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3話毎日赤スパしたいから金が欲しいからダンジョンに潜りたいからギルドを作ることになるから人生は面倒が多い



 俺は家の近くの連盟地方分所に来ている。番号が印字された紙を窓口の脇に置かれた機械から抜き取り、適当な椅子に腰掛ける。



 連盟は一言でいうなら、国に代わって人を管理する組織だ。


 世界再構築災害シャッフルによって国という単位で人間を管理出来なくなった。その結果小規模の自治組織が多数生まれ、少ない資源を巡って争いが絶えない時代になった。


 そんなときシャッフルを収束させた例の魔術師たちが人同士の争いを止めるために仲裁役を買って出たわけだ。そうやって仲裁を繰り返していくうちに、それは1つの大きな組織になった。


 最初は魔術師連盟と呼ばれていたが、いつの間にか連盟とだけ呼ばれるようになったらしい。


 人であれば誰であろうと連盟の名の下に一定の権利を保障される。権利を保証してもらう代わりに税を納めるというわけだ。


 俺は異世界から帰還した後、色々あって連盟に加入し戸籍を得ている。身分証明書に相当する連盟カードがなければこの世界で仕事をするのは案外難しい。麻薬の運び屋でもするなら話は違うだろうが、真っ当な仕事をしたければまずは連盟に加入することをオススメする。



「47番でお待ちの方、3番窓口へどうぞ」


 俺の順番になった。


「新規の冒険者登録をしたくて来ました」


「はい。ご本人確認のため連盟カードをこちらにタッチしてください」


 俺は連盟カードを財布から取り出して、窓口の女性の示した箱にカードをかざす。カードの中には俺の個人情報がたっぷり詰まったチップが埋め込まれおり、特定の魔導信号に反応して情報を吐き出すという仕組みだ。


 カードに印刷された俺の顔写真は当時ホームレス生活をしていたためあまりにもみすぼらしい姿だ。今度顔写真の変更をしてもらおう思う。


 ピコン


「ありがとうございます。鴨鹿馬助様でお間違いないでしょうか?」


「はい。そうです」


 俺の名前は鴨鹿馬助カモシカウマスケ。中学生の頃親の再婚で苗字が変わった。以前は山田馬助。再婚してから親との仲は険悪になり、学校ではイジメられて不登校になった。


「冒険者登録は完了しました。次に所属する冒険者ギルドを教えて下さい」


「えっと、ギルドにはどうしても入らないといけないですかね?」


「絶対にというわけではありません。ですがドロップアイテム等の換金を行うとき、ギルド名義か個人名義かで税率が変わります。その他にもギルド名義で銀行口座が作れたり、納税時の手続きをギルド単位で行えます。その他にもーーーーーーーー


ーーーーであったりーー


ーーーーーーということもありましてーー


ーーーー冒険者として活動を続けていくのではあれば、必須といえます」


 窓口の女性が熱弁は1割ほどしか理解出来なかった。とにかくギルドに入った方が良いということだ。


「な、なるほど。新しくギルドを作ることは出来ますか?」


「新規ギルドの設立ですね。登録手数料に9800円かかりますが、即日設立出来ますよ!」


 赤スパ1回分か……。


「つ、作ります、ギルドを」


「はい承知しました。ギルド名をこちらの書類にお願いします」


 音もなく机上に紙が現れる。無駄のない転送術式は彼女がプロの窓口の女性であることを示している。


 俺は名前から順に個人情報を書き込み、最後の空欄を睨みつけている。


 ギルド名か。


 なんでもいいのだが、これから先この名前で呼ばれることもあるということを考えるとなんでも良くはない。非常に難しい。名前から連想するかそれとも――



 ――闇狂馬ダークホース


 俺は転移先の世界でそう呼ばれていた。俺の得意魔術おはこは闇術と炎術を組み合わせて作り出す黒炎術で、俺の本名が動物のウマの意味を持っていることを知った仲間達がそう呼び始めた。冒険を続けることで人間、魔王の両陣営にこの名は知れ渡ることになった。


 俺にしてみればこのあだ名は本名よりも付き合いが長い。ギルド名にするのも悪くないかもしれない。


「ダークホースですね。申し訳ありませんが、既に使用されています」


「え……じゃあ……チームウマシカで」


「分かりました。手続きは以上です。お控えをお取り下さい」


 名前なんて思いつきの適当でいいのさ、あはは。今日はギルドチームウマシカ設立記念日だ。たまには贅沢しようかな。


「初心冒険者講習はこの後すぐに受けられますか?」


「あっ、はい」


「講習料は3500円です」


「ああ……はい」


 晩御飯はない。今は耐えるんだ、全てはダンジョンのドロップアイテムを売りさばき、推しに赤スパをバンバン飛ばすため。

お役所に行くのが苦手過ぎて気づいたら夕方になっていたことのある方、良ければチャンネル登録と高評価をお願いします

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