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the 1st Section: His Point of View in the Office of Structured Finance Department ~Mad-Dog Crusher~

「まだ何か、言いたいことがありますか?」

自分の怒りのボルテージが、上がっていくのが感じる。


オンライン会議を始めて、既に2時間が経過した。

先方の、審査部 国際事業出融資審査第二課、通称、際審二課 の課長代理が、まだ何かを考えている様子だった。


「これ以上、何を議論したいんですか?」

俺は、敢えて、語気を強めて言う。


彼女は、睨みつけるような目で、反論をしてくる。

と言っても、もはや、反論というよりは、単なる悪あがきだ。


『本当に、5年で、回収できるのでしょうか?』


極めて稚拙な質問だ。


「そんなことは、プロジェクションを見れば、分かるだろう。」


彼女は、それでも言う。


『この事業計画では、まだ甘いと思います。』


プロジェクションと言ったのに、わざわざ、違う表現で返してくるのは、俺への反抗のつもりか。


「具体的に、何が甘いんですか?」

「論理的に、根拠と事実を提示して、述べてください。」


彼女に、考えさせる時間を与えず、反論する。


数字を扱っているのに、あまりにも、定性的かつ主観的にしか、質問をしてこない。


怒りが、こみ上げてくる。こんな戯言に、付き合っている暇は、ないんだよ。


『例えばですが、』彼女は続ける。


『今の時代、 世界秩序は大きく乱れており、戦争は至る所で発生しています。』


『ロシアとウクライナの戦争はいつ終わるかわかりません。アメリカとイスラエルのイランへの攻撃だって、近隣他国にまで、拡大をしており、想定以上に、終幕に時間がかかる可能性が大きいです。』


『石油価格や、それ由来の製品の価格の高騰は、どこまで上がるかも分かりません。』


『その上、数年前には、コロナで世界経済が、完全にストップしました。そういった地政学的なものや、パンデミックとかまで、考慮した上で、本当に、5年以内に、融資金額が回収ができるのか、見極める必要があると、言っているのです。』


論理的でも、根拠も、事実も、何も提示してない、最早、単なる言いがかりに、流石に苛立ちが抑えられなかった。


「それが、今回のラオスの風力発電事業に、どう関係があるんだ?」


「今発言した内容は、このプロジェクトに、全く、関係性はないよな?」


「確かに、コロナで世界経済は、一瞬止まったかもしれないが、本プロジェクトは、再生可能エネルギーだ。経済活動が止まっても、人間の生活行動は止まらない。」


「コロナで、電力がなくなったか?自然発生的な災害を、言うのであれば、日本でも大震災は、何度も起きたし、その度に、計画停電を余儀なくされて、むしろ、経済が悪循環に陥っただろ。」


「それに、百歩譲って、コロナのような、パンデミックを想定するなら、全てのプロジェクトが、最早、動かすことはできないだろ。」


「我々のプロジェクションを見て分かるとおり、当然、担保は取っている。仮に、スポンサーが、このプロジェクトから、撤退をしたいとでも言ってきたら、総合商社か、大手の、エネルギー会社か、電力会社あたりが、こぞって手を挙げるだろう。」


「我々が作成をしたストレステストの結果を見ても分かるように、最悪のケースを想定しても、5年以内で回収でき、IRRも10パーセントを超えている。」


「むしろ、審査部さんが、懸念されている事項を、全て入れ込んでやって、この結果が出ているんだ。」


「逆に言えば、現在の状況が変わらなければ、これ以上の結果を得ることができるんだ。にも関わらず、一体何を懸念してるんだ?」


一気に、まくし立てた。


彼女は、苦虫を嚙むような顔をして、何かを言おうとしている。


『分かりました。それでは、これから、部内で検討しますので、2週間ほどお待ちください。』


俺は、語気を上げて、怒鳴り込む


「一体、2週間も何を検討するんだ?お前らが懸念している事項を、わざわざ全部、こちらで証明してやったんだ。あんたも管理職だったら、融資制度フローのガイドラインは知ってるだろう。」


「この最悪のケースは、こちらからすれば、最早、ケースとは言えず、そちらの単なる妄想でしかない。そんな妄想を検討するのに、何故2週間もかかるんだ?」


彼女が、狼狽してるのが分かる。


『いえ、他のケースも、きちんと見なければならないので、最低でも2週間はお時間をいただき・・・』


彼女が話し終わる前に、俺は割り込む。


「他のケースは、2週間以上も前に、一式全部を出しただろ!!!」


「まさか、こんなゴミみたいなケースが出るまで、上層部に見せていなかったわけじゃないだろうな!一体、課長代理として、どういう仕事してんだ?」


彼女は、震える声で言う。


『その発言は、パワハラです。』


「それであれば、お前がやっていることは職務放棄だ!新人じゃあるまいし、課長代理としての職業倫理は、どうなってんだ?」


「ガイドライン通りの仕事すらできない。自分の主観と妄想でしか、考えられない。越権行為で、業務を混乱させる。そして、それを注意すれば、パワハラだとほざく。自分が、一体何をやってるのか、分かってんのか?」


彼女に反論をさせないように、畳みかけて言った。


彼女は、画面越しで、俺を睨みつけながらも、黙ったままだった。


俺は、最後に、追い打ちをかける。


「いいだろう。君に頼んだら、2週間もかかるのであれば、貴部長には、俺から、直接説明をして差し上げてやる。それなら、2日もかからないだろう。貴部長は、4代か5代前の俺のポストにいた人だ。プロジェクト・ファイナンスについては、君よりも充分に、分かっているだろうからな。」


次に、彼女が、何を言うか?


しかし、最早、意味をなさないことしか、言えなくなっていた。


『とにかく、お時間をください。』


「お時間というのは何時間だ?まさか、2週間なんて、ふざけたことを言うつもりじゃないだろうな?」


『できる限り、早急に。』


「だから、早急にってのは、いつなんだ、と聞いているんだ!!!」


彼女は『失礼します。』とだけ言って、一方的に、オンライン会議から退出した。

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