~第五幕~ 「二択鬼〈ギルティ〉の章」其の壱
「母さん、行ってきます。」
病に倒れ、寝たきりの母を養う為に。今日もバイトに勤しむ僕ギルティ。時給は確かに安いかも知れないけどね。
でも、前のバイトはもっと酷かったなぁ……。と僕は染々思い出す、今日この頃。
ゴンドラに乗り、地下に眠る財宝を探す毎日だった。
ゴンドラから落ちて死亡、足を踏み外して死亡、躓いて死亡、お化けに食べられて死亡、ジャンプして死亡。
ほんと不死身じゃなければ、やってられない仕事だった。
ちなみに時給は、1480円。……意外と貰えたよね。
「よし!」
僕は宿直室に入り、何時もの様に着替えを済ませた。ロッカーの中には同じ着替え(勿論、全て全身白タイツ)が五十着入っている。
「生徒さん達、僕の本当の姿見たらびっくりしちゃうからね。……やっぱり怖がらせない様に、可愛いのにしなくちゃね。ふふふーん♪」
僕は血染めの斧を手に取り、今日も元気にバイトに励む事にした。
「今日も元気に、頑張るぞー。おー!」
──ガラッ。
扉を開けると、そこには二択鬼〈ギルティー〉が立っていた。
……うん?
「……あれっ!?僕が居る?あれ?鏡かなぁ??」
「……では、ここで問題です。」
もう一人の僕は唐突に、死の二択を突き付けてくる。……あれ、おかしいな。問題は、僕が出す筈なんだよね?でもいいのか、どっちも僕なんだし。
「メンマの材料は"タケノコ"か"割り箸"、どっち??」
──ぬっ。
もう一人の僕は、にゅっと僕に顔を近付けて問題を出題してきた。
「そんなの、誰でも知ってるよ?……割り箸だよー。」
……にっこり♪
簡単な問題で良かったー♪僕はにっこりと笑って、そう言った。
……わなわなわな。
「ギ……ギ……ギギ!?」
……?
どうしたんだろ?ぷるぷる震えて……。寒いのかな?正解だよね?合っているよね。
「有罪〈ギルティー〉!!!」
──スパーン!!
「ギャース!!」
……僕は斧で、脳天をかち割られた。
血の海に横たわる中、もう一人の僕は振り返り。……こう呟いた。
「キノコ、タケノコ戦争は……この俺が終わらす!俺達は、この戦争を終わらせに来た!!」
「……うう。」
何で正解なのに、怒られたんだろ?……僕。
って、あれ?僕の頭に刺さってるのって。これ、僕の斧だよね?ちゃんと"ぎるてぃー"って、名前も書いてあるし。
……一体、どういう事なんだろう??
──だだだだだだだだだっ!
「やってやったぜ!」
俺は走っていた。あ、このギルティの全身白タイツを着て走っているのは──。
……そう俺、仁科択一だ。
俺は先程、宿直室でギルティの衣装を発見し、そして見事にギルティーの真似をして成敗してやったんだ。
……あいつめ、よくも俺達をこんな所に閉じ込めやがって!……全く、いい気味だぜ。
俺はそのまま走り、体育館に駆け込んだ。
「皆、聞いてくれ!俺は、ギルティーの奴を────。」
「キャー!!」
「うわあっ!ギルティーだ!!」
「何しに来やがった、この野郎!!」
「返り討ちにしてやる!!」
「……あっ。」
俺は全身白タイツを、脱ぐ事を忘れていた。
「死ねぇ!!」
「天誅!!!」
──ドガッ!
「ギャース!!」
俺はとにかく、ぼこぼこに殴られた。
「……や、やめて。」
「気持ち悪いんだよ!この、全身変態タイツ野郎がっ!!」
「私達を、家に返してよ!!」
「皆、やっちまえ!!」
「痛っ、止めて。……止めたげてっ。」
俺は、しこたま蹴られ続けた。
その後、俺は白タイツを剥がされ何とか二択鬼では無い事を理解して貰えたのだが……。
何故か、暫く全身が痛かった。……何故だろう。
しかし翌日、全身白タイツで二択鬼の姿になれば襲われないと言う事が広まり。
暫くクラスで、全身白タイツが流行する事となった。
皆、きちんと着替えようね。……約束だぜ?
〈男子生徒〉
仁科択一、一問正解。
猛虎大河、一問正解。
早乙女大好、一問正解。〈社会的に死亡。〉
〈女子生徒〉
美星味子、八問正解。
〈妖怪枠〉
二択鬼〈ギルティー〉、メンマを割り箸と思っていた為、死亡。〈ただし、不死身なのでセーフ。〉




