪いし……。




部屋には少し大きめなベットが2つとソファ、その前に置かれた低いテーブル、そして勉強机の様なものが1つ、壁に接して置かれている。

「じゃあ、寝る時僕はソファ使うから、2人はベットで寝てくれ」

「だめです」

「うん、だめ」

駄目だった、多分ここからまためんどくさい事になるのだろう。なんとかして話を逸らさなくては。

「あはは……取り敢えず夕食行こっか……」

これが今の僕に持たされた最大の力、夕食時だ!

さっき美味しそうな、というか気になるお店を発見してしまったのだ。

「ほら、行こうぜ」

宿を出て数分の場所にあるその店、キャッチフレーズがやばいのだ。

『犬、猫、うさぎ!触れ合いながらご飯が食べれる!』という店だ。犬カフェ、猫カフェなど単体ならあるが、増してや犬、猫、うさぎ三位一体とは素晴らしい、もう行くしかないでしょ。

あと少しで着く……この角を曲がるだけだ……。


「此処だぜ!」

「犬、猫、うさぎ……」

「触れ合いながら……ご飯が食べれるですか……?」

サナとリアが交互に読み上げる、もうそれ聞いてるだけで気分上がるよね。

「最高だろ!」

カフェの扉を開ける、此処に天国はあった!

「いらっしゃいませー」

と若い女性の店員が出迎えに来た、その女性は「こちらです」と僕らを少し大きな部屋へと通した。

その部屋には犬、猫、うさぎが2匹ずつ飼育ケースに入っていて「注文が決まりましたら呼び出しボタンを押してくださいね、動物さん達にも、そこの棚のご飯を上げてくださいね」と良い店員が部屋を出ていくのに合わせて、ケースの扉が開いた。

犬は黒い柴犬とコーギー。猫はアメリカンショートヘアとマンチカン。うさぎはフレミッシュジャイアントとネザーランドドワーフだ。

「最高だな……」

「可愛いけど……」

「もふもふしたいですけど……」

ははは、けどなんだ?ボクは存分に可愛がるしもふもふするぞ!

「よしよし……」

僕は黒い柴犬を腕の中に抱き、わっしゃわっしゃと撫でる。サナはフレミッシュジャイアント、リアはネザーランドドワーフを撫でている。

他の猫や犬は気ままに部屋の中を歩いていた。




注文を済ませ、食事を済ませ、それでもまだ帰りたくない。

アメリカンショートヘアが僕にとても懐いてしまったようで、ずっとしがみついている。

「可愛いなあ……」

離したくないけれど、もう夜だ、名残惜しいが僕達はその店を後にする事にした。

「可愛かった……」

「和んだね」

「ふわふわでした」

などと会話をしながら宿に帰る、そして部屋の中を見るまで僕は忘れていた。いや、その事実から目を背けたかったのかもしれない、でもそれは無理な事なのだ……。

そう、ベットが2つしかない!

「やっぱり僕はソファで寝るから……」

「でも綾人君怪我してたじゃん、だめだよソファじゃ」

「リアのお陰で傷は治ってる……」

「大変です、私の治癒は完璧じゃないかもしれません」

いやもう傷口は塞がってるし痛くも何ともないんだが、全く聞く耳を持たない。

「でも綾人君がベットで寝たら1人足りなくなっちゃうから、私が綾人君と一緒に寝れば良いよね」

「いやそれは……」

「だめです!綾人さんが怪我したのは私のせいですから責任は私が取るべきです!」

「ちょ……」

「リア、身長何cmなの?」

サナはリアにびっと指を突き出して聞いた、人を指差すのは辞めような。

「140ですけど……」

「私133だよ」

リアは大体予想通りだったがサナは予想以上に小さかった。

「……何が言いたいんですか?」

「私の方が小さいの、その分邪魔にならないの」

サナはむふんと得意気に腰に手を当てて言った、仁王立ちだ。っていうか一緒に寝るの許可してないんだが。

「これ程までに小さい事に優越感を覚えた事はないね……」

「く……でも人肌が良いって言いますよね?133cmだと小さ過ぎて何も感じないんじゃないですか?」

「はぁ……分かってないねえ。綾人君は小さい娘の方が好きなのよ」

「……っそうなんですか!?」

いや小さい娘好きだけど、その言い方じゃ絶対誤解されるよね?言葉考えてくれよ……。

「別に小さな娘が好きな訳じゃないから……」

そう言うと、リアの顔が明るく、サナの顔が暗くなる。これじゃあ埒が明かない。

「何しても駄目だ、僕はソファで寝るからな」

「「えー!?」」



-----



ぶーぶー言っていた割に、いざベットに入ると疲れが押し寄せて来たのか、2人ともこてんと寝てしまった。

リアはサナよりも早く、ベットに入って1分もしないうちに寝てしまったのだ、最近安心して寝れていなかったのかもしれない。

「大変だったな……」

リアのベットの端に座り、そっと顔を覗き込む、今は安らかな顔をして眠っているが、昨日や一昨日はどうだったのだろう。

「守ってやるから……安心しな……」

一度頭を撫で、ベットから離れる。

「僕1人でも守れるようにならないとな……」

いつでもサナが一緒にいる訳ではない、そうなった時、今の僕ではリアを守りきれない。

銃弾に能力を込めるリアを狙うという事は敵は銃を基本としてくるに違いない、それに銃弾が異能力とは限らないため、銃弾を全て切れるようにしておかないとならない。

「二刀流か……」

両手で刀を振れれば理論上は多分強くなるが、二刀流なんて人生でも数回しかやった事はないし、その時の戦果は微妙だった。

慣れるしかないらしい……。

どうしたものかと考えていると、リアのベットから「うぅ……」と呻き声が聞こえた。

「リア……?」

リアのベットにもう一度近づく、一瞬敵の攻撃かと思ったが、どうやら悪夢にうなされているらしかった。

「大丈夫か……?」

リアは苦しそうな顔をして「怖い……」と一言呟いた。

「なんだよ……言えんじゃん」

それで良いんだ、余計に溜め込むのは良くない。

リアの頭を撫で「大丈夫だからな……」と言ってやる、それで悪夢が終わるとは思っていないが今はそうする他ない。

「ん……綾人さん……?」

「あ、悪い……起こしたみたいだな」

リアは頭を撫でていた僕の手を取ると、それを両手で包み込み、ベットの中に引きずり込んだ。

「ちょっとリア?」

「あの……ちょっと不安で……」

まあ、あの悪夢の後では致し方ないかもしれない……。

「分かった、良いよ」

「ありがとうございます……」

その数分後、リアは眠りに落ちた。

そして僕も、眠りに落ちてしまうのであった。








キンチョールのしーえむ大好きなんですよ。

「勝った……」

「何に……?」

っていうの最高じゃないですか?

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