それはただの夢なのか
続きを見てくださってありがとうございます!まだまだ未熟ですがよろしくお願いします。
「あれ?ここは資料室。何でここにいるんだっけ?」
「指名手配中の雪中松柏の情報を集めろって、暁時隊長から言われたの、忘れたとは言わないよねお兄ちゃん。しかも居眠りまで、これは私でも擁護できないよ。諦めて来賓室掃除コースをやることだね」
僕の後ろで事実をずさずさ言ってくるのは妹の創奈、まあ妹といっても従妹なのだが。
「ごめん、長い夢を見ていたようですっかり忘れてたよ。んんー?寝すぎたのかなあ、前がよく見えないや」
これはいけない、寝すぎたことがばれたら暁時隊長に迷惑が掛かてしまう。何とか回避しなければ。
だが何度も目をこすっても一向に前は見えない。
「お兄ちゃん、なんで泣いてるの。そんなにひどい夢だったの?」
「え、そんなことは、そんなことはないはずなんだけど」
こすっても、こすっても一向に前は見えない。どうしてだろう。何か、何か
「忘れちゃいけないことだった気がする。でも、でも思い出せない。彼女が何者か、僕に優しくしてくれたのか。分からない、分からないんだ。」
なんで、なんでいつもすぐに忘れてしまうんだ。どうしても思い出せない、かすかに覚えているのは女の人が居たということだけ。
「落ち着いてちょっと深呼吸しよう。ほら、吸ってはいて。吸ってはいて」
こうして妹に慰められるのは兄としては恥ずかしい。だけど、だんだん落ち着いてきたのも事実だ。
「ありがとう創奈。雪中松柏のことだよね。どこまで調べてたっけ」
見ていた資料に目をやると関係のないものばかりで寝る前の僕を吹っ飛ばしくなってきた。
「あーあ、これは一か月雑用やらされても文句は言えないね」
「わかってる、わかってるからから、ちょっと心の整理させて」
あー最悪だ、またあの人たちに言われてしまう。まあしっかりと調べていなかった僕も悪いけど。
「で、そんな絶望しているお兄ちゃんにいい知らせがあるんだけど聞きたい?」
「大体そういう時僕が不利っていう条件だけど、一応聞いてみるよ」
なぜか満面の笑みで僕に話そうとしている。絶対厄介ごとだ。
「実は私お兄ちゃんと同じ任務を隊長から受けていたんだよね。それで私はちゃんと調べ上げたんだけど、これを共同作業ってことにしてもいいけど。条件があるだよねー。どうする?」
今の僕には願ってもないことだ。条件が気になる、気になるが、背に腹は代えられない。
「なんでもゆうこと聞くのでお願いします!」
「はっっや、まあいいけど」
ああ、せめて条件だけでも聞いておくんだったと今後悔してしまった。だが仕方ない、どうしてもあそこの掃除だけはしたくない。
「条件はこれ、さっきあの最強様が、いいことを思いついたからパーティー会場を大急ぎで用意してくれ、だってさ。しかも政治の重要人や五大妖幹部まで呼び出したんだ。今は会場の飾りつけができてない、料理ができてないとかで結構な大騒ぎだしてるんだよね。言いたいことはわかるよね」
今回は条件は悪くないな、これで僕がやらかしたことがばれないのならむしろ大歓迎だ。
「今回のパーティーの準備を代わりにすればいいんでしょ、それなら全然いいけど…本当にそんなんでいいの?」
「重い荷物は持ちたくないからね。じゃあ、この条件であとはよろしく」
そう言って部屋から出て行ってしまった。随分とご機嫌だしまたいい情報でも聞き出せたのだろうか。
そんなことを考えてふとテーブルの上を見ると資料がそこらかしこにチラッばっている。
「やられた」
大方、僕が部屋を出るまで時間がかかると踏んだのだろう、見たことのない資料ばかりだ。
「早く片付けて準備に取り掛かろう」
「ずいぶん寝ていたね、一体どんな夢を見ていたんだろうね」
ああ最悪だ、一番聞きたくない人の声が聞こえた。
「お、おはようございます暁時隊長。夢は見ていたのですが、どうやら忘れてしまいました」
もうこの際正直に言ってしまったほうがいいだろう。こういう時の僕の感はよく当たる。
「正直でよろしい。本来ならばここで君に罰を言い渡すことが正しいのだろうが、正直なことを言うと財前直人の誕生日パーティーから、あの子のわがままを聞いてしまって忙しい。
すぐにパーティーの準備をしてくれ。そうしたら、君がここで寝ていたことも見逃してやろう」
「え、いいんですか?」
正直驚きだ、あの厳しい隊長が見逃すことがあるなんて。明日は雨かもしれない。
「正直なところ女手より男手のほうが欲しい。まさかのテーブルから変えだすと言い出してしまってね、全然終わっていないんだ」
「なるほど、そういうことでしたか。この資料をかたずけ終わったらすぐに向かいます。」
「残念ながら、あまり時間がないんだ。ここは私がかたずけておく、早く準備を進めてくれ。隊長命令だ」
「え、あ、はい。すぐに向かいます」
僕はすぐに扉へ向かい会場へ向かう
「あ、成瀬!一つ聞きたいことがある」
「え、ああっと」
勢いをつけて走っていたため、立ち留まるのに時間がかかった。
「はい、なんでしょう隊長」
「さっきの夢を忘れてしまったと言っていたね、本当にわすれてしまったのかい?」
噓をついていると思われてしまったのだろう。少し強調して言われてしまった。
「はいすいません。忘れてしまって。でもかすかに覚えているっことはあるんです」
「構わない話してみろ」
「女の人と一緒にいました。背丈や髪型までは覚えていませんが、えーっと名前も言われたような気がします。たしか、う?うずば?だったような気がします」
それを答えたときに何かをつぶやいた気がした。だが、聞き取れなかった。
「わかったもう行っていい。準備を進めてくれ」
「はい、失礼します」
あの子が噓をつくわけがない。私が見つけて救い出したのだから、記憶はないががこの後予定通りに進めば…
「あ、任務も終わった頃か。電話でもかけてみるか」
rrrrrri.....rrrrri.....
「.....」
「ニコール目で出るとは珍しい。今大丈夫かな?」
「.....」
反応はない、だが切られてはいない。
「接触は完了したよ、記憶はないがかすかに覚えている程度だけど。よかったね」
「.....」
「パーティーもつぶした。これで君のやりたいようにできるよ。つむちゃん」
「………はぁ」
ため息をつかれたと思ったら切られてしまった。だが、これでいい。
「絶対に救うんだ、あの時そう決めたんだ」
そのためなら命でさえ私たちは惜しくはない。