二話『スマホ!』
時は春。
一学期の最難関、期末テストの時期である
そして今は、テスト週間真っ只中なのである!!!
「賢人はいいよね……頭良くて……」
「ん?俺は頭なんて良くないぞ」
「え、何?嫌味ぃ?だって、一年生の時からずっと学年一位じゃん」
「それは最高に効率の良い勉強方法を考え、実行に移しているからだ。俺は元より勉強の才能なんてない」
「それが、頭良いって言ってるんじゃん……私も勉強出来たらなぁ……」
「順位を伸ばしたいのか?」
「うーん、そうだね……せめて真ん中位まではいきたいかな……」
「なら、俺が教えてやろうか?」
「え!?いいの!?」
「ああ。それくらいなら、俺の効率演算にも影響はほぼない。何より、人に教えるという行為を実践することにより、当人も復習することが出来る」
「えっ、じゃあ教えてもらおっかな!」
「じゃあ、今日から優香の家で特訓だな」
「うん!」
…………と、張り切ったものの
断っておけばよかった……と、後から後悔しても遅かった……
「優香ッ!何だこの部屋は!!!」
「え」
「こんなのじゃ、勉強以前の問題だぞ!!!」
「別に散らかってはないと思うけど……」
「そういう問題ではない!!見ろ、これを!!」
「え、スマホ?」
「そうだ。こんなものを机に置いていて、どうやって勉強に集中しろと言うんだ!」
「あーそういえば、賢人ってスマホ持ってなかったね。最初に連絡先聞いた時に、何故か家の固定電話渡されたし……」
「そんなものは不要だからだ。さっきも言ったが、こんなものがあると勉強にも集中出来ないし、何より他の有効な時間を奪われる。効率を考えれば、尤もな答えだと思うがな」
「不要って言ったって、流石に固定電話だと連絡とか不便だよ。……その、私だって賢人と……メールとか、寝る前に電話とか……したいし……」
「………………………………」
「…………………………………………」
「…………………………………………」
「…………分かった……。検討しておく……」
「う、うん……」
その後は勉強にも集中出来ず、結局賢人のスマホを、二人で買いに行った