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とあるアラサー女子の10月の日記

作者: 猫の玉三郎


20**年 10月 3日


はあ、もう10月か。早い。

(だいたい月初めはこれを言っている)



20**年 10月 6日


最近冷えてきた。寒い。

そう思って厚着した日に限り、夏のように暑い。何でだ。



20**年 10月 7日


そろそろ服を整理せねばなるまい。


【今度ユニクロで買うもの】

・長袖の肌着

・カーディガン

・ルームウェア

・他、いいのがあったら


ユニクロは良い。安くて作りがしっかりしてる上に、サイズとカラーバリエーションが豊富。もう全身ユニクロでいいけど、さすがにそれは女子としていかん。だが。このまま年取ってもユニクロは着続けるだろう。何なら死装束もユニクロがいい。


※「孤独死対策に、老後は毎日寝る前に化粧して、棺桶で寝よう」という話を、中町さんとしたのを思い出した。夏場のエアコンは必須だ。



20**年 10月 10日


やばい、最後に野菜たくさん食べたのっていつだっけ……? 思い出せない。



20**年 10月 14日


ゆーちゃんに今度2人目の赤ちゃんが産まれるらしい。その調子で頑張ってくれ。少子化に貢献してくれ。


私は来世、がんばる。



20**年 10月 15日


【毎度恒例・闇ポエム】


さみしい、さみしい、と泣く私の心は、孤独と、焦りと、憂うつな思いに溺れていく。


人は1人では生きられない。

物理的に。精神的に。


だけど、私の周りには誰もいない。全てをさらけ出して「助けて」と言える人なんかいやしない。


また傷つくくらいなら独りがいい。

特別な人が私から去っていくのは、もう嫌なの。


そう思っていても、懲りずに人の温もりに焦がれてしまう自分が、弱くて、キライだ。



20**年 10月 17日


おとといの私はまた闇ポエムを作ってしまったようだ。(ようだ、と言っても私の事なのだが)

私のなかで時折うまれる、病んだキモチ。普段の明るい私しか知らない人は、きっと信じられないだろう。まあ、誰にも見せるわけではないから、構いやしない。元気な時に見返すと、自分でも笑えてくる。だけど明るい"わたし"も、暗い"ワタシ"も、ぜーんぶ私なんだ。


なんてバランスがいいこって。



20**年 10月 20日


今日、ついにリンスインシャンプーに手を出してしまった。シャンプーの後に、コンディショナーをつけ、すすぐという面倒な手順から解放される。非常にラクだ。その上お財布にも優しい。


残り少ない女子力を、またひとつ手放した。



20**年 10月 21日


おもしろいものを見つけた。ネガティブな発言の後に、「わたしが美しすぎて」という言葉を付け加えると、とんだオモシロ文章になるらしい。最新作の闇ポエムで、それをやってみようと思う。


さみしい、さみしい、と泣く私の心は、孤独と、焦りと、憂うつな思いに溺れていく。

——私が美しすぎて。


人は1人では生きられない。

物理的に。精神的に。

——私が美しすぎて。


だけど、私の周りには誰もいない。全てをさらけ出して「助けて」と言える人なんかいやしない。

——私が美しすぎて。


また傷つくくらいなら独りがいい。

特別な人が私から去っていくのは、もう嫌なの。

——私が美しすぎて。


そう思っていても、懲りずに人の温もりに焦がれてしまう自分が。弱くて、キライだ。

——私が美しすぎて。


……ケッサクだ。

(美しすぎるのも、問題である)



20**年 10月 25日


今日お隣に、顔がイケてるメンズが引っ越してきた。ご丁寧に、焼き菓子の詰め合わせをもらった。神がかってるくらいのイケメンだった。もったいないので、お菓子はしめ縄で囲って、しばし祀る事にする。


その間に私は、各地に散らばった女子力を、探しに行かなければならない。戻ってこい。私の女子力。出動の時だ。(リンスインシャンプーがまだたくさん残っている。使い切ってから次のを買うことにする)



20**年 10月 28日


突然、後輩の加藤ちゃんが意味不明な事を言ってきた。

「センパイはぁ、今度のハロウィンパーティの仮装、何するんですかぁ? あたしぃ、魔女にしよっかなぁって思っててぇ」

そんなもん、しらん。なんじゃ仮装パーティって。めっちゃ楽しそうじゃないか。

「……え、それ知らないんだけど」と言ったら、急にあわて出して「ごめんなさぁーい」と去って行った。


パーティに誘われなかった。

私が美しすぎて。(いい言葉だ)



20**年 10月 30日


祀っていた焼き菓子の賞味期限が今日までだと知る。早えーなオイ。



20**年 10月 31日


職場のキャッキャした子らと、独身のメンズ共が、早々と帰っていった。……アレに行くんでしょう、アレに。街にもアレな格好した女子がうじゃうじゃいた。


私もひとりでコッソリ、ゾンビメイクをしてみた。恥ずかしくて、その後すぐ顔洗った。


すっぴんも、充分ゾンビだった。


スペシャルサンクス うわの空 様

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― 新着の感想 ―
[一言]  最後の一文は例の言葉を付け加えても、無力です。かえって絶望的に。  方法論と表現力が見事に決まってますね。ジャスト、って感じ。これです、これを書きたい。技術面でもそうですが、内容ですよね。…
[一言] 面白いですね。 あの日もこの日もその日もクスクスと笑わせて頂きました。 ありがとうございました!
2016/11/01 00:20 退会済み
管理
[一言] クスリとさせられるネタのオンパレード。 ジワジワと笑いがこみあげてきます。
感想一覧
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