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短編です。
数話で終わりまーす。
――絶体絶命。
という言葉をロドリクは思い出した。
「ロドリク様は寡黙な方ですのね。前世は、もう少しお喋りでしたのよ」
――いきなり何を言い出すのかと思いきや……
「……失礼、先ほどから『前世』とか、『生まれる前からの縁で結ばれている運命』とか、俺には理解しかねるのだが」
ストップと手を上げ、彼女の話を止めようとしたが、彼女の口は止まることはなかった。
「まあ、ご謙遜。ロドリク様だってわかったはずですわ。『ようやく魂の番に出会った』と。わたくしがわかるのですもの。聡明なロドリク様にわからないはずがございませんわ」
彼女は控えめに紅を塗った唇の端を綺麗に上げる。
黒目がちのつぶらな瞳もともに三日月をなした。
――いかれてる
――やばい
――この令嬢につかまったら
――逃げられない




