25.刺傷
う……く……っ
ううう……
どうして……?
どうしてだ…………?
こんな筈じゃあ無かった……
おかしいよ……
俺は転生して、不死身で、無敵で、モテモテで、そうなる筈だろ普通……
なのにどうして……っ!
「グオォァ!!」
!?
野犬!??
またかよ!
「「「グルルルル…………」」」
しかも三匹……
糞……
畜生……
畜生ッ!
ブンッ(そこら辺の石を投げる)
ヒュースカッ(ノーコン)
「「「ガアアアアアアアッッ!!!」」」
ガブ
痛
ガブガブ
痛痛
グチャグチャ
ムシャムシャ
ビュービューッパタタ
痛痛痛痛痛痛痛
「「「クゥ〜ン」」」
スタスタ
右腕と両足と腑と首が殆ど無くなった。
再生する。
もう言うことも無い。
「ヒヒ……」
今度はなんだ。
声の方向を見ると汚らしい身なりの男が居た。どう見てもマトモな様ではない。
「金……くれよ」
「ぃや……ちょ……」
近づいてくる。勘弁しろ馬鹿……。
…………
こ、殺すか……?
よく考えたらここは異世界。何でもありの世界だろう、多分。
良いんじゃあないのか? ポケットの中のナイフをまさぐる。
こんな奴……死んでもどうにもならんだろう。
今まで殺したスライムやウサギと同じ要領だ……。
や、やるか……。
ズブ
え?
俺の腹に錆びたナイフが刺さっていた。
え? 俺がやられるの?
「ヒヒヒ……」
グリグリと傷口を抉ってくる。
治ったばかりでまた……激痛で目がくらむ。
意識朦朧の中、相手がポケットの中を探っているのが分かる。
ギルドの婆さんから貰った銀貨とユニから貰ったナイフを奪われた。
「オ……もらっていくぜ、わるいな。ありがとうよ……」
どこかへ消えて行った。
この世界に来てから感謝されたのは初めてだ。
お役に立てて嬉しいよ。
傷の治りが遅い。
血が止まらない。
涙も止まらない。
真っ暗闇の中、カラスの鳴き声を聞きながら冷たい地面にずっと横たわっていた。




