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『紅蓮の魔女』と『神速の配信者』  作者: 我王 華純
第二章 集う宿星たち
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第19話 【七星剣・セプテントリオン】②


 「なるほどなぁ……」


 【七星剣・セプテントリオン】の鑑定結果を見て、思わず声が出てしまった。


 アイリーンさんたちと挑んだグランドダンジョンは、ダンジョンの最高峰だ。

 そのМVPたる最高位神器グランドレガリアが、ただの性能の良い剣なわけがない。


 初めから鑑定してみれば良かったんだ……


 冷静になって考えると、どのようにこの神器に向き合うべきかがわかった気がする。


 鑑定結果に記載されている、『七つの星に封印された能力』。


 これがこの剣に宿っている特殊能力と見て間違いないだろう。


 七つの星……


 この柄の部分にはめ込まれている七つの宝石のことなのかな?


 後半部分の『それら全てが解放された時に真価が発揮されるであろう。』という記載も気になるが、まずはこっちの謎を解くとしようか。


 改めて柄に装着された宝石を見ると、赤、青、黄といったそれぞれが違う色をしているのがわかる。


 この宝石の一つ一つに何らかの能力が秘められているということだろうか。


 だとしたら一体どうすればその能力を引き出せるんだ?


 方法がわからず戸惑っていると、その様子を見かねたのか、アイリーンさんが口を開いた。


 「言うまでもないですが、最高位神器グランドレガリアは他の神器とは違います。一説には意思を持ち、持ち主と共に成長するとも言われる神器です。ハヤトさんが本当に望むならば、神器の方から力を貸してくれると思います。少なくとも、私の場合はそうでしたから」


 「神器の方から?……それは一体どうすれば……」


 「迷うことはありません。心の底から力が欲しいと望んでください、そうすれば必ずその想いに応えてくれるはずですから……」


 諭すように告げられたアイリーンさんの言葉。


 俺はその言葉を信じ、セプテントリオンを握る手にさらに力を込める。


 俺がアイリーンさんの力になるためには、このセプテントリオンの力が必要不可欠なのは間違いない。


 その七星の力が俺の求めるものならば……

 そのために、俺の想いが必要なのならば……


 俺は何度でも本気で力を求めてやる。



 俺に……力を貸せ!




 (……良かろう)




 その瞬間、頭の中に何かが語り掛けてくるような気がした。


 ……これは、す、凄い!


 俺の頭の中に突如として、色々な情報が流れ込んでくる。

 それは、【七星剣・セプテントリオン】の能力、使い方など、俺が望む全てだった。


 なるほどな……これなら……この力があれば……俺は!


 (後は貴様次第だ……)


 セプテントリオンの意思のようなものに接触し、全てを理解した俺は、おもむろにセプテントリオンを頭上に掲げる。


 そして、心のままにこう叫んだ。



 「俺に力を貸してくれ!……アリオト!」


 

 俺の声に呼応するように、柄にはめ込まれている宝石の一つが、青色の光を放つ。


 同時に俺の全身から鮮やかな光が放たれ出した。

 それは、魔力を帯びた炎だった。


 「す、すごいわね……」


 全身から輝きを放ち続ける俺の姿を見ながら、かすみさんがそう呟いた。


 今の俺は、魔力の炎を纏い続けている状態だ。

 制御して火力は最大限まで下げてはいるが、本気になれば超高熱の炎を放つことが可能となる。

 攻撃はもちろん、防御や牽制に利用可能な万能の力と言える。


 「これは……確か……」


 「はい、七星の一人、セプテントリオン・アリオトの能力です」


 グランドダンジョン『星崩の大魔宮』のボスとして君臨していた『七星』の一人、アリオト。

 『星炎龍』の異名を持ち、体中から輝く炎を放つドラゴンだ。

 直接対決し、見事打ち破った清十郎さんから、能力自体は聞いていた。


 今俺が纏っているこの炎は間違いなく、そのアリオトが使用していたものと同一の力。


 「それじゃあ、【七星剣・セプテントリオン】の能力っていうのは……」


 「はい……『七星』全員の能力を使用することが可能のようです」


 「……!?それは、凄まじい能力ね。想像するだけで恐ろしいわ」


 俺たち四人が上げた報告により、かすみさんは、『七星』全員の能力を把握している。

 それら全ての能力を、俺が使用可能だという事実に戦慄を覚えているようだった。


 アイリーンさんはシンプルに俺の能力を褒めてくれ、更なる力を得たことに喜んでくれていたみたいだが、他の二人は違う。


 冒険者としては、まだ経験が浅い俺が、超級職『配信王』に引き続き、【七星剣・セプテントリオン】という大きすぎる力を手にしてしまったことに対して、素直に喜べない部分もあるらしい。


 一応は喜んでくれてはいるものの、若干入り混じった苦笑いがそれを如実に表している。


 大きすぎる力を持つ冒険者は、人類にとって諸刃の剣。


 これは、かなり昔に誰かが言ってた有名な言葉だ。


 俺がこの力に溺れた時、この言葉が現実になるかもしれないが……


 今は、全くその心配はいらない。

 俺がどれだけ大きな力を得ようが、その使い道は決まっているからだ。


 それは言うまでも無く、アイリーンさんのため。


 アイリーンさんの目的を果たすため、その手助けになるため、そして、アイリーンさんの笑顔を守るため。


 そのために、力に溺れてる暇なんて俺には無いんだ……それだけは断言できる。


 かすみさんと陸奥さんの思惑に対して、表情が強張ってしまった俺の顔をアイリーンさんが見つめる。


 「どうしました?ちょっと様子が変ですよ?」


 「……あ、いや。少し集中し過ぎたみたいで……」


 「なるほど、その状態って魔力をかなり使いそうですからね。そうだ、他の能力も検証してみませんか?」


 「そうですね!そうしましょうか!」


 俺はすぐにアリオトの能力を解除する。


 ちょっと考えが逸れてしまったが、アイリーンさんのためにもっともっと強くなる。

 今はそれだけで良いに決まってる。


 ブンブンと顔を振り、考えをリセットし前を向くことにした。


 そんな俺の考えに気付いたのかどうかはわからないが、ニコリと笑顔で応えてくれるアイリーンさん。


 「さあ、どんどん行きましょうかぁ!」


 その笑顔に応えるべく張り切って検証を再開する。


 結局、空港への迎えが来るまでの時間を、他の能力や神器も含めてひたすら検証に費やしてしまったのだった。

検証編終了!


楽しかった!


次回から新ダンジョン編が始まりますよ!


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― 新着の感想 ―
こんばんは。 七星剣、思ってた以上に凄い性能ですね…。他の人間ならこの力に溺れて破滅するかもしれないですが、ハヤトならなんとなく大丈夫そうなイメージが(笑)
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