『 僕達とアイリ : 後編 』
アイリを助けた日から、2匹のいや……アルトとアイリの
寝場所は僕の膝の上になったらしい……。
ムイも僕の膝に上ろうとしたが
さすがに遠慮してもらった。ムイは僕の横で寝ている。
暫くしたら、膝からおろして最近作ったクッションの上に移動させるけど……。
さすがに一晩中同じ体勢と言うのは、厳しいものがある。
僕は気持ちよさそうに寝ている2人に視線を落としながら
明日のことを考えた。
明日の昼には、狼の獣人達が住む村につくだろう。
……多分……。アイリを見つけてから今日で5日目だ
昨日にはつくと思っていたんだけど……。
アイリは村から出たことがなかったようで
アルトが僕にする質問を、同じように真剣な表情で聞いていた。
一昨日ぐらいからは、積極的に自分でも質問するようになっているし
アルトがノートで計算問題などを解いていると、羨ましそうに見ているので
ノートと筆記用具を渡し、簡単な問題を書いて教える。
生徒が1人増えたような感じだ……まるで保父さんみたいな。
もっと早く親元に返してあげたかったのだけど
アイリに常時体力回復の魔法をかけても、ここまで5日かかってしまった。
時折、浚われたときの記憶がよみがえるのか黙り込んでしまいそうになると
アルトが、話しかけたり僕に色々質問したりとアイリの気持ちが沈まないように
気を使っていた。
昼は、程よく休憩を取りながら歩き
そして夜は、勉強した後僕の膝の上に乗り
何か話をして、それが終わったら2人とも眠りにつく…。
それも今日が最後になるかな……。
僕は2人に眠りの魔法を少し入れ、膝からクッションへと移動させる。
僕が動いたからか、ムイが目を覚まし僕の横からアルトの横へと移動した。
狼とムイムイが一緒に並んで寝ている姿は、少し違和感を感じる……。
僕は苦笑気味にため息を1つこぼし
薪のはぜる音を聞きながら、横になり眠りについたのだった。
読んで頂き有難うございます。