~第六幕~ 「錬金 術師の章」
俺の名前は、錬金術師。
……全く困った事態に、なっちまったもんだ。幸いまだ死者は出ていないが、確率五十パーセントのゲームなのだ。……いずれ、惨劇は起きてしまう事だろう。
……先ずは、その記念すべき最初の犠牲者が自分で無い事を祈るばかりである。
問題は食料事情とトイレだろう。こればっかりは、何ともし難い物のだ。……俺達は、必ず食料と用を足しに校舎に向かわなくてはならないのだから……。
「……ちょっと俺、トイレに行ってくる。」
「気を付けるよ。……奴は何処から出てくるか、予想が付かないからな。」
……大袈裟だな。例え出会ってしまった所で、五割の確率で生き残れるんだ。……そう考える当時の俺はその時、まだ何処か他人事だったのかも知れない。
トイレのドアを開け放った時。……"奴"は居た。
──二択鬼〈ギルティ〉が。
俺は恐怖に震えながらも。奴に、こう告げたのだ。
「あ。入ってるなら、鍵閉めて貰えますか?」
「……あっ、そうだよね。ごめんね。」
──だぱーっ。
俺は用を済ませ、綺麗に手を洗い。……そして覚悟を決めた。
「……では、問題です。」
てか、毎回トイレに居るのか?……こいつ。
「どれにしようかなー?迷っちゃうなー??」
「……とりあえず、早くしてくれ。」
──ギョロ!!
二択鬼は有り得ない角度で首を曲げ、俺の顔を覗き込む。
……その時、俺は唐突に理解した。今、俺は死の二択を突き付けられている事を……。今この時になり、俺は初めて恐怖に体が震え始めた。
二択鬼は、俺の顔をじっと見つめ。……こう言った。
「◯ーナと◯レキサンダー、何処行った?」
……は?何を言ってるんだ?こいつは。二択じゃなかったのか?
「"合成獣にされた"か"外で楽しく遊んでる"……どっち?」
……こいつは一体、何を言ってるんだ?アニメか?アニメの話か??
「……えーと、どっちだったっけ?うーん。」
……俺は頭を悩ませた。あまり漫画とか、アニメ見ないんだよなぁ。……俺。
「えーと、確か。……合成獣にされるんだっけ?」
「…………。」
「…………。」
其処は、長い静寂に包まれていた……。
……あれ、おかしいな。間違えたのかな??
……わなわなわな。
「ギ……ギ……ギギ!?」
……二択鬼は、突然ガタガタと震え始めた。
「有罪〈ギルティー〉!!!」
──スパーン!!
「ギャース!!」
俺は、二択鬼の持っていた斧で脳天をかち割られた。
……フーフー!!
俺は血の海で横たわる中、二択鬼の発する荒い息づかいだけが俺の耳に聞こえ続けていた……。
怒りに震えながら、そのまま立ち去っていく二択鬼〈ギルティ〉。
そして、くるりと俺の方へと振り返り。……二択鬼は俺に、こう言い放った。
「……君のような、勘のいいガキは嫌いだよ。」
〈男子生徒〉
仁科択一、一問正解。
猛虎大河、一問正解。
早乙女大好、一問正解。〈社会的に死亡。〉
錬金術師、一問不正解。〈勘のいいガキだった為、死亡。〉
〈女子生徒〉
美星味子、八問正解。〈多分エスパー。〉
〈妖怪枠〉
二択鬼〈ギルティ〉、一問不正解。〈メンマを割り箸と思っていた為、死亡。ただし、不死身なのでセーフだが。……時給二十円、減給処分〉




