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〔ライト〕な短編シリーズ

文化祭のステージ演者が感染症で全滅……運動部が参戦することに!

作者: ウナム立早


 体育館のステージ裏は、お通夜のように静まり返っていた。


「生徒会長、山本君と本山君も陽性みたいです……」

「そう……これで全員陽性なのね」


 文化祭の二日目、例年ならこの日の午前十時からはステージでの出し物が行われるはずだった。軽音楽部やダンス部、クラスの人気者による自作コントなどなど、間違いなくこの文化祭の目玉と言えるイベントである。


 しかし、一週間前の合同リハーサルの時に拡散したのか、ステージ演者が全員、あの忌々しい第五類感染症にかかる事態になってしまった。


 敏腕生徒会長の森玲香もりれいかであっても、こればかりはどうしようもない。ステージにあがり、出し物の中止を来館者に向かって宣言しようとした、その時だった。


「待ちな、生徒会長さんよ!」


 突然の声に振り返ると、そこには体格のいい生徒たちが集まっていた。


「あ、あなたは野球部の黒木君? それに後ろにいるのは運動部の主将キャプテンたちじゃない!」

「ふふふ、今日のステージは俺たち運動部に任せてもらおうか!」


 なんと、空いてしまった文化祭のステージに、突如として運動部の連中が参戦を名乗り出たのだ。生徒会長は困惑したものの、中止よりはマシかと思い、彼らに任せてみることにした。




「この甲子園大会準決勝、9回表ワンアウトランナー三塁の場面で、松谷捕手はスプリットを要求したんですよ! 会長、凄いと思いませんか!」

「え、うん、凄いですねぇ」


 野球部主将の黒木は大ファンである野球選手の半生を、プロジェクターまで持ち出して実況解説していた。


「これが、フィンランドで新たに開発された内腹斜筋のワークアウトになります。どうです会長、効いてる感じがしませんか?」

「い、痛たた……よく、わかんないです」


 ボディビル部の西村は、最新鋭のトレーニングを生徒会長も巻き込んで実践。


「シュッ、フシュッ、ゼアッ!」

「ひっ、あっ、はえ……?」


 バスケ部の桜川は、エアバスケで漫画の必殺シュートを再現するという暴挙に出ていた。生徒会長はワケがわからないといった様子である。


 その他にも、集まった運動部がギリギリ『文化』の枠に入る出し物を展開してくれたおかげで、館内は文化祭が終わるまで活気が保たれていた。




 その後のSNSによれば、あれだけ混沌としていたにも関わらず、ステージの出し物には多数の高評価がついていたそうだ。その中でも、特に評価の高かった投稿がこちらである。


『運動部に振り回されている生徒会長の森さんに萌えました!』



最後まで読んでいただき、ありがとうございます。

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