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私の彼氏は効率厨!  作者: そるの
1/2

一話『効率厨!』




久我(くが) 優香(ゆうか)



私は平凡な女の子だった


幼い頃からやりたいことも無く、今まで過ごし、高校二年生まで来てしまった



……………………。



だが、そんな私にも去年、彼氏が出来た


道明寺(どうみょうじ) 賢人(けんと)


黒髪で高身長で、知的な、メガネをかけたかっこいい人


同じクラスで仲良くなった


普段は笑うことは無いけど、冗談なんかもたまに言って、一緒に居て楽しい



「カフェ、楽しみだね」



そして、二人で歩く、新しく出来たスイーツ店までの長い歩道


二人で行きたい。と、私から誘った今日


……だが、彼にはかなり変わった所があった



「ああ。そうだな……ん……?ちょっと待て、優香……」


「え、どうしたの」


「この道……」



そう……私の彼氏は所謂(いわゆる)……



「……あと2分はショートカットできるぞ……優香!こっちが最短ルートだ!ついてこい!」


「え、えぇ……!?」



"効率厨" なのである……



「……………………」



聞いたことがない人に向けて、簡単に説明しようと思う



効率厨(こうりつちゅう)』:効率厨とは、最短時間でミッション・クエストなどをクリアすることしか考えてないプレイヤーのことである。



……………………。



まぁ……まんま、グー〇ル先生の知識をコピペしただけである


主にオンラインゲームなどで使われることが多い、この言葉


しかし、現在ではオンラインゲーム上だけではなく、現実でも多く使われるようになったと感じる


そんな "効率厨"


普通に、こっちの道が早く着くからこっちに行こう。とか、ここの問題はこっちの解き方の方が早く解けるよ。とか、そんなことなら私も全然いいのだ


しかし、彼は違う……


……他の効率厨とは、次元が違うのだ


効率を上げるためなら、手段は(いと)わない……強いて言えば、"日常の中のサバイバー" だ



「優香ッ!こっちだ!急げ!」


「は、待って……」



その後は、ギリギリ不法侵入にならないコースを攻めて、ショートカットをしまくった


パルクールのように壁を走り、策を乗り越え、植物の間を縫うように駆け抜けていった


まるで、野生動物か、忍者だ


一般的な、高校生二人がやることではない



「はぁ……着いた……」


「休んでる暇はないぞ!優香ッ!もうすぐ車から出てくる他の客が並び始める!そうすると、もっと待ち時間が長くなる!その前に並ぶぞ!」


「は、はぃぃ……」




















「汗だくでカフェ入るとは思わなかった……」


「これも効率の為だ。致し方ない」


「ねぇ……そこまで効率を求めなくてもいいんじゃない……?」


「優香…………今なんて……」


「え、なに」


「効率は、人々の自由を求める方程式だ!効率を求めるということは、人々の自由を求めるということに等しい!」


「え。それって、私達二人の自由も求めてくれているってこと??」



賢人を揶揄(からか)うように、言葉の真意を確認した


きっと、即否定されるんだろうなぁ……


だが。



「当たり前だろう!」


「え…………」



予想外の反応が帰ってきた



「ぁ……いや、その……これはなんというか……」



「………………………………」

「………………………………」



「は、早く食べて帰るぞ……効率優先だ……」


「そ、そうだね……」



あ、焦ったぁ……


まさか、即肯定してくるなんて……


そういえば、賢人って意外に、恥ずかしがったりしないでストレートにものを言う性格だった……



「……………………」



と、というか、そんなにストレートに言うなら、言った後に自分で照れないでよ!!


なんか、もっと恥ずかしくなってきた……



「………………………………」

「………………………………」



私達はそのまま、一言も発することが出来ずに、お互いの帰路についた




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