その13
11月6日
目を疑った。馬に乗っている人ならたまに見るが、生きた白い竜に跨がっている人を見るとは。
ギルドマスターの給料もまともに払えない国で見るなんて、めったにないことなので、遠くから見た。
凄い迫力だ。
凝視しすぎたのか、白い龍の騎手が乗せてあげようかと聞いてきた。
ほんとですかと興奮していると、龍にベロンと舐められて正気に戻った。
あ、ベロは、すっごく冷たかった。
11月7日
ルイスという名前の、勇者に負けず劣らず女の子にモテモテの人がいる。
プラチナブロンドに雪のように白い肌。
潜在魔力はプラム様と肩を並べるほどで、稀代の魔術師と呼ばれるらしいが、可哀想になるほど極度のシャイボーイだ。
あまり目立たないように帽子を深く被っているが、それが逆の意味で悪目立ちしている。
そして、信じられないかもしれないが、このお兄さん、とんでもないマザコンだ。
いくら強くとも、ママ同伴の狩りは、そろそろ卒業したほうがいいと思う。
11月8日
通りを歩いていたら、ナンパされた。
「何歳?」
って聞かれたから、18だと答えた。
男はしつこく付きまとってきたので、ウェンディと水牢を作り、不審者を捕まえた。
11月9日
秋が深まり、柿が色づいている。
のんびりと、見ていたら真っ黒い大きな鳥が木の上にいた。
パーンと音がして、木から黒い鳥が転げ落ちた。
どうやら冒険者が弓で射抜いたらしい。
朝からハンティングシーン見ちゃったよ……。
11月10日
今でも心臓がバクバクなのだが、馬車で移動している時に山賊に遭遇した。
どうやら、ギルドマスターを標的にした政治犯らしい。
子供は解放するという話になったが、その子供に私が該当したらしい。
私こそが、ギルドマスターだと力説し、ウェンディも見せたというのに、頭をポンポンされて「ガキはお家に帰りな」と、乗客共々全然信用してくれなかった。
童顔なのは分かっている。身長も低い。
腹が立って、ウェンディに水鉄砲を撃ってもらって、一網打尽にした。
「山賊を捕まえてくれてありがとう。でも子供がこんな危ないことしてはだめよ。お母さんとお父さんはどこなの?」
褒められたが、怒られた。
「くっそ~、こんなガキにやられるなんて……」
誰一人として……私が18歳だということを信じてくれなかった……。
なんか屈辱だ。
11月11日
我が物顔で私の膝と頭と肩を占領する不届きものがいる。
ウェンディとルチアとララバイだ。
重いけど、すやすや寝ているから動けない……。
11月12日
成長期なのか、ララバイの食費がばかにならない。
ギルドの経費で落ちないだろうか。
11月13日
私の本棚を見たルナが放った言葉。
「なんで同じ本が何冊もあるの?」
見る用と保存用と予備だと言うと呆れた顔をされた。
11月14日
迷子がギルドを訪ねてきた。
遠方より、この地を訪れて観光をしていたら、人混みの中で母親と離れ離れになったらしい。
依頼料はお小遣いとして貰っていた100ルピー。
すぐに見つかるだろうと高をくくっていたのだが、5日経っても親は見つからない。
親は、いったい何をしてるんだ?
11月15日
迷子は保護している。
毎日のように、母親を探して外出しているが手ぶらで戻ってくる。
夜は危ないので、ギルドの客間を貸しているが、まだ幼い子供だ。
ひとりでこわくて眠れないことを訴えてきたので、私の部屋で寝かせることにした。深夜に様子を見にいったら、ルチアが迷子のお腹の上に乗って寝ていて、うなされていたので、ぺりっと剥がした。
11月16日
迷子の子供は、お小遣いとして渡している小銭をすべて報酬に加算しているようだ。
マジで親は何をしてるんだ。




