#003「ランクSSSの力」
今朝彼女が出来た。
やったぁこれで俺にも春が来たー!!
ただし多分期間限定だ。
「嬉しいけど。なんかなぁー。」
ギフトさえなければって思ってしまった。
めるる先輩みたいに弁当を温める程度なら普通に便利だけどさ。
俺の能力は対象の存在を消すことだ。
この能力は日常生活で使えない。
ギフトは未所持者に使ってはならないからだ。
「そういえばペナルティってなんだろうな。」
廊下に立つ程度なら試しに使えるのに。
「完全消去かぁ。一体どんだけ強いんだろうな。」
めるる先輩みたいに弁当を温める程度の能力なら試しに使えるのに。俺の能力は、簡単に言うと。対象の存在を消すことだ。しかも使ってから1週間後では無いと再度使用が出来ない。
「いくらギフトランクSSSって言われてもなぁ。」
いや強いよ。だって一撃必殺だからね。
しかも目を見て完全消去って言うだけだしな。ゲームで言ったら某RPGのデスの強化Verだな。
♪~
そんな事を考えているとスマホから着信音が流れた。この音は菜彩未だ。
「もしもし。どうした?」
先程告白を受けた後30分後に迎えに行くから今日から一緒に学校へ行こうって言っていたのに。
俺は不思議に思いながら電話に出た。
「・・・助けてごっちゃん。・・・大変なんだよ。」
息を切らしながら菜彩未は言った。
「だからどうしたんだ。なにかあったのか?」
「ギフト所持者が現れたの。」
「なに!本当なのか?」
「・・・直ぐに来て。今ごっちゃんがいつも使っている・・・コンビニの近くだから。」
「分かった。直ぐに行くから待ってろ。」
俺は慌てて家を飛び出した。
いつも使うコンビニに着いたけど菜彩未の姿が見当たらない。
「何処に居るんだ菜彩未。」
嫌な予感がした。
まさかこんなに早く他のギフト所有者が現れるなんて。
「待てよ。」
俺は思い出した。
居た怪しいやつが一人。
「あの帽子の男か!」
アイツは言っていた。
「使えるの能力だと良いね。」
間違いない。きっと菜彩未はアイツに追われているんだ。
でも何でだ?普通襲うならめるる先輩のハズだ。菜彩未がギフト所有者だなんて事は知らないはずだ。一般人を手当たり次第に襲うのはリスクがある。そう。ペナルティの存在が在るからだ。
「とにかく。菜彩未を探そう。」
考えている暇はない。
今は一刻も早く菜彩未を探さないと。
キキーとゴム性のタイヤを強く擦る音が聞こえ。振り替えると俺の後ろに1台のパトカーが止まっていた。
「ちょっと君今ここは危ないよ。」
中に乗っていた警察官が俺に声をかけた。
「何かあったんですか?」
嫌な予感がした。
「今この付近で女子生徒を追いかけ回している不審者が居ると通報が入ってここら一帯を巡回しているんだよ。」
やっぱりだ。この警察官が言う女子生徒の事は、恐らく菜彩未の事だろう。
「その子は今何処へ!!」
「さあ我々も精一杯巡回しているんだが。それらしき人物が見つからなくてな。」
「そうなんですか。」
「まあ。あれだ。君も気を付けて学校に行きなさい。」
「はい。ありがとうございます。」
そう言うと警察官は再びパトカーに乗りその場を後にした。
「何処に居るんだよ。菜彩未のやつ。」
一目で良い。菜彩未に会わせてくれ。
俺は一心不乱に辺りを駆け巡った。
そして20分がたち。学生の姿も見えなくなってきた頃だった。
「きゃああー。」
悲鳴が路地から聞こえてきた。
「この声は、菜彩未か!!」
俺は急いで悲鳴が聞こえた方へ向かった。
そこで目にしたのは、倒れた菜彩未とスタンガンを片手に持った昨日の男だ。
「おいお前菜彩未に何をしたんだ!!」
「ククク。やはり来たか。」
「どうして菜彩未がギフト所有者って知ってるんだ。」
「それは簡単だよ。聞いたんだよ君からね。」
「はぁ!なに言ってるんだ。」
訳がわからない。
俺がわざわざ教える訳がないだろう。よりによってもこんな怪しいやつに。それに最後に会ったのは、昨日めるる先輩の家の前だ。
「ククク。何も不思議に思うことはないさ。聞いたんだろ。他にもギフトコードを手に入れた者がいるって事を。」
「確かに電話でそう聞いたけど。それがなんだ。」
「ククク。あの会話実は俺も聞いていたんだ。ギフトの力でな。」
「なに!どうゆうことだ!!」
男は不適に笑っている。
「何がおかしいんだ。」
「ククク。失礼失礼。いやーこうも早くギフト所有者同士の戦いが始まるとはなぁと思ってな。早めに手を組んでいて正解だったな。」
男がそう言うと。突然水が俺に降りかかった。
「なんだ!」
俺は慌てて辺りを見回すと。晴れなのに青いレインコートを着た男が物陰から現れた。
「誰だ。」
「・・・・・・。」
レインコートの男は黙って俺に近付いてきた。
「ククク。どうやらペナルティは発動しないみたいですね。」
「・・・ああ。」
「!!」
マズイバレたか。
「そいつもギフトを持っている。やれ水島。」
「・・・分かった。」
水島が返事をすると水が更に俺を包み込んだ。
(マズイ。息が。)
菜彩未に知られたくない。だけどこのままじゃ。
「仕方がない。使ってみるか。」
俺は徐々に近づいてくる水使いの男の目を見て残った酸素をぶちまけるように叫んだ。
「完璧消去!!」
その瞬間。男が光に包まれて消えた。
「ゴホッ、ゴホッ。はぁ、はぁ。」
俺は膝を着いた。
「なんだ。何が起きた。」
日向透がよろめいた。
「き、貴様今何をした。」
「・・・いいから菜彩未から離れろ。」
「ヒィッ。た、助けてくれ。」
「お前だけは許さねー!」
俺は日向透めがけて走った。
だがやつは急に俺の視界から消えた。
「はっ。どこだ。どこえ消えた。」
辺りを見回すが足音しか聞こえない。
「ククク。今回は私の負けだ。また会おう。」
今、俺と菜彩未しか居ないはずの路地から日向透の声が聞こえてきた。