プロローグ
「ボクと契約して、魔法少女になってよ!」
どこかで聞いたことのあるようなセリフを、今さっき不良どもにボコされて路地で雨に濡れながら地に伏せていた私に、フードを目深く被ったパーカーの少年は投げかけてくる。
多分この子は頭がおかしいんだな、可哀想に。
口の中も切れてるし、早く帰ろう。
「聞いてる?ボクと契約しようよ。魔法少女になったら奴らに復讐できるよ?」
そんな事が現実にあり得るはずがない。
私は少年と体中に走る痛みを無視しながら、ゆっくりと立ち上がる。
「...信じてないみたいだね。しょうがない、じゃあ魔法を見せてあげるよ。」
そう言いながら少年は私に触れてくる。
全身に激痛が走り、立っていられなくなった私は地面に膝をつく。
だが、激痛が引く頃には、全身の痛みも消え、口の中にしていた血の味も薄くなっていた。
「...な...どういうこと...?」
驚きのあまり、私は少年の顔を見つめ、疑問を投げかける
少年は答える。さも当然の事のように。
「魔法だよ。これで信じてもらえた?」
私は一度頷く。
私は力が欲しかった。奴らに復讐する力が。
「じゃあ契約してくれるかな?...ああ、大丈夫、君から貰う物はただ一つだから。」
私は多分冷静さを欠いていた。
だからこそ、そんな怪しい契約に応じてしまったのだろう
「...わかった。契約しよう。」
そう私が言うと、少年は満足げに頷き私の右手を握った。
「契約成立!じゃあ対価貰ってくね!」
少年はどこからか鉈を取り出し、思いっきり振りかぶる。
ヤバイ。
そう感じた私は逃げ出そうとしたが、少年は握った手を離そうとしない。
少年は私の右腕の、肘の下あたりに向けて鉈を振り下ろす
不良どもにボコされた時とは比べ物にならないほどの痛みに襲われ、私は声にならないような絶叫を出す。
少年は一度では足りなかったのか何度も鉈を振り下ろす。
私の意識が苦痛によって薄れていき、鉈を振り下ろす音も止む。
普段出さない大声を出したのもあり、私の喉からは全く声が出ない。涙と鼻水、そして自分の涎ついでに嘔吐もしていたようで、呼吸するのも難しい。
少年が私の右腕だったものを手にとって去って行く。
いつのまにか、出血は止まっていたようだ
だが苦痛は未だ留まることを知らないみたいで、
考えるのも億劫になり
私は意識を
手放した。
駄文、失礼しました。
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