2.バサン到着
ザッ
「着いたブヒよ」
「ふーん。ここがバサンか」
「そこそこ大きな街ですけれどガデランとはさすがに比べものになりませんわね」
「ところで皆さんお腹は空いていませんブヒか? よければボクが美味しいお店に案内するブヒ」
「何ですのいきなり? まあ空いていると言えば空いていますけれども」
「じゃあ行きましょうブヒ。もちろんボクの奢りだから気にしないでいいブヒよっ」
チリーン
料亭 爆肉饗食
「さあさあ好きなもの頼んで欲しいブヒ。ボクのオススメはジャイアントピッグのステーキだブヒが」
「共食いじゃん」
「ブフフッですわ……!」
「これは一本取られましたなブハハハハハハヒヒヒ」
ワイワイキャッキャ
「…………」
……なんだ……?
打ち解けている……?
女子達と楽しげに談笑している……?
あの豚だって第一印象は最悪だった筈だ……
なのに……ッ
どうして……ッッ
「どうしたんだブヒ。君も好きなの頼んでいいブヒよ」
「ぇ……あ、は……い。どう、も……」
「そいつはどうせ何も食べなくても死なないし、飯抜きでいいんじゃあ無いですの?」
「ぇっ、ぃや……」
「そんなんは可哀想だブヒよ! ほォーらステーキあーんだブヒ」
「え、……ぁ、あ
「ヒョイパクだブヒ! あー美味ひーだブヒッブヒヒヒヒ!」
「ブハハッユニ見ました!? 今のブサイクの顔! ちょっと放送禁止級でしたわねひはははははは!!」
「ふう美味かったブヒ! ペロリンチョだブヒ! あっ君にはクエストでの働きぶりを見せてもらってから奢らせてもらうブヒよ! お腹が空いてんならこの皿に残ったソースでも舐めとくと良いブヒ!!」
「「プっククク……」ですわ……」
……
……ク……っ
いや今までも蔑まれっぱなしだったが……
でも女の子に馬鹿にされるのと豚に舐められるのとじゃあ全然違うんだよ……ッ!
クソ……クソ…………クソ豚が……ッ
いつか必ず……
チリリーン
「ふう、お腹いっぱいだブヒ」
「ま、なかなかの味でしたわ」
「じゃあギルド行くよー」
「応ですわ!」 「だブヒ!」
スタスタ
トボトボ
……俺が……
俺が先なのに……
俺の方が……
ギィー
「はいこちらバサンギルド〜、あキモブタさんこんにちは〜」
ザワ……
「おい、キモブタだぜ……」
「ああ、豚野郎だ……」
「ふう、今日も民の視線が心地いいブヒね」
「ランサたん、今日はパーティー登録しに来たブヒよ」
「え〜そうなんですか? 孤高のロンリーピッグと称されるキモブタさんが」
「ふ、まあボクもそろそろ身を固める時がきたって訳だよブヒホホ」
「じゃ、この豚と私とィェリガルと……」
チラッ
……な、なんだよ
「あそこのブサイクでお願い」
「はいかしこまりました〜」
ピッ
「登録完了です〜」
「じゃあ早速依頼を受けちゃおっかなブヒ」
「どれにしようかなブヒィ……オっ、これだブヒ」
「キングドラゴン! 早速討伐に向かうブヒよ」
「頑張ってくださいね〜」
……もうドラゴンはいいよ…………
ギィィ……
ザワザワ
ヒソヒソ
「おいキモ腐れ豚の野郎がパーティー組んだらしいぞ!」
「マジかよ……相手は……Cランク、銀狼のユニ……うおお……!」
「それにあのガデランの殺人姫ことィェリガルも居るぞ……!」
「なんかすげえパーティーなんじゃあねえか……!?」
「お、皆んな噂してくれているわね」
「フフンなんかいよいよ冒険者らしくなってきたですわ」
「ブフフ改めてよろしくだブヒよお二方……」
「あ、そこの君もね、ブヒヒ……」
「……」
「おい何だあいつ……」
「すげえブサイクじゃねえか……!」
「キモブタとどっちがキメエよ……?」
「いやそりゃあキモブタの方、いや……」
「あんなのがパーティーの仲間とか俺だったら死にたくなってくるぜ……!」
なんだ……
なんだ……
なんなんだ……!
クソッ……クソオオッ……!
「さっさと歩く!!」 ドゴォッ☆
「ゴ……ォ……」 (尾てい骨骨折)