9.一触即発
「ふぃ〜、ですわ。さあ帰りましょっと」
「お疲れ」
ユニとィェリガルはさっさと帰って行った。
俺は生首のままだ。
ドラゴンの首から死臭がする。
蛆もたかっている。こっちに来ないでくれ。
再生にやけに時間がかかる。
日が暮れていく。
治った。
俯きながらギルドに向かう。
ギルド
「いらっしゃいませ」
「始めまして。サナテと申します。依頼のご案内を」
「ぇ……あ、いや」
「ん……? あ、すみませんでした。えーと確か、王女のパーティの方でしたっけ。二人ならもうお休みになられていますよ。宿屋の場所は……」
「ぁ……はい、ど、どうもあり……」
ウィーミョ……
宿屋に向かうと、ドアが閉まっていた。
仕方なく、街の近くの原っぱで、野草にくるまりながら寝た……。寒い。
翌日
ギルド
「ん? 遅いですわよブサイク。何していましたの?」
「ぃや、え、その」
「謝りなさい。パーティーの和を乱したことを」
「ぇ、すみませ……」
「声が小さいッッッッッッッッ」
「……すみっ、ません……!」
「ッっ(舌打ち)まったく、これだからブサイクは……」
「クスクス、王女様やり過ぎですよ、ブフフォっ」
…………
何なんだ……
何でこいつらこんなに人格が破綻しているんだ…………
城
「それではお父様、私旅に出ます」
「そうか。寂しくなるな……。しかし良いのか? パーティーがそんな下等な鼠とゴブリンで。お前の評判にも関わる」
「うーん、まあそうですわね。ゴブリンの方は盾として使えなくも無いですし、鼠ちゃんもまあここの兵士よりは腕が立ちそうですし、良いのでは無いかしら。私の引き立て役としては」
「優しい子だなお前は……(ホロリ)」
「達者でな、ィェリガルよ……」
「はーいですわ」
ギィィィィィィ……
「で。すわ」
ィェリガルがユニの正面に立つ。
「このパーティー、あなたがリーダーですけれど、これはおかしくなくて?」
「なにが?」
「なにがって実力的にどう考えても私の方がリーダーになるべきでしょう!!」
「そうでも無いわよ」
「何ですって……」 ビキッビキッ
おお、何だ……?
「こうなったら決闘! 決闘ですわ!! 身の程知らずのドブネズミにどちらが上か思い知らせて差し上げます!!!!!!!」
おおお、面白そうなことになって来た……
「ニヤニヤするなですわブサイクッッッ」
ボグッッッッッ
グチャッッッッッ
「か……か……っ」
思いっきりぶん殴られ、顔面が潰れた。視界が真っ赤だ。
しかしらどちらが勝つか見ものだ……見えないが……。
早く治れ……。