兵器開発について
説教臭くなったので読み飛ばしても。要約『殺すKAKUGOみたいな、技術の兵器転用に関するスタンス』の話です。信頼ある通信機に似せた爆弾ウェーイがリアル案件なので、やらかす奴への配慮は『いる』けれど『それに捕われるな』くらい。
「必要資源量と価格の問題が分からないので何とも言えませんが、この神経電流技術は四肢の増設、発展すれば人型やそれに拘らない操作兵器も作れます」
工房で説明する私に、ガランドさんは驚く。
「あんた様は……お気になさらないんで?」
「何をです?」
「この技術は平和の為の物で、とか」
「人によるでしょうが、私はあまり」
「そ、そうなんで?たまに治療師とかは言うもんで」
「この世界風に言うなら……戦争に負けた国が軍馬の数を制限された際、『この馬は農耕馬だ』とウソをついて、まあ馬だと誤魔化せなさそうですが、とにかく軍馬をそうでないと偽って牧場や獣医さんを維持し戦争に備えた国が地球にありました。逆に、無くてはならないと言うほど民に広まり食卓を支えた魔法具が殺人兵器や索敵装置の研究から産まれた例もあります」
ナチスドイツと、電子レンジに魚群探知機。この手の例は普通にある。ノーベル賞は確か周りがダイナマイトを武器転用した事への憤りや悲嘆が設置理由だが、つまりは止めてもやらかす奴はやらかすと言うことだと思っている。
「あと、索敵装置の転用品は余りに便利すぎて、人々の豊かさの代わりに海の自然をかなり害しましたよ。平和なものでしょう?」
魚群探知機の犠牲になった魚たちからしたら、鉛玉の撃ち合いで陸で死ね猿どもとしか言えないだろう。ジュゴンやイルカなどにも餌のシェア被害はあるだろうし、この世界にマーマンや人魚がいたら漁業の無責任な拡大は陸のクソ猿への万年の呪いたり得る。戦争で森を焼いて文字通り竜の逆鱗案件も駄目だが、平和利用ならいい、も利益享受者以外からしたら中指立てながら聞くわという言葉にしかならない可能性があるわけだ。地球の自然問題はまだ『ヒト一種とその他』の(先進国と途上国問題はあった)話だったが、ここは知性体多様性のある世界だ。
「……そらあ俺らには耳が痛いですわ。エルフたあ鉱山排水で先祖が揉めたもんで」
「それは知らなかったのですみません……。ただ、もう一つの殺人兵器からきた『物を火ではなく温める』魔法具もですが、それらは元になる研究は多数の国で競い合っていました。戦争を理由に互いの取り決めを破ったりも」
「恨みは深まりそうですがなあ」
「あー……概念的にはこれから起こる対邪神戦争に近いんです。相手の種族がどう思っても知るか、みたいな」
「よく使徒様の世界は残りましたな、勝ったので?」
「いやあ、地球人類が滅ばなかったのはほぼ奇跡ですし祖先は負けた側でしたよ。その復興も奇跡に近いですね」
「ええ……」
キューバ事件ひとつ見ただけで当時の人類が破綻してないのははい、としか。1000d100クリティカルでもしたのかな?
「だからと言って、技術は捨てるものではないと私は思います。私が止めても悪意ある誰かや、それに騙される人などが技術を編み出せば同じですから」
「なんだか悲しいですな」
「血を吐き続けても走る戦争伝令、みたいなところはあります。ですが今騎士さん達を助け、一般の人に広めようとして居る義肢や痛みの緩和は誰かの救いなのは確かです。また、剣を再び握れるようになったから戦地へ、と言うのは……私は徴兵にしても政治の話だと思っています」
「辺境伯領ではかなりやべぇ話ですぞ!」
「私は私にしか無い技術の提供者ですし、全てを吸い上げようと無体をなさるような方なら発言以前に安全はありません」
「そらそうですがねぇ……!」
どうせ一度闘病して死んだのだ。辺境伯がアレな人なら創造神様の見込み違いだろう。
「兵士が死んだから家族は悲しい。それは当然です。ですが兵士の死は無意味ですか?」
「そらあ……場合によりまさあな」
「無駄な功名心の侵略なら浮かばれませんが、守るべき人の為に適正な策を講じた結果死地にあったなら?結局それも道具や技術と同じく使いようです。論ずるべきは技術の存在問題、生誕罪の有無などよりは用法かと」
「割り切ってますなあ……」
「義肢を提供したらその手足で復帰した奴が仲間を撃つのでは」
と言う台詞があると聞いた事がありますが、だから他の人をも救える技術がなくなっても良いかは立場によるんですよね。車両交通事故の被害者もいれば、救急車に救われた人だっているわけで。