その19
2月22日
悪夢を見た。勇者が追いかけてくる夢だ。
目が覚めたら、視界がぐるぐる。
どうやら、熱を出したようだ。
「働き過ぎだよ」と小人が心配そうに水と薬を運んできてくれた。
2月24日
川の中に人影があってギョッとしたが、子供がボールを落としてしまったらしい。
この寒いのにご苦労なことだ。
3月1日
知り合いから、手紙が届いた。5匹の子犬の里親を探しているらしい。
子犬は可愛いけど、私は無理ですと返事を出した。
3月4日
みんながケーキを食べていたので、私もお裾分けしてもらった。
「美味しいね~」
何処で売っていたのか、聞いたら勇者の手作りケーキとのこと。
それを聞いて、思わず食べるのをやめた。
「変な物、いれてないでしょうね?」
同じく、唇の端をひきつらせたレベッカが私の気持ちを代弁してくれた。
「いや、このケーキは、アニスに教えてもらった通りに作った物だから」
流石はチートだ。
なんでも出来るんだなと感心したが、何度も失敗したらしい。
どうやら、努力の末に出来たケーキを振舞っていたようだ。
「ふぅん、それでも凄いじゃない。料理人になれるんじゃない?」
「まぁね」
勇者はまんざらでもない顔をした。
「隠し味として竜の舌の粉末を生地にいれたもんな」
勇者の頭を、誰かがど突いた。
3月5日
ルチアが鳥っぽいのをくわえて持ってきたので肝が冷えた。
よくみると、どうやら雛みたいだ。
巣から落ちてしまったのだろうか。元に戻しておいた。
3月7日
閑古鳥の鳴いている店がある。
特に買うものもないのに、誰も客が入ってないのを見ると、つい寄ってしまう。
3月9日
階段を上ったら、息切れがする。運動不足だ……。
ラジオ体操してたら、ハイジに何をしているのかと聞かれた。
その効能を伝えると興味を示した。この時はまさか、それが冒険者の中で流行るとは、思わなかったんだ……。
ボインの魔法使いのお姉さんがラジオ体操とか、なかなかシュールな光景だ。
3月15日
実家から手紙がきた。
なんだろうと思ってあけてみたら、中身は療養中の姉宛だった。
誤送だと思われるので、送り直した。
ついでに私の手紙もいれてみた。元気だといいな。
3月20日
今日で何連勤だろ。10を過ぎたぐらいから、数えるのやめた。
3月22日
姉から手紙がかえってきた。
どうやら姉は、恋の病にかかっているようだ。
恋愛したことないから、返事に凄い困る。
3月24日
ヘレン叔母さんが、ミッドウェル地方に住む息子さんを訪ねるということで、私の部屋に泊まった。
「あなた、いつの間に住み込みになったの?」
「いや、業務上で必要だっただけだだよ」
私も好きで、この部屋に住んでいるわけではない。
「しかも、こんなにペット増やしちゃって!」
それは否定できなかった…。
「ギルドの制服は似合うけど、なんでこんなに私服がすくないの?」
「興味ない」
婚期が遅れることを超心配された。
でも、服買うお金あったら、本を買いたいな。
3月25日
ご自由にお取り下さいと書いてあるダンボール発見した。
中身は……
ヒヨコ………
…しばし躊躇して、拾ってきてしまった。私の馬鹿ぁぁ!
4月1日
ヒヨコも産毛がなくなって鳥らしくなってきた。
でもニワトリと同じぐらい大きいのがちょっと……
意思疎通ができないから、脱走しないか心配で窓も開けられない。




