10. 本心から伝える言葉
短いです
精霊さんに協力すると決めて、意識が薄れると現実に戻っていた。
目の前には絶命した魔物が倒れている。
それを見ると自分が本当に魔法を使ったことを実感した。そして、おじいちゃんに命を助けられたことも。
おじいちゃんの姿はない。
精霊さんが言うには、身体はマナの光となって消えてしまい、苦痛を感じることはないらしい。
直接お別れを言うことは出来なかったけれど、おじいちゃんが楽に眠れたのなら幸いだ。
そして、姿はなくても、気持ちを言葉にしてお別れしよう、そう決めた。
「二年前、パパとママが死んじゃって、この世界にはもう私の敵しかいないと思ってた。けれど、そんな私におじいちゃんは優しくしてくれたよね。
あのとき家族になろうって言われて凄く嬉しかったの。だから、次は私がおじいちゃんを助けようと思ってたんだよ……。
それなのに、また私が助けられちゃって、最初は『どうして?』って思ったけど、精霊さんの言葉で気がついたんだ。
私は、ちゃんと孫になれてたんだね。
ずっと心配だったの。私がおじいちゃんの孫で良かったのかなって。
その答えが知れて良かった。
私も、本当のおじいちゃんだと思ってるよ!」
自分を家族だと認めてもらえて嬉しかった。だから、どうしてもこの言葉を届けたかった。
「それと、私には魔法の才能があるみたいだから、強くなるって決めたの。おじいちゃんの孫として立派になれるように頑張るから。だから安心して見守っててね!」
自分が強ければ全てを守れた。それなら、もう何も失わないように強くなる。自分にはそれだけの力があったのだから。
そして、その力でおじいちゃんとの出会いを導いてくれた精霊さんに恩返しをしたい。そう心に決めて歩みを進めた。
2章完
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