15.炎の力
ガデランギルド
ウィーミョ……
「あっ! ブサイク!! あなた5日もかけて何していましたの!!!???」
「ぃや、その、再生に時間が
「言い訳するなですわ!!! 謝りなさい! 5日もパーティーに迷惑をかけた事を丹念に誠意を込めて謝りなさいッ!!!!!!!」
「す、すみま、せン、した……」
「ッっ(舌打ち)、ブサイクの謝罪なんて見ても余計に腹が立つだけですわね、まったく……」
「じゃあ揃ったんで精算お願い」
「あ、はい。お待ちください」
……?
あの人は……?
「ん? ああ、サナテなら今頃拷問部屋ですわよ。危険な親ドラゴンが居るなんて伝えるべき情報を伝えず私を身の危険に晒したのだから当然の処置ですわね。ま、私のお気に入りで可愛かったから拷問は99日間だけにしてあげましたけど。はあ、私ってなんて寛大なんでしょう……」
「…………」
「なんか文句ありますの?」
「ぁ、ぃや……」
「はい、こちら報酬の3500キンカになります」
「ええー、なんでこれっぽっちですの!? あれだけデカくて強いドラゴンを倒したのに!!?」
「ヒ、いや……申し訳ございません王女様……報酬は子ドラゴンのもののみになります……まことに申し訳ございません……」
怯えているな、あの受付の人……
「ッ……サナテのクソボケが……やはりもっと痛めつけておくべきだったですわ……」
「お、王女様、代わりと言ってはなんですが、あの黄金龍の胃袋から炎素を抽出して魔水晶を作りました。これを使えば炎魔法が使えるようになります。よければお持ちください」
「おお! 炎魔法なんて! ナイスですわっ」
「ありがとうございます……」
……
「……ん、なんですのブサイク」
「じっと見つめてキモいですわよ。ただでさえキモいのに」
「もしかしてこのクリスタル、欲しいんですの?」
「ぃや、別に……」
「いーや欲しがっていますわね。炎魔法が使えるようになりたいでしゅうううとそのキモい顔に書いてありますわよ! まったく醜くも卑しいゴブリンが! 恥を知りな
「いーんじゃない。あげれば」
「え?」
「あの竜を倒せたのはそいつのお陰でもあるし。今のところただの食われ役のそいつも幾らかマシな戦力になるかも知れないしね」
「む……。まあユニがそういうなら……」
「ホレブサイク! 受け取りなさい! まったく私ってなんて寛大……ブツブツ……」
ブンッ
ガンッ
「ゥ……っ……」
思い切り全力投球してきた。額に刺さって血が……
「えーと……クリスタルの所有者はそちらの顔が気持ち悪いお方でよろしいでしょうか……?」
「ぁ、はぃ」
「それではそのクリスタルを握り潰してください」
パキィ
「痛っ……っ」
当然ながらクリスタルの破片が手に突き刺さりまくる。右手が血まみれ。何これ。
ボゥ……
すると右手に暖かな感覚が……いや痛みの方がやっぽど大きいんだが……
「おめでとうございます。これであなたは炎の魔力を得ました。念じればその掌から炎を放つ事が出来ます。ですが魔法を使うのには体力精神力を大きく消耗しますのでくれぐれも使い過ぎにはご注意ください」
「何度も使えばより威力が上がっていきます。頑張って鍛え上げてくださいね」
「は、はぃ。あざがじゅじゅます……」
「はー、もったいないですわ、あんなブサイクに……」
ほ、炎、炎……俺の炎……
ここにきてようやく、異世界らしい力を手に入れた……
ふ、フフ、フフヒ……フハハ……ンフフ…………っ
「な、なんですのあの顔は……あまりにも気味が悪過ぎますわ……!」
「ん? いつもあんな感じでしょ」
フフフフヒッ、ヒィひヒ、ハァハァ……フフ、ふぅ……ククク…………ッ