#005「連絡」
お待たせしました。
今回は、短めです。
俺はそのまま菜彩未の家でのんびりしていた。
その間にネットで他のギフト所持者の事を調べていた。
「やっぱり襲われた人多いみたいだね。」
「ああそうだね。」
「でも何で、おっきいニュースになってないのかな?」
「今日から戦いが始まったからじゃないか。」
「だとしても、不思議だね。人が死んでるのに。」
確かに変だ。
俺たちの地域だけでも、ギフト所持者が数人居るってことは。世界中にはかなりの人数が居るハズだ。それでもニュースになっていないのは何故だ。
いや正確にはニュースになっているんだ。
だけど不思議な能力の事までは、詳しくニュースになっていない。
「もしかしてギフト未所持者には、能力が見えていないのかな?」
「どうかな。ギフトを持ってるから、確認しようがないしな。」
「めるる先輩は?持ってないんじゃないの。」
めるる先輩の名前が出て思い出した。
そういえば、あの人もギフトを持っていたな。
「あー。めるる先輩ねぇ。」
どうしようかな。正直に言った方が良いのか?
菜彩未の事だ。むしろめるる先輩と共闘する事になっても構わないと言うだろう。
「どうしたの。もしかしてめるる先輩もギフト所持者なの?」
「菜彩未に言われて思い出した。めるる先輩もギフトを持っていたなって。」
一瞬だけ、隠そうかなとも思ったけど。後々面倒になりそうだったから話すことにした。
それに、めるる先輩と仮にも共闘するなら。菜彩未も把握していた方が良いしな。
「へぇー。どんな能力だったの?」
興味津々に菜彩未が聞いてきた。
そんなに気になるのかなぁ。もしかしたらめ、るる先輩とも戦うことになるかもしれないから。知っておきたいんだろう。
「大したことない能力だったな。弁当を温める能力。」
「ぷっ。なにそれ、雑魚過ぎでしょ。」
普段暴言を吐かない菜彩未が、珍しく暴言を吐いた。
「あはは。ごめんねびっくりさせて。ちょっと素が出ちゃった。」
女こえー!
「嫌いになった?」
答えが分かっているくせに聞いてくる。
「別に、人間なら皆裏の顔くらい持ってるだろ。」
スミマセン。嫌いには、なってないけど。怖いと思いました。
「そうかなー。なら、ごっちゃんの裏の顔は、どんな感じなの?」
「俺。俺は、どうかな・・・。そんなに変わんないと思うけど。」
「実は、大きな嘘ついてるとかない?」
「!!」
「あー。なんか隠してるでしょ。ビクッてなったときは隠し事してるんだもんね。」
菜彩未の言うとおりだ。
俺は隠し事をしているとつい体が跳ねる。
だから隠し事とか嘘は苦手なんだ。
「ど、どうした急に・・・。」
「ふーん。良いよ別に。」
菜彩未は怒ったのだろうか。
プイッと顔を背けて部屋を出ようとした。
「おい。何処にいくんだよ!」
「女の子が急に席を離れるときはアレに決まってるでしょう。」
「ああ。ごめんごめん。」
そんなに怒らなくても良いだろうに。
菜彩未はあきらかにイラついた様子で部屋を離れた。
♪~
スマホが鳴った。
ディスプレイには、めるる先輩の名前が表示されていた。
「もしもし。先輩どうしたんですか?」
「ねえごっちゃん?」
いつもの元気のある声では無く。
小声で俺の名前を呼んだ。
「どうしたんですか急に?」
「こんなこと言うのおかしいかもしれないけどさ。菜彩未を殺してくれない?」
「えっ!」
急に何を言い出したんだ?
俺は意味がわからなくなりもう一度聞き直すことにした。
「ちょっと聞き間違いですかね。菜彩未を殺すって・・・。」
「言ったわよ。この口でハッキリとね!」
めるる先輩がそう言い終わると。
ボワァーと熱波が、伝わってきた。
「キャー!」
菜彩未の悲鳴が部屋中を駆け巡って聞こえてきた。
「そういえばさ。ごっちゃんにね、紅蓮の鎧の能力ちゃんと見せてなかったよね?今から見せてあげるわ!」