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『黒髪の少女』

 黒煙の中から現れた、一糸纏わぬ姿の美少女。

 夜の帳をそのまま形にしたような、腰まで届く艶やかな黒髪。

 吸い込まれそうなほどに澄んだ紫色の瞳。

 陶器のように白くて滑らかな肌。

 屋上に吹く風により、髪の裏側に秘められた鮮やかなバイオレットが幻想的な揺らめきを見せており、まるで夜に咲く一輪の花のようである。


「「「「「「なんだ、あの美少女!!」」」」」」

「あううっ……」


 絶叫が響き渡る中、弱々しい声を出しながらきょろきょろと周囲を見渡す黒髪美少女。

 左手の親指に紫色の宝石が埋め込まれた指輪を嵌めており、それに誰よりも早く気づいたのはシルヴェリアだった。


「あの娘の親指に嵌まっているのは封魔ノ指輪……と、いうことは、ヒカリか!?」

「「「「「あれが!?」」」」」

「ど、どういうことだ……? 封魔ノ指輪にモンスターを人間化させる力は無いぞ……?」


 理解不能といった表情を浮かべるシルヴェリア。

 強すぎる力を封じ込める封魔ノ指輪には、モンスターを人間化させる力など無い。

 ドラゴン形態のまま弱体化。運良ければ瘴気が消えるくらいだろうとシルヴェリアは思っていた。

 しかし、これは予想外で。


「ヒカリ、怪我はない!?」

「ミ、ミレイア……?」


 ミレイアの声に反応し、ゆっくりと立ち上がる黒髪美少女。


「ミュエル、ヒカリの元へ」

「わかった」


 シルヴェリアの命令を受け、青紫色の魔法陣を展開してヒカリの元へ全員を空間転移させるミュエル。


「ヒカリ、怪我はない……!? どこか痛いところもない……!?」

「う、うん、どこも痛くないし怪我とかもしてないみたい、だけど……わ、私、人間になっちゃってる……?」

「うん、どこからどうみてもただの黒髪美少女。肌も白くてすべすべだし、おっぱいも大きすぎず小さすぎずで女の子の大事な所も……って、うわああああああっ!!!! なんですっぽんぽんなの!?」

「ひゃああああああああああああああっ!!!!」


 ミレイアに指摘され、露わになってしまった裸体を隠すべく悲鳴を上げながらしゃがみ込むヒカリ。


「ほう、いいじゃないか」


 顎に手を当て、品定めをするようにヒカリを見つめるルフィン。

 角も翼も無い一般的な人体構造。

 強すぎる力を封じ込めることができる封魔ノ指輪を嵌めた瞬間、なぜか人間の姿になってしまったヒカリ。


「ルフィン、なんだか目つきがキモいわよ」

「キモくなどない、当然の反応だろう。ヒカリの美しい裸体を君は見たか。あれは芸術品だ。君の魔法で氷漬けにしてボクの部屋に飾っておきたいくらいだね」

「やらないわよ気持ち悪い……と、いうか、やれっていわれてもムリね」

「まあ、そうだろうな」


 レヴィアの返答内容を分かっていたかのように、こくりと頷きながら即答するルフィン。


「アンタ、分かっていて言ったわね」

「角も翼も瘴気も無い見た目はただの黒髪美少女だ。しかし、ドラゴン形態と変わらない威圧感。戦いを挑んだりすれば確実に死ぬと魔族の本能が告げているとも」


 ミレイアを除く全員が、ルフィンと同じ気持ちである。


「瘴気が消えたということは……触れても即死はしないのでしょうか」

「では、ボクが実験台になろう」

「ええっと、ヒカリのことを分析する前にまずは服を持ってきてほしいかな。すっぽんぽんだと風邪を引いちゃうから」


 ヒカリの外見以外の変化を把握しようとするアルラとルフィンに、ミレイアは服を持ってくるように要求した。


「ヒカリと体格が似ているのは……ボクと」

「ワタシか」


 ヒカリの体格とほぼ同じなのは、ルフィンとシルヴェリアだった。


「しかし、ボクは服をあまり持っていなくてね。洗濯をサボっていたせいでまともに着れる服はこの1着しかないんだ。ちなみにこれを脱げばパンツ1枚さ」

「生活習慣どうなってんのよ……」

「あはは、面目ない……」


 呆れた表情でレヴィアに言われ、ぽりぽりと頭を掻くルフィン。

 ルフィンの生活において、最優先事項は娯楽である。

 この数日間、ルフィンは食事、洗濯、睡眠は後回しで積読本を朝から晩まで読んでいた。

 それ故に、この有様である。


「では、ワタシが貸そう。ワタシが持ってくるまではアルラその上着を貸してやれ。念のために貸す時はまだ身体に触れないように気を付けろ。即死効果の有無は後ほど確かめる」

「わかりました」


 アルラはこくりと頷くと、軍服を脱いで全裸のヒカリに優しく着せてあげるのだった。

すっぽんぽん!!

黒髪美少女のすっぽんぽん!!

もしやルフィンって変〇さんでは?

〇に入る文字はご想像にお任せいたします。

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