異世界税関、発足 0
2020年代、東京・上野公園。
その片隅にひっそりと残る私鉄の廃駅から現れた白い羽毛に包まれた少年とその仲間たちの出現は、日本国のみならず地球全体に大きな衝撃を与えた。
漫画やアニメの中にしかなかった異世界や動物の特徴を持った獣人が実在しており、魔術という新しい技術持って地球と自国を繋ぐことが出来、さらに地球では希少なレアアースを安価に売ってくれる。まさに未知との遭遇であった。
そんな異世界からの来訪者達に求められる形で始まった交易は日を追うごとにに需要を増していき、その影響を大きく受けた組織がいくつかあった。
出入国管理を担う出入国在留管理庁、動植物の検疫を担う農林水産省消費安全局、そして関税や密輸を取り締まる東京税関である。
特に東京税関は既に管轄地区内に成田・羽田という巨大ターミナルを抱えており、そこに全く違う常識に生きる異世界人の対応まで追加されたことで率直に言えばキャパシティを超越していた。
出入国在留管理庁、農林水産省消費安全局も同様にキャパシティの限界を迎えようとしていた。
そこでこれら3つの行政機関はある事を考えた。
『異世界を専門に担当する新しい組織を作り、対異世界専門人員を育成しよう』
対異世界貿易の推進は国の方針であり、対異世界貿易に伴う仕事量の増加は既定路線だ。日本以外の国から異世界産産品の需要が増える可能性もある。
それならばまだ仕事量の少ない現在のうちに専門部署を作り担当人員を育成しておくべきである。
3つの行政機関は上野公園の近くにある6階建て雑居ビルを借り上げると、そこに対異世界専門の組織の拠点とすることを決定した。
正式な開設は2023年4月、新たな組織の出発に向けての船出が始まった。




