赤ずきんちゃんとオオカミさんver
ファラちゃんver
拙い文章ですが、お付き合いいただければ幸いです。
作者の暴走を生ぬるい目でご覧いただければ幸いです。
昔むかし、森で暮らす一つの家族がいました。
「ファラ?お祖母ちゃんが風邪を引いたみたいなの。お使いに行ってくれる?」
「まぁ!それは大変ですわ!何を持っていけばいいですか?」
「籠の中にパンとワインが入ってるわ。
後は、ファラのお昼ご飯用のサンドイッチと紅茶が入ってるから、お腹が空いたら食べなさい。」
「わぁ!ありがとうございます!あれ?でもお母様、お祖母様はお風邪を召してらっしゃるんですよね?
でしたら、リンゴや蜂蜜とか、食べやすいものをお持ちした方がいいんじゃないでしょうか?」
「それもそうね。じゃぁ、準備しておくから、その間に支度しちゃいなさい。」
「はい。わかりましたわ。」
えーと。
ハンカチとティッシュと。
あ、あとはマスクも持っていきましょう。
「準備出来たー?」
「はい。大丈夫です!」
「ずきんも着ていきなさいよ?夕方には冷えてくるんだから」
「はい。大丈夫ですわ。」
「じゃぁ、気をつけていってらっしゃい」
「はい、行って参りますわ。」
「~♪♪今日はいい天気ですわ。お花を摘んでお祖母様に持って行きましょう♪」
「まぁ!ステキなお花畑がこんな所に!ご飯はここで頂きましょう♪」
そんなまったりした赤ずきんちゃんを物陰から狙っているオオカミさんがいました。
「クケケケケッ♪美味そうなガキだぜ。こりゃ、いただかなきゃ据え膳食わぬわ男の恥ってヤツだな」
じゅるり
・・・ロリコンは辞めてくださいね?
「うるせぇ!俺様はロリコンじゃねぇよ!そうゆう意味じゃねぇ!!」
語り手に文句言わないでください。
「ババアの家に行くのか。うーん。確かこの森に住んでる人間は一人だけだったな。じゃぁあそこだな。
よし。先回りして待ち構えるか。クケケケケッ♪」
オオカミさんはもの凄い速さで走っていきます。
赤ずきんちゃんとの距離はあっと言う間に開き、先にお祖母さんの家に到着してしまいました。
風邪で弱っていたお祖母さんは、碌な抵抗も出来ず、オオカミさんに丸呑みされてしまいました。
そんな事とは露知らず、赤ずきんちゃんがお祖母さんの家に到着してしまったみたいです。
「お祖母様?ファラです。失礼します」
「おぉ。ファラかい。来てくれたんだねぇ。待ち侘びていたよ」
「まぁ!お祖母様!酷いお声ですわ!」
「?!ゴホゴホッ。どうやら風邪が咽喉にきちゃったらしくてねぇ。」
「お辛いでしょう?すぐにリンゴを擦ってきますわ」
「え?あぁ、大丈夫だよ。それよりもこっちに来ておくれ」
「お一人で寂しかったんですね。今日は私が看病しますから、安心してくださいね」
「・・・優しい子だねぇ・・・」
「そんな事ありませんわ。当たり前のことですもの。さ。お身体に障ります。ゆっくり寝ててくださいませ」
「え・・・えーと、ファラ?私の耳が気にならないのかい?」
「え?お耳・・・ですか?・・・そうですね、以前より長い様な気もしますが・・・病気の影響かもしれませんね。
今度、お医者様にみてもらいましょう。大丈夫ですわ。村の人がなんて言おうと、私達はお祖母様の味方ですわ!」
「(くっそ!やりづれぇな!!)え・・・あ、ありがとうねぇ。えーと・・・この口が気にならないのかい?」
「お口ですか?大きくなっていますが、お耳と同じようなものでしょうか?」
「(えぇえい!まだるっこしい!とっとと食っちまうか!)」
「お祖母様?どうしたんですか?」
「・・・この大きな口はなぁ!お前を一口で食べるためにでかいんだよぉ!!!!
ババアもすでに俺様の胃袋の中だ!!」
グワァッ!
赤ずきんちゃんに襲いかかるオオカミさん!
衝撃の事実に愕然とする赤ずきんちゃん!
逃げて!
「・・・・・・・。」
「ちょ・・・おい?抵抗とかしないのか?悲鳴上げるとかあるだろ?」
「・・・強い者が弱者を食べる。自然界のルールです。私はオオカミさんより弱いです。
悲しいですが・・・ひっく・・・お祖母様もすでに・・・ひっく・・・お祖母様をお一人にはさせません!
それに、オオカミさんもお食事をしないと生きられないのでしょう?
これが運命と覚悟はしてあります。どうぞ、オオカミさんの生きる糧にしてくださいませ」
「え・・・オイオイ!お前まだガキだろ?!」
「えぇ。きっと食べやすいと思います」
「いやいやいや。そうじゃなくてだな!生きてれば楽しいことあんだぜ?!お前はまだまだだろ?!」
「そうかもしれません。ですが、現実は弱者に優しくはないのもまた、事実です」
「待て待て待て!早まるな!その歳で達観するな!あがけ!あがけば結構なんとかなるもんだぜ!!?」
「ですが・・・お祖母様は・・・ひっく・・・すでに・・・ひっく・・・」
「いや、待て。早まるな。丸呑みしたから、多分ババアはまだ俺様の胃袋の中で生きてっから!」
「え・・・?それは本当ですか?」
「本当本当!だから、な?早まるなって」
「ですが・・・そうしたらオオカミさんのお食事が・・・ごめんなさい。せめてサンドイッチを残しておけば良かったですわ・・・」
「あー・・・。気持ちだけもらっておくわ。俺様のことは気にすんな!」
「ですが・・・」
「俺様は強いからな!いくらでも飯なんて調達できっから!な?安心しろって!」
「ぐすん・・・オオカミさん・・・お優しくて強いだなんて、素敵ですね・・・」
「ばっ・・・バカヤロー。煽てたって何も出ねーぞ!」
「ふふふっ。煽てるだなんて。本心から言っていますわ。」
「あー。わかったからそれ以上言うな」
「ふふふっ。オオカミさんは照れ屋さんなんですのね」
「うるせー。これからはちゃんと頑張って生きるんだぞ?約束だぞ?」
「はい。わかりましたわ。オオカミさんもご健勝に」
「おう!」
そして、オオカミさんは丸呑みしたお祖母さんを吐き出して、
空腹のまま森へ帰って行きました。
「あー。くっそ!すっげぇ調子狂った!なんだアレ。天使か。あんなんじゃすぐ悪いヤツに騙されんぞ」
余りに心配になったオオカミさんは、通りすがりに遭遇した猟師さんに、見回りを強化するよう進言したのでした。
ー完ー
ほだされちゃいました。