パーティーまであと
「やっっっと終わった、あっぶなかった」
正直ここまで時間がかかるとは思ってはいなかった。パーティー開始三十分前だ、
「暁時隊長に報告を、いやもしかしたらこのまま手伝うコースかな」
「おい、成瀬」
ああ、きっと今日は厄日なんだ。会いたくもない。
「なんでしょうか、財前直人さん」
「なんだその態度。お前がそんなこと言える立場だとでも思っているのか」
「まさか、そんな態度をとってしまい申し訳ございません」
正直自分の立場をいいように使って、なおかつ自分のことをいじめたやつにいい態度がとれるわけがない。
「ところで要件は何でしょうか。あなたのような高貴な方が、わざわざ僕みたいな愚図に話しかけ来ることはないでしょう」
「ああそうだった。これを見ろ」
そう言って見せてきたのはロングテールコート、一般的にはフォーマルな場での接客で使われる服だ。
「今さっき暁時に渡された。今日は俺の誕生だというのに仕事をしろと言ってきた。」
なるほどわかったぞ。どうせこの人のことだ、隊長の命令を無視してさぼろうという魂胆か。呆れてしまいそうになるが、ここでそんな顔をすると何が起きるか予想はできる。落ち着いていこう。
「なるほど、つまりは僕にその仕事をさせようということですね。しかしこのことが隊長にばれたら、少なくとも隊の風紀を乱したとして懲罰は免れませんよ」
「俺を何だと思ってる。たかが隊長程度、そんなことができるわけがないだろう」
確かにそうだ。財前家は三十年前の大戦で多大な功績をあげた。それには足りずなのか、十八年前の鬼一族の反乱も抑えたと言われている。
「分かりました。引き受けます」
「それでいい、俺は奏に呼ばれている。精々俺の代わりを演じろよ」
ここで何もできない自分が悔しい。だがこれは、自分の迂闊さが招いた結果だ。
「はぁ、早く着替えてしまおう」
「着替えようとしている君に聞きたいことがある」
「はい、なんでしょ、う?」
後ろから声をかけられたが誰もいない。聞き間違いだろうか。
「…………目線をもう少し落として。あと十センチくらい」
言われた通り目線を落とそこには、血まみれの少女がいた。
「き、ききき君、そのそ、そそそその血はどどどど」
「…落ち着いて全部返り血。」
か、返り血?僕の推測になるが、明らかに子供の見た目をしている。
「聞いてる?」
「あ、ええーっと、その」
「シャワー室どこ。配置覚えてないんだ」
「まっすぐ行って突き当りを右に進めばあるけど、ひとりで行ける?」
「いけるけど、心配ならついてくれば」
そう言うと彼女は進んでいく。いくつかは分からないが気になってしまう。よし、許可はもらっているからついて行こう。
「やっぱりついてきた」
「う、ごめん。心配になっちゃって」
「まあいいけど」
ついていったのはいいけど、何も会話しないのは正直つらい。何か、何かないか。
「あ、あのここにいるってことは隊に所属してるよね、どこかな」
「隊には所属していない。そもそも政府直属じゃなくて妖屋敷ていう政府公認の民間企業にいる」
「妖屋敷なんか聞いたことあるかも。」
「現最強薄刃紬がいるからその影響かもね。まあほかの影響もあるけど」
「薄刃、紬」
聞きなじみのある名前おそらく夢に出てきた人だ。会いたい、会って話がしたい。
「あの」
「ついたね」
しまった、これじゃ話すどころか会うこともかなわない。何か提案を、まて、提案?
「ねえ、隊服替えのやつ持ってこようか」
「そこまでやってもらうわけにはいかないでしょ」
「いいからいいから、番号は?」
「…………AY109取りに行くならその服おいていけば?預かっとく」
「あ、ごめん。AY109だね、すぐに持ってくるよ」
よし、これで何とか話せる機会ができた。受付は一階だ、階段を飛ばしながら進めば間に合うだろう。早く向かわねば。
よし、だれにも邪魔されずに一階までたどり着いた。ここまでくれば安心だ。
「勝利みつけたですか?」
「見つけたよ!二階においしそうなご飯が運ばれているところ」
「君はいつもご飯のことばかりだね。夜月、勝利もう一度探そう」
人探しか?手伝ってあげたいが今は早く彼女の隊服を取りにいかねば。受付まであと少しだ。
「すみません。隊服の替えをお願いしたいのですが」
「かしこまりました。番号をお願いいたします」
「AY109です」
「…………ちっ」
なぜだろう、番号を伝えた瞬間に舌打ちをされてしまった。何かまずかったのだろうか。
「AY109ですね。少々お待ちください。」
すぐに表情は戻ったがあまりいい顔をしていない。もしかして、彼女はよく隊服をダメにするのだろうか。
「やあ、ここにいるってことは隊服の替えが必要ってことかな?」
「え、あ、はいそうです」
この人さっき人探しをしていた。もしかしたら何か聞き込みでもするのだろうか。
「ごめんね名前を伝え忘れていた。僕は金森流星、人を探しているんだ」
「聞き込みですかね?協力します」
「話が早くて助かるよ。実はもうすぐパーティーが始まるんだけど、今回の主催者が見つかっていないんだ。見かけたかな?背が低くって銀髪の女性」
もしかして、彼女のことか?背は低いが銀髪ではなかった。人違いか?
「すいません。そのような特徴と一致する人とは会っていません」
「そうか、では質問を変えよう」
そう言うと目の前にいる彼がいなくなってしまった。
「かはっ」
いつの間にか拘束され、首に冷たいものがあてられた。
「AY109、その番号をどこで知った。それを知っているのはごくわずかだ、答えろ」
これはまずい、おそらく刃物があてられているだろう。正直に話しても聞いてくれなさそうだし、どうやって説明しよう。
「流星さんおそらくその子なにも知らなそうですよ。あの人だってむやみやたらに教えないでしょうし」
その言葉を聞いた瞬間に拘束を解かれた。いったい何だったんだ。
「こちら替えの隊服です。早く会場に来るように伝えておいてください」
「え、あ、はい失礼しました」
半ば逃げるような形で去ってしまった。彼女いったい何者だ。
「意外と時間かかったね。まあそのおかげで勲章を磨く時間できたからいいけど」
「番号伝えただけで大変な目にあったよ」
「おかしいな、今回兄さまは探しに来ていないはず。というかいったん出て。着替えたい」
「あ、ごめん」
すぐに部屋を出ていき話しかけらる。
「大変な目にあったって言ってたね、名前とか聞いた?」
「たしか流星と言っていたよ」
「流星が?無害なやつだけど、何されたの」
「番号を伝えたら女の人を見てないかと聞かれて、見ていないと言ったらいきなり拘束されて」
「……はぁ?」
話し声が聞こえなくなったかと思えば何かを小さな声が聞こえてきた。
「あいつはそんなことをするか。いやでも、まさか心配から?そんなわけないか。だって強いことわかりきってるし」
聞き耳を立てたら早口でそんなことをつぶやいていた。しばらくすると扉が開いた。
「まあ何はともあれ、直接聞くしかないか。会場に向かおう」
「あ、ごめんなさい。僕も着替えなきゃ」
ふと時計が目に入ったパーティー開催の時間から十分も遅れている。
「もしかしてだけど時間過ぎてたりする?」
過ぎています過ぎていますと言わんばかりに首を縦に振った。
「んー。それ隊服だよね」
「え、一応そうだけど」
「じゃあ着替えなくていいや、会場では私から離れないでいいね」
そういうと腕をつかまれ、速足で会場へ向かっていった。
「あ、そうだ聞き忘れてたねえ聞いて」
「なに?」
「もし最強が遅れて登場するとしたらどんな感じだろう」
今聞くべきことだろうか。だが、最強の登場か。まあきっと横暴な人かもしれない。
「ドアをけり破って登場じゃないですかね。横暴そうですし」
「そんなキャラ付けしたつもりないのに」
「え、なんて言った」
「なんでもない速く行こう」
会場についた。見つけた受付の人がこちらに駆け寄ってきた
「ああ、今までどこに行っていたのですか」
「話してる暇はない、。これ持って行って」
そう言って渡したのは血まみれの隊服が入った袋だ。
「また派手にやりましたね。では帽子も」
「触るな”!」
大きな声が響き渡った。受付の人もすぐにひいた。
「分かりました。ではすぐにでも入ってください、皆様お待ちです」
「さっさとそれ届けて」
「かしこまりました」
扉の前に立つが一向に開ける気配がしない。もしかしたら緊張しているのだろうか。
「大丈夫?僕が代わりに開けようか」
「平気。開けられる」
ならいいが、どうしよう僕まで緊張してきた。心臓もいつもより早いしくらくらする、少し頭痛もする。
「君も大丈夫?顔色悪い」
「大丈夫ちょっと緊張してるみたい」
大丈夫気のせいだ。暴れださないようにしなきゃ
「開けるぞ」
そういうと彼女はーーーードアを蹴り飛ばした
長く書きたいと思っていたら思った以上に長くなりすぎました、反省します。